From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)
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『三橋貴明の「新」経世済民新聞』
2017/9/8
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「新」経世済民新聞
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「拉致被害者をなぜ救出できない―日本のジレンマ」
From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)
劇団夜想会(代表・野伏翔氏)による『めぐみへの誓い?奪還』という舞台劇が9月7日、東京・板橋区立文化会館で上演されました。
http://www.sankei.com/region/news/170908/rgn1709080072-n1.html
拉致被害者の横田めぐみさんと両親の滋さん、早紀江さんを中心に、同じく拉致被害者の田口八重子さん、救出活動に取り組む荒木和博さん、大韓航空機爆破事件の犯人金賢姫や北朝鮮国内で反体制分子として弾圧される人々など、それぞれの人生を点描しながら“金王朝”の苛酷さと、日本人拉致の理不尽さ、被害者の救出(奪還)を訴える演劇です。
初演は平成22年1月でした。北朝鮮による拉致被害者の問題を風化させてはならない、演劇人として何かできないかという野伏氏の熱意から生まれ、不肖、私も共同企画者として関わっています。
第二次安倍政権で初代拉致問題担当大臣をつとめた古屋圭司さんの肝いりで、現在は政府と全国各地の自治体が共同しての「拉致問題啓発演劇」というかたちで上演が続けられています。
今年はこの後、10月5日に佐賀県伊万里市、同31日広島市、11月22日秋田県横手市、12月1日福井県小浜市、同21日宮城県多賀城市で開催される予定です。
拉致問題に関し私は同じような文章をあちこちに書いています。くどい!と言われることもありますが、一人の日本人として「寄せては返す波の音」でありたいと思っています。
当時13歳の横田めぐみさんが新潟市の海岸で北朝鮮に連れ去られてから40年になろうとしています。平成14年の小泉首相の訪朝で北朝鮮は拉致の事実を認めました。5人の被害者が帰国しましたが、めぐみさんや田口八重子さんらはすでに死亡したとして、他人の「遺骨」をめぐみさんのものとして引き渡すなど、虚偽説明を繰り返し、その後も死亡との主張を変えていません。指導者が金正日から金正恩に代わっても同じで、拉致問題については何処吹く風、核ミサイルの開発に明け暮れています。
横田滋さんは84歳、早紀江さんは81歳です。めぐみさんは今年の誕生日(10月5日)で53歳になります。拉致被害者の増元るみ子さんの父、正一さんは15年前、息子で、るみ子さんの弟の照明さんに、「俺は日本を信じる。お前も日本を信じろ」と言い残して79歳でこの世を去りました。
田口八重子さんの兄で、現在「家族会」代表をつとめる飯塚繁雄さんと観劇後の懇親会で同席した折、飯塚さんは「毎年“今年こそ”と思いながら、期待と落胆を繰り返して長い時間が過ぎた。私もいい歳になった。もう残り時間がない」と嘆息されました。無念を噛みしめる表情に、私はかける言葉が見つかりませんでした。
日本は信じられる国なのか――。
劇中、横田滋さんを演じる原田大二郎さんがこう語ります。
「(拉致の)犯人はわかっている。(被害者が)監禁されている国もわかっている。それなのになぜ取り戻せない…」
なぜ取り戻せないのか――。
はっきり言えば、憲法前文にある「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意」させられ、そしてそれをいつの間にか後生大事に抱えて現実を直視しなくなった戦後日本国民の意識が変わっていないからです。
「平和を愛する諸国民」は自明に存在してはいない。
この現実から国の在り方を立て直す以外に、日本は自国民の生命を他国の力に頼ることでしか守る術を持たない国であり続けることになります。
