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平成29年6月25日発行 vol.428
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斎藤吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」
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「しらす」と「うしはく」
──なぜレーヴェンシュタインを引用するのか 4
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私は運動家ではありませんが、やむにやまれぬ思いから、「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンを、ひとりで始めることにしました。いまのままでは悪しき先例が踏襲されるばかりです。趣旨をご理解の上、友人知人の皆様への拡散を切にお願いします。
さて、以下、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。
第2章 有識者ヒアリングおよび「論点整理」を読む
第4節 なぜレーヴェンシュタインを引用するのか──市村眞一京大名誉教授の賛成論
▽4 「しらす」と「うしはく」
明治になって、日本の天皇はヨーロッパ王室に学び、近代的な立憲君主となりました。けれども、古代からの天皇のあり方が否定されたわけではありません。
明治憲法は第1条に、
「大日本帝国は万世一系の天皇、これを統治す」
と規定しています。しかし、憲法起草の中心にいた井上毅の原案には
「日本帝国は万世一系の天皇のしらすところなり」
とあって、天皇統治とは「しらす」政治の意味であることが明記されていました。
天皇統治がヨーロッパ王制の権力支配とは異なることが、明治憲法の制定者たちには自明のことだったようです。
ヨーロッパの国王と何がどう異なるのでしょうか? それは日本の天皇が祭り主、祭祀王であるという1点に尽きるでしょう。
この国をしらす天皇の第一のお務めは祭りであり、天皇は
「国中平らかに、安らけく」
とつねに国家と国民のために祈られます。
その意味を明治の社会主義者・幸徳秋水は、皇統が一系で連綿としているのは歴代天皇が社会人民全体の平和と幸福を目的とされたからで、これは東洋の社会主義者の誇りだ、と指摘しているほどです(『幸徳秋水全集4』)。
それなら、なぜ祭祀王とされてきたことが優れているのか、祭祀王とはどういう意味なのか、むしろ市村先生のような知的権威にこそ、有識者ヒアリングで説明していただきたかったのですが、先生はレーヴェンシュタインの立憲君主論を引用されるだけでした。
日本の古典に造詣が深いはずの市村先生がなぜ、「古事記」「日本書紀」をはじめ日本の古典を引用し、国学を紐解き、天皇論を語られないのか、逆になぜレーヴェンシュタインなのか、私には理解できません。
カール・レーヴェンシュタインは20世紀ドイツを代表する哲学者、政治学者でした。ドイツといえば、ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世は皇帝即位の10年前、プロイセン王となったとき、戴冠式で王権神授説を謳い上げ、議員たちを牽制したといわれます。
いうまでもなく、キリスト教世界の王権は絶対神に正統性の根拠が置かれ、国王は地上の支配者とされています。王は絶対神以外に拘束されず、人民は国王の行為に反抗できないというのが王権神授説です。
けれども、日本の天皇はこれとはまったく異なります。
天皇がこの国を治めるのは皇祖天照大神の委任(ことよさし)によるものであって、皇祖天照大神は創造主でも、絶対神でもないからです。キリスト教世界の国王が、異教徒の国民のために、異教の神に祈ることなどあり得ませんが、日本の天皇は古来、皇祖神のみならず天神地祇を祀ることとされました。
被造世界を創造した創造主がアダムに与えた「地を従わせよ」(「創世記」)という命令は絶対的ですが、天皇には絶対的支配権はありません。
哲学者の上山春平先生が指摘しているように、日本では古代律令制の時代、天皇はみずから権力を振るわず、権力は官僚機構の頂点にある太政官に委任されました。
古代中国では統治の権威は天上の人格神「上帝」に由来し、権力は皇帝が掌握したのとは対照的です(『日本文明史』など)。
専制政治は行われず、天皇と民との関係は支配─被支配の関係ではないということになります。いわゆる権力の制限が、古代から行われてきたのです。
近代においても、明治元年の五箇条の御誓文は最初に、
「広ク会議ヲ興シ、万機公論ニ決スヘシ」
と議会主義を宣言しています。
けれどもヴィルヘルム1世には、権力の制限の意味など理解されなかったでしょう、憲法調査のため渡欧した伊藤博文に、
「日本天子のために、国会の開かるるを賀せず」
と忠告し、議会開設に反対したといわれます。
しかしながら、結局、ドイツ帝国は第一次世界大戦の敗北とともに、わずか3代で滅びました。
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
◇ 筆者のプロフィール ◇
斎藤吉久(さいとう・よしひさ) 昭和31年、第32代崇峻天皇の后・小手姫(おてひめ)が里人に養蚕と機織りを教えたとの物語が伝えられる福島県・小手郷(おてごう)に生まれる。子供のころ遊んだ女神川は姫の故事に由来する。弘前大学、学習院大学を卒業後、総合情報誌編集記者、宗教専門紙編集長代行などを経て、現在はフリー。著書に『天皇の祭りはなぜ簡略化されたか』など。過去の発表記事は斎藤吉久のブログで読める。「戦後唯一の神道思想家」葦津珍彦(あしづ・うずひこ)の「没後の門人」といわれる
