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人の問題で困っている人にとってはとてもオススメできる本です。
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http://okigunnji.com/url/224/
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「日の丸父さん」
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こんにちは。エンリケです。
<いい本というのはひと言で言えるメインテーマを持っている本で、しかも声高な決めつけをせず、実証例がたくさんある本ということになるのではないでしょうか>
日下公人さんのことばです。その通りだと思います。
特に、<実証例がたくさんある>ことは、軍事本を評価する大きな柱の一つと思います。というのは、軍事関連本、とくに戦史を読む大きな理由のひとつは「史実を一つでも多く自分の中に蓄えること」にあると感じるからです。
「良い文章は具体的事実を伴わないと説得力を持たない」ということばがあります。
そのため軍事関連のいろいろな史実、事実を知りたい、と意識している無意識に感じている、という方は多いはずです。
しかし素人には、ここで大きな壁が立ちふさがります。
「事実、史実の正確さを審査する術を持たない」ことです。
特に軍事分野では、軍事知識や軍事作戦、戦術の妥当な評価は、誠実なプロの審査を待たざるを得ません。
こういうこともあり、様々なデータは持ってるけど、事実か否かを判定する術がない人は多くいるのではないでしょうか?
そんななか我々にできることといえば、信頼できるプロに意見をぶつけて確認することのみとなりますが、プロはそれほど暇ではありません。
この環境が大きく変わることは今後も期待できませんが、一つだけ期待できることがあります。退官した高級将校さんの出版や講演活動がこれからさき活発になってゆくと思われることです。
今回紹介する本は、その典型といえる作品といって差し支えありません。
きちんとしたテーマを持ち、読み手に多くの事実・実証例を提供してくれる「いい軍事本」。それが本著を読み終えての感想です。樋端大佐を通じて、大日本帝国、帝国海軍、そして今の日本国、海自そして将来の日本、海上防衛について考えさせてくれる本でもあります。
この本が多くの日本人の目に触れることにより、海軍史日本現代史のより深い理解発展につながることを期待してやみません。
あわせて、同じような良質ないい軍事史本がたくさん生まれることを期待します。
著者の高嶋さんは讃岐(香川県)出身の元海上自衛官[海軍軍人]。
最終階級は海将[海軍中将]、最終補職は横須賀地方総監。退官後は講演・執筆活動をされており、『武人の本懐』『指揮官の条件』という本を上梓されています。
この本は「昭和の秋山真之」「帝国海軍の至宝」と評された伝説の帝国海軍士官、樋端久利雄大佐(特進後)の生涯を描いた作品です。
軍令・軍政に卓越した能力を発揮し、航空戦術の開発、兵器の改善改良に尽くした大佐は、残念なことに、山本五十六元帥(特進後)とともにソロモンに散りました。
最大の特徴は、「一次資料」というキーワードで表現できます。
高島さんは、<同じデータを見るにしても、極力、一次資料を見て自分なりの評価や判断をしたいと思った。執筆の姿勢として一次資料に接することに腐心した。>と書かれています。
本著を読んだ人の中から、帝国陸海軍に関する知識・理解を修正する人が出てくるでしょう。知られざる帝国陸海軍の実像をつかめる人も出てくるでしょう。それほど豊富に出てくる「史実」「事実」「視座」を、安心して受け止められる点が本当にうれしいです。
「ある時期の●●について知りたい」ときにどういう資料に当たったらよいか?のヒントや提示があちこちで確認できる点が非常に助かります。参考になりますし、あてになります。「戦藻録」「高松宮日記」の重要性も改めて感じさせられました。巻末にある参考文献は大変有益です。
郷土の先輩というだけでなく樋端大佐の同窓生でもある高嶋さんはまえがきで
<戦争・戦闘の実相は、錦の旗のように美しいものではない。
残酷・悲惨でむごい。
一方で、国と国との関係が理想や綺麗ごとで済まされないことは、歴史や今日の国際情勢が示すとおりである。国が亡くなるということは、その国の文化が亡くなり、言語が亡くなること。そして、歴史が亡くなることを意味する。ひとつの戦争に負けても国が亡くなるとは限らないが、先の大戦に敗北して、日本は多くの有形無形、大切なものを無くした。失ったものを再び手にするには、気が遠くなるような長い時間と国民の努力が必要とされる。どれほど頑張っても取り返せないものもある。
将来永きにわたって日本という国が世界から尊敬され、存在感を維持するためには、「治にいて乱を忘れず」。この本の全編を通じて、その意味を問いたい。加えて、戦争というものが持つ理不尽さや軍人家族の愛、そして平和の在り方を探っていきたいと思う。>(P6-7)
と記されています。単なる人物評伝にとどまらない作品という印象です。
読後感は、その期待を裏切らないものでした。
全編通して重厚、冷静、沈着で、単なる人物評伝を超えた「帝国海軍史」「大東亜戦争海戦史」「時代の中に生きた帝国海軍軍人とその家族を通じた社会風俗史」の三つの面を味わえる史書として楽しむことができます。なかでも「いつまでも使える正確な海軍事情知識」がたっぷり手に入るのが一番オススメできるところです。
最大の魅力はやはり「帝国海軍をはじめとする軍事事情の記述が正確」という点です。トップレベルの軍人だった高嶋さんだけに、資料選びも軍事をめぐる記述も信頼性が極めて高く、歴史上の出来事への評価やコメントなどは「さすが提督」と感じさせるものです。
とくに「い」号事件をめぐる分析は、これまで見たことのない観点が含まれており、非常に厳しい評価ですが納得ゆくところ非常に大きいです。
海軍の悪習として知られた「鉄拳制裁」をめぐる話も非常に面白かったです。まさか攻玉社が出てくるとは思いませんでした。歴史を検証して正確な経緯をきちんと説明されています。
海軍の伝説的存在だった樋端大佐の系譜は途切れることなく今も残っていますが、未亡人は戦後日本社会で大変な辛酸を舐めました。
息子さんが父の姿を追い求める姿にも胸に迫るものがあります。
「久利雄の残したもの」にそのあたりの話が書かれています。
キレイごとでは済まない国家関係
戦争の実際はむごく残酷
この深刻な矛盾の中で、いかに軍事をかじ取りして国を動かすか?
