■「加瀬英明のコラム」メールマガジン



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 日本を守る③ 日本を守ってきたのは“平和憲法”ではない


 私はこの連載をワシントンで、書いている。

 トランプ大統領が12日にわたるアジア歴訪の旅から戻った日に、ワシントンに着いた。

 トランプ大統領はアジア戦略についてズブのアマチュアだったから、安倍首相が描いた台本(シナリオ)にそって踊らなければならなかった。トランプ氏が安倍一座の役者となった、といってよかった。

 両首脳は赤坂迎賓館の池で、並んで緋鯉に餌をやった。安倍首相が予定を急いで、餌が残った袋を逆さにして池にあけたところ、トランプ大統領も慌てて真似て、袋を逆さにして子供のように従った。

 安倍首相はトランプ氏が当選した直後に、トランプタワーに駆けつけて、2人のあいだに“個人的な”友情を結んで以来、国際政治の先輩・後輩のような絆をつくってきた。

 安倍首相はトランプ大統領を東京で、かつてなかったほどまで厚遇した。韓国も中国も日本に負けていられなかったから、慌てて日本に倣わねばならなかった。アメリカの大統領がかつてアジア各国で、これほど厚い赤絨毯のうえを歩いたことはなかっただろう。

 もっとも日本としては、北朝鮮の脅威が刻々と募るなかで、アメリカに縋りつくほかなかったから、トランプ大統領を最大限に歓待せざるをえなかった。日本は“平和憲法”の専守防衛によって縛られて、北朝鮮と戦う能力をからっきし欠いているから、アメリカに頼るほか生き延びる方法がない。

 日本が独立を回復してから、今日まで日本を65年にわたって守ってきたのは、「日米同盟」といわれる日米安保条約であって、日本国憲法ではない。どうして、こんな簡単なことが理解できないのだろうか。

 日本国民がきな臭いことを嫌うのは理解できるが、もし安倍内閣が民主党などの反対を押し切って、安保関連法案を成立させていなかったとしたら、「日米同盟」という鎧(よろい)が綻びていたことだろう。

 「平和憲法」は「万邦無比」(世界に例がない、日本だけが持っている)のものだ。

 先の大戦末期に、狂信的な国粋主義者や高級軍人たちと、朝日新聞が「神州不滅」を唱えて、本土決戦を「一億総特攻」によって戦うことを叫んだが、「平和憲法」も大和魂(やまとだましい)と呼ばれた精神主義と同じものだ。

 先の大戦の惨憺(さんたん)たる敗戦に、まだ懲りていないのだ。枝野先生には大戦末期の陸軍将官の軍服が、よく似合うと思う。