From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家(クレディセゾン主任研究員)
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
『三橋貴明の「新」経世済民新聞』
2017/8/24
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
「新」経世済民新聞
公式サイトはこちら
↓↓↓
http://38news.jp/
――――――――――――
「アベノミクスの虚構」
From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家(クレディセゾン主任研究員)
先日、ポスト・ケインズ派の経済学者で、同志社大学商学部教授の服部茂幸氏の著書
『偽りの経済政策―格差と停滞のアベノミクス』
を読む機会がありました。
http://amzn.to/2wcdSii
同書は、日銀の異次元金融緩和後も停滞が続く、日本経済の現実を様々な角度から明らかにしています。
その上で、責任逃れに終始して矛盾した言動を繰り返す、岩田日銀副総裁を筆頭としたいわゆるリフレ派、そして日銀執行部を批判しています。
本メルマガ読者の皆さん、あるいは拙著『積極財政宣言―なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』をお読みいただいた方からすれば、こうした議論は特に新鮮なものではないでしょう。
さはさりながら、読んでみて「なるほど」と思ったのが同書第2章「雇用は増加していない」でした。
同章では「雇用増加は見せかけ」という見出しを掲げ、以下のように述べています。
「アベノミクスの成果としてよく指摘されるのが、雇用の改善である。民主党政権下で減少していた就業者数が、アベノミクスによって増加に転じたと、安倍首相が主張していることは、よく知られている。(中略)
しかし、「労働力調査」における就業者の定義は、調査の週に一時間以上働いた人である。日本にはサービス残業も含めて週六〇時間以上働くような人も少なくない。こうした人も週に数時間しか働かないアルバイトも、同じ就業者として扱われている。
経済学の上で正しい雇用あるいは就業の指標は、延べ就業時間である。(中略)
延べ就業時間は、いざなみ景気が始まる前には、大きく落ち込んでいた。しかし、いざなみ景気期は全体としてほぼ横ばいか微減となった。ところが、世界同時不況が生じると急減する。特に〇九年は急速な落ち込みを見せた。その後の経済回復期には、ほぼ横ばいとなっていた。アベノミクスが始まると、それが減少に転じた。ただし、一五年以降は微増に転じているが、未だに一二年の水準には戻っていない。
理論的に正しい雇用の指標を使えば、アベノミクス期には雇用が全体として減少していることが分かる」(『偽りの経済政策』72~73ページ)
「延べ就業時間」とは、全ての就業者の就業時間を合計したもので、例えば5万人いる就業者が平均して年間1500時間働いているのであれば、5万×1500=7500万(人・時間/年)となります。
いわば、経済全体での「働く機会」を表しています。
この指標が実際上も「正しい雇用の指標」と言えるのか。
実質GDPを延べ就業時間で割った「労働生産性」と共に、その1980年以降の推移を示したのが下記のグラフです。
なお、『偽りの経済政策』では恐らく公開データの制約上、2000年以降のグラフのみが示されていますが、下記グラフでは、それ以前については全就業者数に近似的に非農業部門の平均就業時間を掛け合せることで、より長期的な推移を確認できるようにしています。
【日本の延べ就業時間と労働生産性の推移(2012年=100)】
https://twitter.com/sima9ra/status/899999446494191617
バブル経済が崩壊した1990年代以降、延べ就業時間は減少トレンドとなり、リーマン・ショック翌年の2009年には大きく減少しています。
そして、服部氏が指摘するように、アベノミクス以降はそれよりもさらに落ち込んでいるのです。
また、企業の賃上げ意欲につながる労働生産性の伸びはアベノミクス以降明らかに鈍化しており、この点でも雇用環境の改善は見られません。
私自身、25~54歳男性の正規雇用者数などをもとに雇用環境が改善していないことを論じてきましたが、近年の失業率低下はアベノミクスの成果ではなく、生産年齢人口減少という経済政策外の要因によってもたらされたことが、服部氏の議論によってより明確になっています。
では、日本経済の停滞を打破する政策とは何か。
服部氏自身は明言していませんが、以下の記述はやはり、財政支出を拡大する積極財政こそが正しい政策であると示唆しているのではないでしょうか。
「一九四〇年からの戦時体制の下でアメリカ経済は急回復する。ナチス・ドイツの経済回復も軍事拡大によるものだった。世界同時不況後の世界でも、ギリシアなど財政を緊縮させた国ほど、経済が収縮した。このように財政拡張と経済回復の関係を肯定する例は多い」(『偽りの経済政策』140ページ)
〈島倉原からのお知らせ〉
中野剛志さんの『富国と強兵』でも参考文献として取り上げられました。
1930年代の大恐慌からのアメリカ経済の回復要因が金融政策ではなく積極財政であったことを、様々な角度から実証分析しています。
↓『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』
http://amzn.to/1HF6UyO
メルマガ『島倉原の経済分析室』では、経済や金融に関するタイムリーな話題を独自の観点から分析しています。
以下は直近記事のご紹介です。
北朝鮮のグアム沖ミサイル発射計画表明以降の動きから、北朝鮮情勢と株式市場の今後について考察しています。
↓「北朝鮮情勢と株式市場の行方」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-270.html
「次世代のインテル」ことエヌビディア社と同様に、来るべきITバブルの花形銘柄になるかも?