これは政治家に丸投げする課題ではなく、国民レベルで考えなきゃいけないことです。
甘ったるい言葉・姿勢で国は保てません。
だからといって、やたらめったら戦争をあおるのは軍人という名の国民の命をどぶに捨てろと言っているのと同じです。
よくよく深い叡智がなければ軍事を扱うことはできません。
わが国民はその種の叡智を持っているはずですが、戦後社会のなかで溶けてなくなっているかもしれません。本著を読んでそのあたりをぜひ確認してください。
高島さんは、大東亜戦争太平洋戦線でわが国が米国に敗れた萌芽は日英同盟破棄にある、と書かれています。こういう指摘は珍しくありません。でも本著で高島さんは「何故か?」を記されています。
読んだ時は思わず膝を叩きました。同じ思いを持っていたからです。
日清日露戦争に勝って1次大戦で漁夫の利を得たことで、わが国は目がくらんだ、一方米国はわが国の興隆に危機感を抱き、日英同盟を消滅させるよう動いた。この面で米国は我が国の一枚も二枚も上手であった、と高嶋さんは指摘します。同感です。
現在の我が国をめぐる状況は1次大戦後の状況とよく似ており、不穏な動きが周辺で増しています。過去の歴史から学んで同じ轍を踏まないことが極めて重要です。そのために最も大切なのは本著のようなきちんとした歴史を学ぶことではないでしょうか?
最初に読んでいただきたいのは、最後のエピローグです。
「私は樋端さんに全海軍の作戦を預けて、存分にその明快極まる脳味噌を働かせて貰いたかった。この人がもっと永く生き残り、もっと働ける立場にあったならば、太平洋戦争の様相はもっと変わっていたかもしれない」(源田実)
帝国海軍で聯合艦隊参謀や航空隊司令等を務め、戦後は自衛隊で幕僚長になった源田さんをして、これほどまでに言わせる人物、それが樋端大佐でした。
本著を通じて初めて知りましたが、帝国海軍航空の中心人物で、敗戦時に割腹自刃された軍令部次長・大西瀧治郎中将の影の参謀は、実は樋端大佐だったということです。海軍航空の星、山本権兵衛の再来、昭和の秋山真之・・・と激賞された樋端大佐は、大西中将の知恵袋だったんですね。
もう一つ感じたのは、樋端大佐がほとんど記録を残されなかったということです。あまりに頭がよかったので、一度読んだり見たら全部覚えてしまうので残す必要がなかったようです。
一部の間で、樋端大佐の遺産は継承されてきたのかもしれません。
しかし一般レベルで樋端大佐の事績はまったく知られていません。
生まれて初めて耳にする人がほとんどでしょう。もしかしたら海自でも同じような状態なのかもしれません。
海軍の至宝とまで言われた人の伝承が国史からほとんど絶えているこの現実。もし大佐が日記や書き物を残されていたとしたら・・・と感じますね。
「秋山真之の再来」とまで言われた天才的人物で、航空戦術のパイオニア的存在。もし日記や記録が残っておれば、必ずや戦後日本でも注目を浴びていたはずです。(頭脳天才、人格円満、勇猛果敢と、非の打ちどころのない余りにも完全な人だったようなので、それが逆に作用したのかもしれませんが・・・)
高嶋さんも書かれています。<今更ながら、記録を残すことの重要性を感じる。とりわけ、当事者の生の声は貴重な歴史資料であり、後世に残すべきだと思う。>
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