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韓国と日本の技術力の差はどこから来るのか?

伊勢雅臣
■■ 転送歓迎 ■■ No.2689 ■■ H29.06.14 ■■ 8,117部■■


■韓国版新幹線は近鉄特急と同程度のスピード

 出張でソウルからKTXと言う韓国版新幹線に乗って、半島南西端の木浦(モッポ)へ行った。この新幹線はフランスの技術を導入したもので、トラブル続きという噂でちょっと心配だったが。

 途中で最高速度2百数十キロ出したと言うが、230キロ程度の距離に2時間半かかっており、平均速度は90キロ台。線路は高架があまりなく大半は地べたを走っており、これではスピードが出ないのも当然である。

 席も前後に回転できないため、道中、ずっと後ろ向きに座っていた。また2時間半座っていたら、お尻が痛くなった。何十年か前の国鉄の長距離列車に乗っていた頃を思いだし、日本の新幹線は座席の快適性までよく研究されている事を発見した。

 周りののどかな景色は、近鉄の伊賀上野の辺りを連想させるが、近鉄の大阪-名古屋を結ぶ特急アーバンライナーは189.7kmを2時間ちょとで走っており、平均速度は同じく90キロ台。しかもKTXより安くて快適だ。近鉄特急が新幹線と呼べないのなら、このKTXも同じだろう。

 Wikipediaを見ると、騒音公害、車両故障、保守部品の欠品など、多くの問題がある、とされている。高速鉄道としては世界初の正面衝突との記載もあった。

 高速鉄道とは多くの技術の集積だから、表面的な技術導入だけではうまくいかないのは当然だ。日本の新幹線は、戦前から蓄積されていた鉄道技術を集大成したもので、「未経験の新技術は原則として使わない」という方針だった。

世界初の超高速鉄道「0系新幹線」と「零戦」の知られざる関係
http://www.mag2.com/p/news/244106
< JOG(359) 島秀雄 ~ 新幹線の生みの親


■セウォル号の沈没

 木浦の港では、2014年にこの近海で転覆・沈没して、295名もの犠牲者を出したセウォル号の船体の一部が引き上げられた姿を見た。

 乗組員が乗客を放置して真っ先に逃げ出すなど、日本では考えられない行動をとって被害を大きくしたが、転覆のそもそもの原因の一つとして不適切な船体改造がある。

 日本のフェリー船を中古で購入した後、最上階部分に客室を増設したりして、定員数を増やし、そのために重心が高くなっていた。Wikipediaによれば:

__________
改造を行った全羅南道の会社は、2010年から船舶改装に参入した小規模企業であり、関係者によれば「大型旅客船の改装を行った実績がないとみられる」といい、また韓国船級協会も傾斜度検査などの改造後の十分な検証が行われなかったと指摘されている。[1]
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 なるべく小さな船になるべく多くの貨物や人を載せる、というのが、技術者の腕の見せ所であるから、日本での建造時にすでにぎりぎりまでの設計をしていたはずだ。

 それを経験もない会社が勝手に改造して、安全性の検証もしていなかった。そのために知らないうちに転覆の危険性の高いレッドゾーンに踏み込んでしまったのだろう。

 経験も技術力もない会社に改造を頼むこと自体が、未知の技術領域に踏み込む怖さを知らない人間の所業である。


■自然への畏怖

 自前の新幹線を持ちたいという名誉欲や、少しでも多くの乗客や積み荷を運びたいという利益追求は、人間なら誰しも持つ欲である。そこはどの国の技術者でも変わらない。

 ただ、日本の新幹線を作った島秀雄の「未経験の新技術は原則として使わない」という方針は、技術者が未知の領域に踏み込む際に持つべき「恐れ」を表している。

 それに対して、フランスから技術導入さえすれば新幹線を走らせられるだろう、とか、経験も技術もない会社に船の改造をさせる、というのは、未知の領域に対する恐れを知らない者の発想である。

 韓国の会社が安請け合いして受注したパラオの橋が落ちたとか、マレーシア・クアラルンプールのペトロナスツインタワーが傾いた、などというのは、同じく恐れを知らない者の失敗だろう。

 日本の技術者の恐れと、韓国の技術者の恐れ知らずと、この違いはどこから来るのか?

 これは個人的な仮説だが、日本人にとって、自然とは八百万の神々が治める不可知な世界である、という自然観があるのではないか。そんな世界だからこそ科学者が理解しようと一心に探求し、技術者はその世界におずおずと踏み込んでモノを作る。

 日本人が次々とノーベル賞をとったり、また技術のフロンティアを切り開いたりしてるのも、その自然に対する畏怖の気持ちが根底にあるからではないか。

 一方、韓国人の自然観は、儒教に基づくものだろう。儒教は「怪力乱心を語らず」というように、世界は天の支配する合理的なものと言う認識があるのではないか。そこから生まれる理性への過信が、技術の世界では大きな失敗を招き、科学の世界では重要な新発見を生み出せない不毛につながる。

 そういえばヨーロッパにおいても、一神教のキリスト教が支配していた中世では自然科学が芽生えず、多神教の古代ギリシャやローマ時代の文化伝統に目覚めたルネサンス以降、自然科学が発達し始めた。

 世界は神や天によって合理的に作られていると考える一神教や儒教では、自然は謎に満ち満ちているという謙虚な姿勢は生まれず、その結果、人間の理性を拡張する科学や技術も育たないのではないか。

 この仮説が正しいとすれば、日本の科学技術は日本古来の八百万の神々の世界観に根ざしていることになる。この点については、もう少し考察を深めたい。


■参考

1.Wikipedia contributors. “2014年韓国フェリー転覆事故." Wikipedia. Wikipedia, 19 May. 2017. Web. 19 May. 2017.

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