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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)12月10日(日曜日)
        通巻第5542号
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 ((( 読書特集。日曜版 )))
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小堀桂一郎『和辻哲郎と昭和の悲劇』(PHP新書)
植村和秀『折口信夫  日本の保守主義者』(中公新書)

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 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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 大正教養派が戦後なぜ不甲斐なくもGHQに迎合し、言説を曲げたのか
  桑原武夫も志賀直哉も、南原繁もあいつもこいつも情けなく占領軍に追従

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小堀桂一郎『和辻哲郎と昭和の悲劇』(PHP新書)
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 難しい題材、取っつきにくそうと背表紙を眺めながら、けっきょく二ヶ月近くツンドク状態だった。いや正確に言えば南ア旅行とカンボジア取材には、ちゃんと旅行鞄に入れて、旅先でもし時間ができたら読もうと考えていた。
 なにしろ本書は新書版とはいえ、336ページもあって厚手の単行本の分量があり、一日で読み切れるシロモノではないのだ。
ある日、ふと手にとって目次をみて、著者の小堀氏は和辻哲郎を、鈴木大拙や、折口信夫との対比のなかに捉えており、多くの大正教養人、具体的には志賀直哉などが、晩節を汚して日本の伝統に、皇統に最後は疑問符をつけた人々とは豁然と区別するべき存在としているところだ。
大正教養派が戦後なぜ不甲斐なくもGHQに迎合し、言説を曲げたのか。志賀直哉は日本語をやめてフランス語にしようと言いだし、桑原は俳句など第二芸術と小馬鹿にした。
 絶対権力の言論弾圧と情報操作を前にして、「変節しなかった言論人」として和辻哲郎をみたら、どうなるのか。
 この疑念にこそ、小堀氏は懇切丁寧に時代を振りかえり、膨大な資料と当時の言論人の怪しげな言説を博覧強記に網羅しつつ、最終章で、和辻の硬骨漢ぶりに焦点を充てるのである。
 和辻はニーチェ研究から出発し、二十六歳の時に「我々日本人が西洋文明を学ぶことの意議は(中略)偉大な西洋文明を真髄まで吸収しつくした後、初めて真に高貴な日本的がその内に現れるのではないだろうか」と書いている。
 この文章に注目した小堀氏は「功名心や射幸欲とはどう見ても別次元の精神の高貴を目中に置いている」と喝破する。
 戦後もいちはやく米国の宣伝戦の謀略文書の一環として書かれたルース・ベネディクトの『菊と刀』を、和辻はしずかに、しかし強烈な一言を持って批判し(当時の論壇は文化人類学者を名乗ったベネディクトの本心を見抜けず『日本は恥の文化』とかの新説ブームがおきていたが)、「学問的な価値だけはない」と言ってのけていた。
 和辻は昭和21年3・4月合併の『思想』に「人倫の世界史的反省」と題して論文を寄稿し、次のように主張した。
 「戦争の敗北によって近代日本の担っていた世界史的地位は壊滅した。かかる悲惨な運命を招いたのは、理知に対する蔑視、偏狭なる狂信、それに基づく人倫への無理解、特に我が国の担う世界史的意議に対する恐るべき誤解などのためである。我々はこの苦い経験を無意義に終わらせてはならぬ。平和国家を建立し、文化的に新しい発展を企図すべき現在の境位において、何よりも先ず必要なのは、世界史の明らかなる認識の下に我々の国家や民族性や文化を反省することである」
 その文章が基底となったかのように四年後に代表作『鎖国』を顕すのである。
 本書によって「知の巨人」である和辻哲郎がこれから再評価されるだろう。
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「日本を救うには日本の倫理道徳でなければならぬ」
だから折口学は「社会に暮らす人々の心情を重視する」

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植村和秀『折口信夫  日本の保守主義者』(中公新書)
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 折口信夫というより、評者にとっては釈超空のほうが親しみやすい筆名である。
これは折口が歌を詠むときに常用したペンネームだが、なぜ親しみを持つかといえば、出身校の金沢二水高校の校歌を作詩したのも、折口だからである。
 釈超空などと、仏教の戒名を筆名に使うあたり、いったいどういう人物かに興味があった。しかし我が人生、ほかのことに忙しく、その後、あまり接する機会のすくなかった文人だった。
折口は國學院と慶應義塾で教鞭を執り、その弟子には有名が学者や教授もいるが、ほかの国文学者に比較すると活躍が地味であり、したがって保田輿重郎、平泉澄、葦津珍彦らと同世代の活躍を示したことも多くが忘れている。
「日本の保守主義者」と副題がついた本書で、この「知の巨人」は、日本社会の危機から生まれたと総括している。折口の人生で転換となったのは関東大震災、二二六事件。そして敗戦と占領だった。
善良な日本人でも或るとき、突然凶暴になる。美女でも凶相を帯びて暴力に走る、その凄まじき瞬間に、折口は日本の道徳の崩壊を見た。そして二二六事件に激しい怒りを覚えたというのだから、おおよそ大塩平八郎や三島由紀夫を評価しない次元の文学者だろうと推察できる。

