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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応予備自衛官でもあります。
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【10月21日配信】桜林美佐の国防ニュース最前線
「北朝鮮のミサイルはミサイル防衛システムで撃ち落とすことができるのか?防衛予算概算要求について」
 市川文一元陸自武器学校長・陸将補
https://youtu.be/jESYh1lIeSE


こんにちは、エンリケです。

ことし最後の、市川元陸将補の連載(11回目)です。

南北朝鮮がわが脅威足りうるはずもなく、わが国が備えるべき敵は中共しかない、と私は個人的に思っています。

しかるに戦後日本では、中共への脅威認識が極端に甘く、予算増を伴う必要な防衛力整備がこれまでほとんど行なわれてきませんでした。

適切な国際環境・脅威認識の下で長期的視野に基づいて行う防衛力整備を怠ってきたツケは、けっきょく国民が払わされます。

きょうの記事は、市川さんの北鮮情勢分析です。

冒頭文では、専守防衛と予算の関わりも把握できます。
この視座はほとんどの国民が持っていないと思われます。
ちなみにわたしはこの一文に接し、防衛をめぐる想像以上に危険なカラクリが見えました。


さっそくどうぞ

もくじは以下のとおり。

□はじめに

▼北朝鮮の核・ミサイル開発の経緯
▼北朝鮮から見た、自国周辺の安全保障環境
▼北朝鮮が核・ミサイル開発を継続する理由
▼北朝鮮の核・ミサイル開発が日本に与える影響
▼北朝鮮が日本に対し核ミサイルを発射する事態とは?


さっそくどうぞ。


エンリケ

お読みになっての感想や市川さんへの疑問・質問やご意見は、いつでもお寄せください。
 ⇒ http://okigunnji.com/url/169/


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驚くほどよくわかる防衛論(11)

市川文一(元武器学校長・陸将補)
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□はじめに

 読者のYさんから、ご所見と「核戦力を除き、専守防衛力をどのように評価・査定できるか」というご質問をいただきました。
まずは、専守防衛の定義を確認します。今までの政府解釈では、「先制攻撃も含め敵国を攻撃しない」ことです。したがって、今回の巡航ミサイル導入も、政府は北朝鮮のミサイル基地攻撃の使用を否定しています。

戦闘においては、敵の指揮機能や後方支援機能への攻撃は非常に効果的です。敵国を攻撃できないということは、この効果的な戦闘手段が一部欠落していることになります。同じ予算額で戦力を整備する場合、敵国攻撃能力を持てば戦力としては大きくなります。したがって、専守防衛は戦力としてはマイナス要素となります。

ただし、専守防衛の国策をとらない場合でも、専守防衛のための戦力を優先して整備しますから、国防予算が少額であれば敵国攻撃能力まで手が回りません。また、島国である日本の場合は、目標情報の取得手段や海を越えての戦力の投射手段の必要性など敵国攻撃能力を持つには多額の予算が必要であり、現行の予算額では専守防衛に徹するしかないと思われます。

つまり、今の防衛予算では、専守防衛の国策が評価要因とならないということです。ご質問、ご所見、ありがとうございました。

さて、前回までは、日本周辺の安全保障環境を概観、分析してきました。今回からは最近の防衛問題を取り上げて、戦力主体の防衛論で考察していきます。最初のテーマは、北朝鮮問題です。

本年の連載はこれで最後となります。10月からの3カ月間、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。


▼北朝鮮の核・ミサイル開発の経緯

 北朝鮮の核・ミサイル開発問題については、ミサイルの日本上空通過が印象に強いため、最近問題化したかのように錯覚してしまいますが、20年以上前から問題は続いています。発端は1993年のNPT(核不拡散条約)からの脱退宣言と1994年のIAEA(国際原子力機関)からの脱退に遡ります。

IAEAに加盟している国は、原子力が平和利用のみに使われていることを検査され(核査察という)、これを軍事利用、つまり核兵器を開発できない仕組みになっています。NPT加盟国は、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国以外、核兵器の保有と開発を禁止されています。IAEAとNPTからの脱退は核開0発を公式に表明するのと同じです。この時も、北朝鮮は世界を騒がせました。

北朝鮮の核・ミサイル開発問題を考察するにあたっては、このあたりの歴史的経緯も頭に入れておくと、さらにわかりやすくなりますので、簡単に説明します。

この、最初の核開発を食い止めようと、アメリカは元大統領であるジミー・カーターを北朝鮮に派遣しました。そして、当時の国家主席である金日成と直接会談し、北朝鮮が核開発を止める代わりに経済支援を行なうという米朝枠組み合意を結びました。

