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From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)

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 『三橋貴明の「新」経世済民新聞』

     2017/6/16




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【沖縄県民斯ク戦ヘリ】
From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)


「…沖縄県民斯ク戦ヘリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」
こう締めくくった電報を、昭和20年(1945年)6月、米軍と激闘を繰り広げていた沖縄の海軍部隊指揮官大田実少将(沖縄方面根拠地隊司令官、死後中将)が、玉砕前に海軍次官あてに送ったことはよく知られています。

先の大戦における「沖縄戦」の悲劇……。沖縄戦における組織だった戦闘の終結は昭和20年6月23日です。沖縄戦は軍民一致で行われた戦いでした。当時沖縄県の人口は約45万人。軍はこのうち老幼婦女子10万人を疎開させる計画を立てました。学童700人以上が犠牲になった対馬丸の悲劇も起きましたが、それでも米軍上陸までになんとか8万人を本土へ移送しています。

では、どのようなかたちで県民は軍に協力して戦ったのか。

当時沖縄師範学校在学中で鉄血勤皇隊員として戦った大田昌秀(先日亡くなった元沖縄県知事)は、その一例を自身の体験記として書いています。鉄血勤皇隊とは、沖縄師範男子部、県立一中、二中、三中、県立農林学校、水産学校、工業学校生徒など1685人の総称で、軍の各部隊に配属され、斬り込み隊として実戦に参加した者もいました。同じように沖縄師範女子部、各高等女学校など543人の女子隊員は大部分が看護婦として戦い「ひめゆり部隊」の名で知られています。

沖縄戦を担った第32軍は、米軍相手に一大決戦を挑む戦力として3個師団、一個旅団を有していたのですが、決戦近くなって大本営の命令で最精鋭とされた第9師団を台湾の第10方面軍に抽出されてしまいます。第32軍としては、決戦から持久戦を余儀なくされたわけです。

第32軍は昭和20年1月26日、最終的な陣地配備の変更を決めました。主力を首里北方の丘陵以南に集め、北、中両飛行場の防備は最初から放棄して、米上陸軍に明け渡す恰好になりました。陸海空軍からは当然のごとく第32軍に対する非難の声が上がりましたが、以降3カ月の持久戦には突入しました。

沖縄戦当時の県知事・島田叡がその職に就いたのは昭和20年1月12日でした。大阪府内政部長からの異動でした。島田はよく沖縄県民をまとめ、軍に協力して一丸となって米軍と戦う態勢をつくりました。それゆえに沖縄の悲劇は起きた、と批判する人もいます。

沖縄戦が最終段階を迎えた昭和20年6月15日、島田知事は県の活動を停止することを職員に伝え、その後摩文仁の軍司令部壕に移動し、自決しました。島田の前任の知事は、昭和19年10月の大空襲のあと勝手に那覇を離れて普天間に移動し、内政部長も本土出張後なかなか戻らず、事実上在所不明、那覇市の幹部らも本土に逃避するなど、およそ打って一丸という態勢ではありませんでした。「沖縄県民斯ク戦ヘリ」という態勢は島田の尽力によるところ大でした。

今日、本土は沖縄を当初から見捨てていたと非難するのは容易ですが、軍はそれでも海空の特攻隊を繰り出し戦い続けました。戦艦大和以下の第一遊撃部隊が海上特攻に果てたのは昭和20年4月7日のことです。沖縄に向かった特攻隊はたしかに米軍の本土侵攻を止めるためでしたが、同時に沖縄を守るためでもあった。

本土はけっして沖縄を見捨ててよいとは思っていなかった。
歴史小説の大家で、当時海軍の報道班員でもあった山岡荘八が戦後の昭和40年代に著した『小説太平洋戦争』に、特攻と沖縄戦についてこんな記述があります。