しかし戦後、折口信夫は変節し、サヨクへの理解を示す錯誤もあったから、保守主義といえるのか、どうかに関して著者の植村氏はつぎのように言う。
「折口は、人間の寄り添う心を社会のなかに見出し、尊重しようという人」であるがゆえに、その人生は「独特」であって、次の意味で保守主義者だという。
「保守主義の敵である急進主義は、未来のために過去を捨てようとする。明治維新以降の日本政府の基本的な立場であり、マルクス主義などを信仰する革命家たちの立場である。これに対して折口風の保守主義は、未来のために過去を問い、過去にこだわって未来を作る。華々しさには欠けるものの、社会を固守しようというものではない。社会の自由な展開は、過去からしか生み出されない、と考える」
だからこそ「社会に暮らす人々の心情を重視することになる」
また「日本を救うには日本の倫理道徳でなければならぬ」と考え、その「道徳感覚は知識ではなく情熱に支えられるものであり、その情熱は、国学によって鍛錬された公憤の感情でなければならなかった」と著者は言う。
そうした文脈から、折口は二二六の将校らを批判した。
 本書は新らしい角度から折口学を概括する書籍だが、中沢新一が折口を評して言ったように「古代からきた未来人」というあたりが、順当な評価かも知れない。

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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1) 極東問題にはロシア分析は欠かせません。以下長文ですが、情報と知人のロシア専門家Y氏の分析です。ご参考まで。
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タイトル:ロシアの日本併合戦略:プーチンはスターリンが出来なかった事を実現するつもりである
 典拠:米国、ブルームバーグ、2017.10.16付 エフゲニヤ・ピーシメンナヤ、イリーナ・レズニク
テーマ:樺太架橋問題

ロシアのローテンベルグ社は樺太島に架橋するという。この計画は北海道への延長を念頭に日本の資金を当てにしているようだ。この会社の所有者はプーチンの親しい友人である。
 時期的には、ロシアがウクライナ問題による西側の懲罰的圧力を受けている今、その逃げ口としてこの巨額のプロジェクトが発動された。プーチンは9月にウラジオストックで演説し、樺太架橋計画を宣伝し、これが極東地域における新しい鉄道輸送ラインの中の一つになると述べた。
 プーチンに批判的な人たちは、このプロジェクトの巨額な費用から計画の実現性に疑問を抱いている。しかしプーチンはこれによりロシアは自国の経済的苦境を克服できると期待している。

2.狙いはなにか:プーチンが樺太架橋計画を承認した理由の第一は、ロシアの遠隔地を一つの鉄道網で連結する考えが、政治的観点からも基本的に魅力的だからである。≪これは地政学的プロジェクトであり、投資の経済性は問題とはされない、とモスクワのガイダール記念研究所研究員のステパン・ゼムツェフは語った。≫(だし飛行機時代、疑問である)

3.巨額の支出  サハリンプロジェクトの費用は3兆ルーブル($500億)に上る。しかしこの話は公式には未だ発表されていない。プーチン政権の報道担当官ドミトリー・ペスコフの話によれば、サハリンプロジェクトに関する最終決定は未だ行われていないという。ローテンベルグの代表も同様に、≪ストロイガスモンタージュ≫の同計画への参加について語るのは時期尚早であるという。(極秘ということなのだ)

4.ロシアの計画  ≪ストロイガスモンタージュ≫が樺太で架橋建設を行うのは、クリミア半島の架橋が完了した後である。情報筋の話では、この橋は大統領選挙の終わる1918年3月8日までに完了する。この日は丁度ロシアによるクリミア併合4周年である。
 樺太の間宮海峡の最も狭い所に全長7.3!)の橋を建設する試みは、以前にもスターリンにより行われていたが1953年に彼自身の死によって中断された。今残っているのは労働者用の強制収容所の廃墟だけである。

5.何の役にも立たない橋?  サハリンの人口は全部で150万人に過ぎずこの橋の建設コストは決して回収はできない。すでにフェリーがあり島々は既に石油・天然ガスパイプラインで大陸と繋がっている。だから樺太架橋は全く不要であり、そこに人を移動させ、大量の建設資材を送る橋の必要は全く無い。

6.資金計画  現在、サハリンのプロジェクトの費用は外国からの借入金が使われ国家予算は必要ではないと想定されている。すなわち日本の銀行(複数)の金が財源の一つになる可能性があると、ロシア鉄道会社(RZhD)の関係者は言う。

7.ロシアの目論見;ロシアは日本側が北海道の稚内から40キロメートルの樺太を海底鉄道輸送ラインで結び、ロシアのプロジェクトに合流することを期待している。
しかしながら情報筋によれば、これらの計画に関するいかなる協定も調印されていないという。

8.安倍首相; ロシア大統領プーチンが参加したウラジオストックの経済フォーラムで日本の安倍首相は極めて言葉を濁した返事をした。≪ウラジオストックまで汽車で行けたら素晴らしい事だ、しかし、そのためには我々両国は、相互の信頼を強固にし、そして全てのプロジェクトが実現できるようにしなければならない≫。

 知人Y氏の分析:以下本記事から読み取るべき問題点。(  )は私見である。
 1.ロシアは資金ゼロで、日本の資金で橋を建設し、日本から物流を吸い取ることによって返済に充てる計画である。北海道とサハリンを結ぶ鉄道プロジェクトは、日本が自//