8月29日、北朝鮮が発射した中距離弾道ミサイルは、北海道の渡島半島上空を通過し、襟裳岬東方約1180キロの太平洋上に落下しました。全国瞬時警報システム(Jアラート)が北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形など12道県にわたって広域に作動したことで、少なくない国民が北のミサイル脅威を実感、衝撃を受けたでしょう。
しかし、早くも喉元過ぎれば熱さを忘れるで、「平和ボケ」から脱却するための本質的な議論が国政に展開される様子もなく、マスメディアを見る限り「ガソリーヌ」さんの不倫疑惑に「今そこにある危機」はかき消された感があります。「所詮は米国頼み」なのだからシンドイ議論に何の意味がある、ということなのかも知れません。
当の日本だけでなく、海外メディアもそう見ているようです。「NewSphere」(9月6日付)によれば、米英のメディアは〈「平和憲法による軍事的制約下にある」という日本の特殊事情に着目〉し、ワシントン・ポストは〈「日本は混乱を極めるトランプ政権であっても、アメリカに従うほかに選択肢はない」と指摘〉し、英フィナンシャル・タイムズも、〈8月17日の小野寺五典防衛相と河野太郎外相の訪米を受け、アメリカは「ドナルド・トランプ就任以来、28回目の日本防衛のコミットメント(関与)」を再確認させられたと報じた〉。
「NewSphere」はさらに、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズの一致した見方として、〈いつでもミサイルを打ち込めると脅してくる相手に対し、それがいざ実行されるという段階で、軍事力の行使が制限されている日本が自力でできることは少ない。トランプ政権がいかに気まぐれであっても、目の前にある危機に対しては、「アメリカ頼み」しかオプションはない〉と伝え、〈日本のジレンマの根源は、平和憲法を書き上げたアメリカそのものである〉というフィナンシャル・タイムズの見解をもって記事を結んでいます。
日本国民の自覚はどうあれ、戦後の日本に「平和憲法」を戴かせた側は現状をこう見ているわけです。
さて、小泉訪朝より前、当時の石原慎太郎東京都知事がこう述べていたことを、日本列島の上空を北朝鮮のミサイルが飛翔するいま、改めて読み返したいと思います。
〈北朝鮮に拉致されて帰らぬ横田めぐみさんの例一つを見ても、日本国の外交は痛ましいあの出来事が事実として存在することの確認すら出来ずにいる。他の同じような事例からしても、多くの日本人の失踪のメカニズムが何であり下手人が誰であるかはほとんど歴然と炙りだされているのに、出来事への言及すらが同胞奪還の責任者たる政府によってなされたこともない。国民の生命と財産を守ることこそを大眼目とする国政はその使命と責任をまったく果たしていない。
昔、「風とライオン」という題で映画化もされた同じような事件がアメリカにもあった。若いアメリカ女性の教師の親子がアラビヤで誘拐され、それを返そうとせぬ相手に向かって当時のセオドア・ローズベルト大統領は軍艦を差し向け戦火を開いて不法に拉致された国民を取り戻した。それは国力を顕示することでの国家意思の表明である。
ならば日本には相手を説得し救出するだけの国力がないのだろうか。いや、危うい手立てを下手に講じれば相手にはミサイルがある、その報復が恐ろしいというなら、私たちはいたいけない同胞の生命と自由を取り戻すために敢えて、ノドンなりテポドンなる北からのミサイルを甘んじて受けようではないか。その結果この国にようやく蘇るものが必ずあるはずだと私は思うのだが。(略)
国民の生命の保全と確保は、領土と並んで何よりの国益の遂行に他ならない。(略)
日米安保への過大というより、間違った信仰に似た評価と期待が育んだ他力本願が、国家民族の生殺与奪の権利をどこであれ外国に安易に与えてはばからないような国家は、結局は他国の下僕か属国への転落に甘んじる以外にないだろうに。〉(【日本よ】「同胞の命と、国家の領土」2000年9月4日付産経新聞)
日本は信じられる国なのか――。
なぜ拉致被害者を救い出せないのか――。
答えは、はっきりしています。
〈上島嘉郎からのお知らせ〉
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(9月6日「安全保障リテラシーなき“識者”の害毒/精神科、身体拘束は人権侵害か?」
https://www.youtube.com/watch?v=us9bOtmR1M4
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