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From:藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授)

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 『三橋貴明の「新」経世済民新聞』

     2017/8/15




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「新」経世済民新聞
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「デフレは未だ継続中。アベノミクスの完全成功のために、今こそ大型景気対策を。」
From 藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授)

(1)「景気が良いから、対策は不要!」という論調は間違いである。
この度、内閣府から新しい経済統計が公表されましたが、それを受けて今、メディア上では、

「4-6月GDP年率4%増、11年ぶり6期連続-市場予想上回る」
(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-13/OUAL466S972801)

等という、大変「景気の良い」報道が、駆け巡っています。曰く、

・実質国内総生産は前期比1%増、年率換算4%増
・6期連続のプラス成長はリーマンショック前の2006年4ー6月期以来11年ぶり。
・個人消費や設備投資など内需が堅調

とのこと。そして、こうした「数字」を受けて、エコノミストの間には楽観論が広がっています。

「堅調な景気を受け、財政健全化に取り組む政府は財政支出を増やさないとみている。秋に新たな大型補正予算を組むとは予想していない。」(JPモルガン証券 経済調査部シニアエコノミスト 鵜飼 博史氏)https://jp.reuters.com/article/gdp-coments-idJPKCN1AU04Y

「4─6月期GDPがこれだけ強いと、政権浮揚に向けて財政出動の必要性に懐疑的な見方が広がりかねない。」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券・シニアマーケットエコノミスト 戸内修自氏)https://jp.reuters.com/article/gdp-coments-idJPKCN1AU04Y

確かに、「年率実質4%成長」とうい数字は、「いい数字」であることは間違いありません。そして、実質成長が6期連続のプラスなのも、それが11年ぶりであることも、事実です。

しかし、それら数字についての「解釈」は、いずれも著しく「不適切」であるとしか言いようがありません。

なぜなら、「いい数字」もある一方で、日本経済が未だにデフレであることを明確に示す「わるい数字」も存在しているからです。

ついては以下、現状の経済状況がいかなるものなのかを、客観的視点から確認してみることにしましょう。

(2)「よい数字もある」が、「景気が良い」とは全く言えない
まず、上記の報道における「景気が良い!」という論調の根拠はいずれも「実質成長率」(前期比)に基づくのですが、景気判断は下記のような多様な尺度を参照せねばなりません。

・実質成長率(前期比、対年前年度比)
・名目成長率(前期比、対年前年度比)
・デフレータ変化率(前期比、対年前年度比)

こういった尺度が全て良好になったときはじめて、本格的な成長軌道にのったと判断できるのです。それはまさに、健康診断の時の「血液検査」と同じようなもの。健康な人は全ての尺度が「良好」なのです。不健康な人は、これらの内、複数の尺度が「不健全」なのです。

さて、その視点で、今回公表された各数値を確認しますと以下となっています。

・実質成長率-----------前期比年率3.9%------前年比2.1%
・名目成長率-----------前期比年率4.6%------前年比1.7%
・デフレータ変化率-----前期比0.2%----------前年比-0.4%

ご覧の様に、成長率は「前期比」に比べれば随分と「景気の良い数字」なのですが(実質、名目共に年率4%前後以上)前期比でみれば、たいしてよい数字とは言えません。

何よりも深刻なのは、デフレータ(物価)がほとんど改善していない、という点(前期比の増加率0.2%という数字は到底力強い上昇とは言えません)。むしろ「前年比」で見れば「マイナス」の状況にあります。

そもそも、実質成長3%と名目成長4%(つまり、デフレータ1%増)を目指している我が国政府の基準を踏まえれば、これら数字は以下の様に判定することもできるでしょう。

・実質成長率     前期比年率3.9%(○)  前年比2.1%(△)
・名目成長率     前期比年率4.6%(○)  前年比1.7%(△)
・デフレータ変化率  前期比0.2%  (×)  前年比-0.4%(×)

これでは、「景気は良好!」とは決して言えませんよね。

つまり、「前期比」の年率「実質」成長率だけを見て、「よい景気だ! だから、もう対策は不要だ!」というマスコミ論調は、まさに「木を見て森を見ず」――というか、「森の中の一本の木だけを見て、森どころか隣の木すら見ていない」、極めて愚かな論調に過ぎないのです。

(3)「6期連続成長」をもたらしたのは「デフレ=物価下落」である。
さらに、上記記事の重要なポイントは、実質成長が「6期連続」で、かつ、それが「11年ぶりだ」という点。

これももちろん「事実」ではありますが、だからといって「今、景気が良い!」と判断する根拠にはなり得ません。

この点は既に何度か指摘したところですが(https://38news.jp/economy/10862)、「実質成長率」は、「デフレが加速してデフレータ(物価)が下落」すれば、上昇するものだからです。つまり、「実質成長率は、デフレの深刻さの尺度」ですらあるのです!

