■「加瀬英明のコラム」メールマガジン



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 日本を守る④ トランプ アジア歴訪 勝者と敗者


 トランプ大統領のアジア歴訪の旅のいまのところの勝者は、安倍首相だ。

 習近平国家主席が自己採点したとすれば、自分が勝者だったと満足したはずだ。

 習主席は中国の最高指導者として、はじめてアメリカの大統領を親しく北京の歴代の皇帝の宮殿だった故宮を、得意気に案内した。

 故宮には9000もの部屋がある。習主席は自分がアメリカと対等な中国の全能の皇帝になったことを、印象づけたかったにちがいない。

 ところが、商人だったトランプ大統領は、取り引き相手をおだてるのに長けている。習主席に甘言を並べて誉め殺した。

 すると、習主席は赤ん坊があやされたように、満面笑顔になって舞い上がって、ふだん尊大に構えているのに、小者であることを露呈した。毛沢東が1972年に訪中したニクソン大統領を引見した時に、目上のように振舞ったのと対照的だった。

 習主席はトランプ大統領が北朝鮮に核開発を放棄させるために、「最大限の圧力をかける」ことに賛成しつつも、「対話によるべきだ」と繰り返し、北朝鮮へ石油供給を全面的に停めることに反対した。

 中国は北朝鮮を締め殺したくない。アメリカは北朝鮮の脅威があるかぎり、中国の協力を求めねばならないから、脅威がなくなったらアメリカの圧力が中国に向かってこよう。

 韓国の文在寅大統領が敗者となった。終始独立国の大統領として威厳をつくろったが、日米韓が北朝鮮に最大限の圧力を加えることに合意したものの、対話を説いて軍事攻撃を加えるのに反対し、足並みを乱した。

 文大統領はハノイのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)と、マニラのASEAN(東南アジア諸国連合)サミットでは、韓国語で「トイレに入る前と後では、気分が変わる」というが、中国に擦り寄って蝙蝠(こうもり)外交を行った。韓国民は大昔から「事大主義」といって、強者に媚びる国民性がある。

 私と親しいペンタゴン(アメリカ国防省)幹部は、「われわれはムンジェイン(文在寅)の斬首作戦を行いたい」といって、笑った。

 トランプ大統領はハノイ、マニラで、「自由で開かれたインド太平洋」を主唱した。安倍首相が5年前から提言してきた、「自由と繁栄の弧」を借りたものだった。

 トランプ大統領のアジア歴訪によって、誰もが国際政治家としての安倍首相の存在が一回り大きくなったことを、認めざるをえまい。