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From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家(クレディセゾン主任研究員)

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 『三橋貴明の「新」経世済民新聞』

     2017/4/20




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「金融緩和のプラスとマイナス」
From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家(クレディセゾン主任研究員)


前回、「経済政策をめぐる混迷のスパイラル」と題し、アベノミクス以降も企業の投資意欲の低下は続き、実質賃金や製造業の生産能力は1990年代初頭のバブル経済崩壊後の最低値を更新し、就業者数の増加以上に非正規雇用者数が増加し、それ以外は減少している事実を指摘し、雇用を含め、日本経済が改善しているとは到底言い難い状況であると述べました。
https://38news.jp/economy/10306

すると、同記事を転載した私のブログのコメント欄に、停滞する日本経済に必要なのは積極財政であることはご理解いただいた上での質問として、金融緩和にも、例えばリフレ派が主張するような円安・株高効果などを通じた、一定程度の雇用改善効果があったのではないか、という書き込みがありました。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-239.html

これは上記書き込みへの返信として、あるいは前回記事にも述べたことですが、金融緩和の効果が「ゼロ」と言うつもりはもちろんありません。
ある分野では、雇用に対してプラスの効果があったと考えられることも事実でしょう。
けれども、日本経済全体から見れば、むしろ弊害が大きいと考えられるのです。

金融緩和が雇用にプラスとなった産業として、真っ先に浮かぶのは不動産業です。
現在の区分で産業別就業者数が公表されるようになったのは2002年以降のことですが、不動産業の就業者数はアベノミクス以降、過去最大を記録しています。
(統計上の分類は、厳密には「不動産業、物品賃貸業」です)
https://twitter.com/sima9ra/status/854590394859798528

もちろん、アベノミクス以降就業者数が増えている産業が、他にないわけではありません。
とはいえ、不動産会社の株価が2013年前半に景気循環のセオリーを突き抜けて急騰したり、銀行の不動産向け貸出が2015年と2016年にバブル経済期を超えた事実なども勘案すると、REIT購入も含めた大規模な金融緩和が不動産価格を引き上げて取引を活発化し、関連業界の雇用改善にもつながった、という一定の因果関係を認めることが可能でしょう。

問題はこうした効果が、果たして日本経済全体にとって良いことなのかどうか。
確かに不動産取引が活発になり、そこに新しく住宅やオフィス、店舗などが建てられれば、建設業をはじめとした他の産業にも効果が波及します。
また、資産価格の上昇が保有主体の支出を刺激する「資産効果」の観点からしても、日本の家計資産に占める株式や投資信託の比率が低いことからすれば、不動産価格の上昇は、株高以上に実物経済にプラスの効果をもたらすことでしょう。

とはいえ所詮は資産取引という、株式市場同様、実物経済とは別の場所での出来事であり、その分波及効果も限定され、かつブームの後には崩壊が訪れる一過性のもの。
そのことは、冒頭で述べた日本経済の相変わらずの停滞状況はもちろんのこと、波及効果が相対的に大きく、(不十分とはいえ)公共投資増加という別の追い風もあり、人手不足が喧伝されている建設業ですら、就業者数は過去40年来の最低水準で横ばい、下手をすればアベノミクス以前より減少していると言えなくもない状況に表れています。

しかも、膨張した不動産向け銀行貸出の主な行き先の1つが例えばアパートローン、すなわち、空室率の上昇が懸念されている賃貸住宅建設用の資金であるというのは、実物経済の裏付けに乏しい投機的な性格を色濃く帯びていることを示唆しています。
「波及効果は限定的」と言いつつも、より緊急性や公益性が高い分野、例えば耐震工事への建設業の経営資源投入などがその分妨げられたとすれば、国民経済の観点からすれば、生産資源の浪費が生じたことにもなります。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF09H0N_Z00C17A2EA2000/

そして、決して永続することはない、投機的な価格での不動産取引の促進は、格差問題の悪化にもつながります。
すなわち、所得が低い人ほど住宅など不動産取得の際に借り入れ負担が大きくなり、バブルが崩壊した際にはより一層ツケを払わされることになる。
例えば、アメリカの経済学者が2014年に執筆した『ハウス・オブ・デット』という本は、10年前のアメリカ住宅バブル崩壊を実証研究の上、そうした結論を導き出しています。
http://amzn.to/2pyxx9m

こうした中長期的な弊害があることも踏まえれば、目先の効果が少々あるからといって、「金融緩和もやらないよりはマシ」とは言い切れない、むしろ言うべきでないのではないでしょうか。
やはり、積極財政を柱とした経済再建のビジョンこそが必要なのです。


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↓「セブン&アイに見る、小売業のグローバル化」
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↓ツイッター/フェイスブックページ/ブログでも情報発信しています。
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---発行者より---


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p.20 日本国民は債務者ではない、「債権者」である
p.36 かつて、本格的なインフレーションが日本を襲った時代があった
p.42 “日本は公共投資のやり過ぎで国の借金が膨らんだ”は全くの嘘
p.55 グローバリストから財務省まで、消費税増税を訴える人々の思惑

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