と思わせる、とある企業について考察しています。
↓「もう1つのITバブル中核銘柄?」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-269.html
↓その他、バックナンバーはこちらをご覧下さい。
http://foomii.com/00092/articles
↓ツイッター/フェイスブックページ/ブログでも情報発信しています。
こちらも是非ご活用ください。
https://twitter.com/sima9ra
https://www.facebook.com/shimakurahajime
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/
---発行者より---
【オススメ】
「日本が国債破綻しない24の理由 ~国の借金問題という<嘘>はなぜ生まれたか?」
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag.php
p.1 日本は「国の借金」でなぜ破綻しないのか?
p.13 “国民1人当たり840万円の借金"を広める財務省の記者クラブ
p.20 日本国民は債務者ではない、「債権者」である
p.36 かつて、本格的なインフレーションが日本を襲った時代があった
p.42 “日本は公共投資のやり過ぎで国の借金が膨らんだ”は全くの嘘
p.55 グローバリストから財務省まで、消費税増税を訴える人々の思惑
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag.php
※メルマガのバックナンバーを以下でご覧いただけます。
⇒http://www.mitsuhashitakaaki.net/
コメントも受付中です!
⇒http://www.mitsuhashitakaaki.net/
--------------------------------------------------------------
●三橋貴明のブログ ⇒ http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/
--------------------------------------------------------------
●有料メルマガ ⇒ http://www.mag2.com/m/P0007991.html
--------------------------------------------------------------
●三橋貴明のtwitter ⇒ http://twitter.com/TK_Mitsuhashi
--------------------------------------------------------------
●三橋貴明のプロフィール ⇒ http://keiseiron-kenkyujo.jp/profile/
--------------------------------------------------------------
◎配信のご登録・変更・解除は以下でできます。
⇒ http://www.mag2.com/m/0001007984.html
◎発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行者情報
--------------------------------------------------------------------
編集人:三橋貴明 http://www.mitsuhashitakaaki.net/
運営・発行:株式会社経営科学出版
住 所:150-0021東京都渋谷区恵比寿西1-18-4 AHM'S ONE 9F
経営科学出版カスタマーサポートセンター
お問合せ先:http://www.keieikagakupub.com/contact/index.html
電話番号:06-6121-6211 (電話受付時間 平日10:00…
[続きはコチラから]
http://mypage.mobile.mag2.com/WebLeading.do?id=3cJkATrn5RG&position=4500&l=byb0cf6024#position
◎このメルマガに返信すると発行者さんにメッセージを届けられます
※発行者さんに届く内容は、メッセージ、メールアドレスです
◎三橋貴明の「新」経世済民新聞 のバックナンバーはこちら
⇒ http://bn.mobile.mag2.com/bodyView.do?magId=0001007984&l=byb0cf6024
◎三橋貴明の「新」経世済民新聞 の配信停止はこちら
⇒ http://mobile.mag2.com/mm/0001007984.html?l=byb0cf6024