━━━━━━━━━━━━《《《著書紹介》》》━━━━━━━━━━━━━
『天皇の祈りはなぜ簡略化されたか─宮中祭祀の危機─』 斎藤吉久著
定価(1700円+税)
天皇ご在位20年、ふたたび宮中祭祀の破壊が始まった!政教分離の名のもとに側近らが祭祀を破壊してきた知られざる歴史を検証しながら、たったお一人で祭祀を守ろうとされた昭和天皇と今上陛下のご心情に迫る。http://www.namiki-shobo.co.jp/
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第4節 なぜレーヴェンシュタインを引用するのか──市村眞一京大名誉教授の賛成論
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明治になって、日本の天皇はヨーロッパ王室に学び、近代的な立憲君主となりました。けれども、古代からの天皇のあり方が否定されたわけではありません。
明治憲法は第1条に、
「大日本帝国は万世一系の天皇、これを統治す」
と規定しています。しかし、憲法起草の中心にいた井上毅の原案には
「日本帝国は万世一系の天皇のしらすところなり」
とあって、天皇統治とは「しらす」政治の意味であることが明記されていました。
天皇統治がヨーロッパ王制の権力支配とは異なることが、明治憲法の制定者たちには自明のことだったようです。
ヨーロッパの国王と何がどう異なるのでしょうか? それは日本の天皇が祭り主、祭祀王であるという1点に尽きるでしょう。
この国をしらす天皇の第一のお務めは祭りであり、天皇は
「国中平らかに、安らけく」
とつねに国家と国民のために祈られます。
その意味を明治の社会主義者・幸徳秋水は、皇統が一系で連綿としているのは歴代天皇が社会人民全体の平和と幸福を目的とされたからで、これは東洋の社会主義者の誇りだ、と指摘しているほどです(『幸徳秋水全集4』)。
それなら、なぜ祭祀王とされてきたことが優れているのか、祭祀王とはどういう意味なのか、むしろ市村先生のような知的権威にこそ、有識者ヒアリングで説明していただきたかったのですが、先生はレーヴェンシュタインの立憲君主論を引用されるだけでした。
日本の古典に造詣が深いはずの市村先生がなぜ、「古事記」「日本書紀」をはじめ日本の古典を引用し、国学を紐解き、天皇論を語られないのか、逆になぜレーヴェンシュタインなのか、私には理解できません。
カール・レーヴェンシュタインは20世紀ドイツを代表する哲学者、政治学者でした。ドイツといえば、ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世は皇帝即位の10年前、プロイセン王となったとき、戴冠式で王権神授説を謳い上げ、議員たちを牽制したといわれます。
いうまでもなく、キリスト教世界の王権は絶対神に正統性の根拠が置かれ、国王は地上の支配者とされています。王は絶対神以外に拘束されず、人民は国王の行為に反抗できないというのが王権神授説です。
けれども、日本の天皇はこれとはまったく異なります。
天皇がこの国を治めるのは皇祖天照大神の委任(ことよさし)によるものであって、皇祖天照大神は創造主でも、絶対神でもないからです。キリスト教世界の国王が、異教徒の国民のために、異教の神に祈ることなどあり得ませんが、日本の天皇は古来、皇祖神のみならず天神地祇を祀ることとされました。
被造世界を創造した創造主がアダムに与えた「地を従わせよ」(「創世記」)という命令は絶対的ですが、天皇には絶対的支配権はありません。
哲学者の上山春平先生が指摘しているように、日本では古代律令制の時代、天皇はみずから権力を振るわず、権力は官僚機構の頂点にある太政官に委任されました。
古代中国では統治の権威は天上の人格神「上帝」に由来し、権力は皇帝が掌握したのとは対照的です(『日本文明史』など)。
専制政治は行われず、天皇と民との関係は支配─被支配の関係ではないということになります。いわゆる権力の制限が、古代から行われてきたのです。
近代においても、明治元年の五箇条の御誓文は最初に、
「広ク会議ヲ興シ、万機公論ニ決スヘシ」
と議会主義を宣言しています。
けれどもヴィルヘルム1世には、権力の制限の意味など理解されなかったでしょう、憲法調査のため渡欧した伊藤博文に、
「日本天子のために、国会の開かるるを賀せず」
と忠告し、議会開設に反対したといわれます。
しかしながら、結局、ドイツ帝国は第一次世界大戦の敗北とともに、わずか3代で滅びました。
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
◇ 筆者のプロフィール ◇
斎藤吉久(さいとう・よしひさ) 昭和31年、第32代崇峻天皇の后・小手姫(おてひめ)が里人に養蚕と機織りを教えたとの物語が伝えられる福島県・小手郷(おてごう)に生まれる。子供のころ遊んだ女神川は姫の故事に由来する。弘前大学、学習院大学を卒業後、総合情報誌編集記者、宗教専門紙編集長代行などを経て、現在はフリー。著書に『天皇の祭りはなぜ簡略化されたか』など。過去の発表記事は斎藤吉久のブログで読める。「戦後唯一の神道思想家」葦津珍彦(あしづ・うずひこ)の「没後の門人」といわれる
━━━━━━━━━━━━《《《著書紹介》》》━━━━━━━━━━━━━
『天皇の祈りはなぜ簡略化されたか─宮中祭祀の危機─』 斎藤吉久著
定価(1700円+税)
天皇ご在位20年、ふたたび宮中祭祀の破壊が始まった!政教分離の名のもとに側近らが祭祀を破壊してきた知られざる歴史を検証しながら、たったお一人で祭祀を守ろうとされた昭和天皇と今上陛下のご心情に迫る。http://www.namiki-shobo.co.jp/
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