白菊部隊という予科練出身の十七、八歳にしか見えない少年航空兵たちが、いよいよ爆装していく零戦がなくなってカンバス張りの練習機で特攻していく――。

〈その頃には、沖縄の現地でも、同じ年齢(とし)ごろの少年少女が、鉄血勤皇隊と称し、ひめゆり部隊、白梅部隊、瑞泉、梯悟、積徳部隊などとして、まなじりを決して現地軍を助けながら、血みどろの抗戦を続けていたのだが、それらの少年少女の両親に、わずかに告げたいことは、内地でもこうした学徒や少年兵たちが、続々と沖縄の同胞の苦難に純真をささげていったという事実である。沖縄県民の受難は言語に絶する。しかし、本土でのこれに対する協力ぶりもまた、一人の作家の人生観を一変させるほどに、凄烈をきわめたものであった。〉

情緒的な物語にすぎない、と切って捨てる人も多いでしょう。
しかし、紛うことなき奮闘があったればこそ、海軍の大田実少将も、

「陸海軍部隊沖縄ニ進駐以来終止一貫勤労奉仕物資節約ヲ強要セラレツツ(一部ハ兎角ノ悪評ナキニシモアラザルモ)只々日本人トシテノ御奉公ノ護ヲ胸ニ抱キツツ遂ニ□□□□与ヘ□コトナクシテ本戦闘ノ末期ト沖縄島ハ実情形□一木一草焦土ト化セン
糧食六月一杯ヲ支フルノミナリト謂フ
沖縄県民斯ク戦ヘリ
県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」

という電報を発したわけです。
(□部分は不明)

沖縄と本土の関係は様々に語られますが、そこに自由な言論はあるか。実際には、沖縄戦での住民の集団自決をめぐる教科書検定への抗議集会に11万人が参加という主催者発表の数字が独り歩きし、実際には4万人ほどだった事実を警察すら正式発表できない「閉ざされた言語空間」があります。そこからは、沖縄の本土に対する怒りや憎悪を増幅するだけの不毛な対立感情しか生まれないと思うのですが、沖縄のメディアはせっせとそれに励んでいます。

「閉ざされた言語空間」の中にあって沖縄の人々の真情は奈辺にあるのか。
沖縄県護国神社を取材したことがあります。同神社の御祭神は沖縄県関係の靖国の英霊をはじめ、先の大戦に殉じた郷土出身軍人軍属及び沖縄方面作戦での本土出身の英霊を合祀するほか、犠牲となった一般住民、遭難学童及び文官関係戦没者の御霊合わせて17万7912柱をお祀りしています(平成23年2月の取材時)。

この年の正月三が日、同神社への参拝は25万人に上りました。この数字は老若男女合わせ沖縄県民の約5人に1人です。こうした県民多数の慰霊感情が、なぜ反本土、反日に向かって発信されるのか。この捻じれが何によるかを解きほぐしていかなければ、いつまで経っても沖縄と本土の関係は反発と慰撫の繰り返しから脱け出せない。結局、ここにおいても「自由な言論」がいかに必要かということになりますね。

本日こうした話を書いたのは、以下のニュースを嘆息しながら読んだからです。「運動家」が「一般県民」を代表するものではないでしょうに…。

〈「日本政府が弾圧」 国連人権理で反基地活動家訴え
【ジュネーブ=原川貴郎】米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設の反対派リーダーで、沖縄平和運動センター議長の山城博治被告(64)=傷害などの罪で起訴、保釈=は15日、スイス・ジュネーブで開催中の国連人権理事会で英語で演説し、沖縄での反基地運動をめぐり「日本政府は市民を弾圧し、暴力的に排除するために大規模な警察力を沖縄に派遣した」などと訴えた。

山城被告は「沖縄における米軍基地による人権侵害に対し平和的な抗議運動を行っている山城博治です」と自己紹介し、微罪で逮捕され、勾留が5カ月に及んだことなどを説明した。

「自供と抗議運動からの離脱を迫られた。当局による明らかな人権侵害だ」とも主張し、「日本政府が人権侵害をやめ、沖縄の人々の民意を尊重することを求める」と語った。〉(2017年6月16日付産経新聞 東京朝刊)


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---発行者より---


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