実際、下記グラフからも明白なとおり、消費増税以降、デフレータは下降し続け、今やマイナス領域を推移しています(黄色)。
https://scontent-nrt1-1.xx.fbcdn.net/v/t1.0-9/20769940_1124938980940377_1674107785373969850_n.jpg?oh=39b8fdfc21040c6c7664cfeb364671e1&oe=5A1F507B

これこそ、「6期連続、実質成長率がプラス」となった根拠。実際、このグラフに示した「名目成長率」(前年比・青線)は、今期こそ、僅かに上昇傾向を見せていますが、ここ最近、ゼロ近辺を推移しているということ、つまり、「成長していない」事を示しています!

日本経済は、本格的な好景気状況からはほど遠い状況にあるのです。

(4)今の「よい数字」を導いた原因は「外需」である。
とはいえ、「今期」は、少なくとも「前期比「で見れば、デフレータ、名目成長率、実質成長率が全てプラスという、(他の国なら当たり前の)「正常」な数字も、久々に一部において見られたわけですが――これがなぜもたらされたのかをしっかり認識する必要があります。さもなければ、誤診に基づいて間違った治療を施すヤブ医者のように、日本経済を完全に治癒する(=デフレ完全脱却させる)ことが不可能となるからです。

その一部の理由は、既に先に紹介した下記記事に記載されているように、「公共投資は5.1%増-補正予算の効果でプラスに寄与」というもの。
(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-13/OUAL466S972801)

つまり、ちょうど一年前の昨年夏に調整した、アベノミクスにおける「大型景気対策」の効果がようやく効き始めた、と言うのが、「今期」における一部良好な数字の原因だったのです。この事を踏まえれば、この景気回復基調を確実なものにするためにはやはり、政府の経済対策の当面の継続が必要であることが見えてきます。

ただし、これ以外にも、この記事に「個人消費や設備投資など内需が堅調」という点も、事実です。今期は消費も投資も双方、おおよそ6000億円(名目値)ずつ前期から拡大しています。

この消費と投資の回復は一体なぜもたらされたのか――その根拠は、下記のグラフから読み取ることができます。
https://scontent-nrt1-1.xx.fbcdn.net/v/t31.0-8/20861564_1125048844262724_4499084963082932127_o.jpg?oh=118759ca161ca20e04a1c61a1057aa75&oe=5A2FFB51

このグラフは、日本経済を構成する「四主体」の内の三つ、「民間」「政府」「海外」の「貯蓄態度」を示すもの(日銀資金循環統計からつくりました)。

この「貯蓄率」という数字は「貯蓄額の対GDP比」ですから、各主体が「ケチ」になって「金づかい」が悪くなって貯金ばかりするようになると「上がり」ます。一方、各主体が「豪気」になって「金づかい」が良く(=荒く)なると、は「下がり」ます。

ご覧のように「民間」の貯蓄率は、この1年ほど「下落」してきています。これは、民間企業が「ケチ」な態度から「豪気」な態度にシフトし始めた事を意味しています。

別の言い方をすると、「内部留保する傾向を弱めてきている」という事を意味します。つまり、民間企業が、儲けたオカネを貯金する(=内部留保する)のでなく、消費や投資に使うようになってきたーーということを示しているのです。これこそ、「今期の消費と投資の拡大」を意味する統計値です。

では、なぜ、民間が貯蓄率を減らし、投資や消費を拡大し始めたのかというと―――その理由は、「海外の貯蓄率が下がってきた」という点に求められます。

ご覧の様に、この3年ほど、海外の貯蓄率は下落し続けています。これはつまり、外国人が日本で使うカネの量が、過去三年の間、増えてきた事を意味します。これは要するに、(相対的に)「輸出が増えてきた」ということを反映したもの。実際、ここ最近景気の良い企業の多くが、「輸出企業」だったのです。
http://datazoo.jp/w/%E8%BC%B8%E5%87%BA/32830318

――さて、これらのデータを全て踏まえると、我が国のここ最近の経済動向は、次のようなものだ、という「実態」が見えて参ります。

1)ここ2,3年間、外需が伸…

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