この合意内容は、北朝鮮にとっては破格のものです。核開発を凍結し(プルトニウム生産のために使用していた黒鉛減速炉という原子力発電所を停止する)、IAEAの核査察を受ける代わりに、韓国が40億ドルの経費を負担してプルトニウムが生成されにくい軽水炉という原子力発電所を建設する。また、黒鉛減速炉が停止している間の電力供給に支障がないよう、火力発電所用に年間50万トンの重油をアメリカが供給するというものです。

この後、軽水炉建設や重油供給の遅れから米朝間に亀裂が生じるとともに、北朝鮮によるウラン濃縮の疑惑が直接的原因となり、2002年に重油供給と軽水炉建設の停止が決定されます。さらには、2003年に北朝鮮がNPTから脱退し、核兵器製造を宣言して米朝枠組み合意は完全な白紙となりました。

▼北朝鮮から見た、自国周辺の安全保障環境

北朝鮮は、ロシア、中国、韓国と国境を接し、地理的には防衛上非常に厳しい環境にあります。しかも、ロシア、中国という世界第2位、第3位の軍事大国と接しているわけです。戦力関係だけみると、本来ならこの2カ国に最大限の防衛努力を払わなければならないところです。しかし、現実はそうではありません。
この状況は現在の戦力関係だけでは説明できず、北朝鮮の建国の歴史と朝鮮戦争の経緯に遡らなければなりません。

まず、北朝鮮の建国の歴史です。先の大戦が終結したあと、日本の統治下にあった朝鮮半島はソ連とアメリカによって分割されました。ソ連の支援で北朝鮮が、アメリカの支援によって韓国が建国されたわけです。北朝鮮の初代国家主席が金日成で、本国ではさまざまな伝説を持つ英雄です。

しかし、研究者の調査によると、実際にはソ連によって主席に据えられ、ソ連によって伝説が作られた、偶像であるというのが真相のようです。まさに、ソ連によって作られた国家であるといえます。北朝鮮はソ連によって作られた国であるがゆえに、現在でもロシアと北朝鮮の関係は特別であると考えられます。

 その2年後に北朝鮮の南進により朝鮮戦争が始まりました。
当初は破竹の勢いで北朝鮮が南進し、韓国軍は朝鮮半島の南端まで押し込まれました。その後、アメリカを主体とする連合国が参戦することで、逆に北朝鮮を中ソとの国境付近まで押し返しました。

ここで北朝鮮を支援するために参戦したのが中国です。中国が北朝鮮を支援することにより、再び韓国と連合国軍を押し返し現在の国境付近で休戦を迎えました。このように、北朝鮮と中国の関係もともに朝鮮戦争で戦った同盟国であり、現在でもその関係は続いています。

最近では、中国、ロシアの非難を無視して、北朝鮮が核・ミサイル開発を強行していることから、関係が悪化していることは確かです。しかし、北朝鮮に対する制裁についてはロシア、中国両国とも消極的です。

これは、アメリカの東アジア地域への介入を嫌っているという理由もありますが、根本的には北朝鮮との深いつながりが継続していると考えるべきでしょう。その証拠として、ロシア、中国が北朝鮮に軍事力を指向しようとする兆候も、威嚇も恫喝もありません。

このように、北朝鮮にとって北方に位置するロシア、中国は脅威ではなく、どちらかというと友好国です。脅威となるのは、南に位置する韓国とその同盟国であるアメリカです。日本との関係は、国交もなく拉致問題があるために敵対国といえます。
ただし、領土問題もなく軍事的脅威もないため、在日米軍の存在がなければ、北朝鮮にとって日本は、脅威となる国ではありません。

しかし、現実に存在する在日米軍が事態を複雑にしています。
日本にとって欠かせない抑止力である在日米軍の存在が、北朝鮮との関係だけに限定すると逆の効果をもたらしています。

▼北朝鮮が核・ミサイル開発を継続する理由

 北朝鮮にとって脅威の対象となるのは、韓国とアメリカです。韓国とは朝鮮戦争がいまだに休戦状態にある敵対国です。
しかし、韓国(日本も含む)を射程圏としたミサイルはすでに数百発も保有しているため、韓国を対象としてミサイル開発を進める必要はありません。核戦力を保有せず、通常戦力でもそれほどの格差がない韓国に対して、抑止力としての核戦力も必要ありません。

また、両国の国境と韓国の首都ソウルとの最短距離は30kmで火砲の砲弾が届くのに対し、北朝鮮の首都ピョンヤンとの距離は100km以上で火砲の射程外で…

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