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From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)

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 『三橋貴明の「新」経世済民新聞』

     2017/1/27




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【悪友はごめんです】
From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)

慰安婦問題に関する韓国の学術書「帝国の慰安婦」が、元慰安婦の名誉を傷つけたとして、名誉棄損罪に問われた著者の朴裕河世宗大学教授の判決公判が1月25日、ソウル東部地裁で開かれ、同地裁は「中傷の意図があったとはいえない。幅広い言論の自由を容認する必要がある」として朴氏に無罪判決を言い渡しました。

「帝国の慰安婦」は韓国で2013年に出版され、元慰安婦の女性らが翌年6月、「日本軍と同志的関係にもあった」などとの表現が名誉毀損に当たるとして朴氏を刑事告訴し、ソウル東部地検が2015年11月に在宅起訴しました(求刑・懲役3年)。

検察は同書の「慰安婦が『売春』の枠内の女性であり、『愛国心』を持って日本兵を慰安した」「慰安婦たちの『強制連行』が少なくとも朝鮮の領土では、公的には日本軍によるものではなかった」などの記述について「虚偽の事実」と決めつけ、学問の自由を逸脱したものと主張しましたが、それが退けられたことになります。

ちなみに、検察が「虚偽」とした根拠(客観的資料)は「河野談話」やクマラスワミ報告です。

無罪判決までの1年数カ月の間、朴氏が法廷の内外で指弾され、「見せしめ」にされたことは、韓国が法よりも国民感情が優先する「情治」社会であること、時々の「情」に適わぬ事実は否定され、それを表現する自由、研究する自由も容認されない社会であることを改めて露呈したといえます。

残念ながら、韓国社会特有の「情治」に歯止めがかかるとは思えません。

この判決が出された同じ日、韓国で竹島(島根県隠岐の島町)を管轄区域とする南東部慶尚北道の金寛容知事がヘリコプターで竹島に上陸しました。韓国国旗の掲揚台前で警備隊員と国歌を斉唱し、激励したと聯合ニュースが伝えています。

韓国側が釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦像問題に加え竹島問題を再燃させたことで、日韓関係はますます冷え込むでしょう。

大統領代行をつとめる黄教安首相が「(慰安婦像は)民間が設置した。政府があれこれ言うのは難しい」と発言したのは、中央政府として「法治」を全うする意志のないこと、当事者責任を果たす気のない表われです。

政府は一昨年末の日韓合意で韓国側が努力を約束した慰安婦像撤去などの具体的な行動がない限り、一時帰国させている駐韓大使を帰任させない方針を固めています。
これが安易な宥和に流れないように一国民として強く要望します。

人間であれば、対話を求める相手の感情に寄り添おうとするのは自然なことです。

しかし、感情に埋没したら事実を見失いかねません。
そして先行譲歩をすれば相手は必ずそれに応えてくれると思うのは日本人の甘さです。

韓国人はそうは考えません。日本はやはり自らの非を認めたのだ、だから譲歩するのだとなる。

歴史の隠蔽や歪曲の定義を韓国側に握られたまま、摩擦回避のため日本が事実関係を棚上げして謝罪を繰り返せば、和解も示談もあり得ず、韓国はゴールポストを動かし続け、日本は「補償」というゴールポストの枠を広げ続ける連鎖を断ち切ることはできません。

事実でないことに対しては断固ノーというほかないのです。

ここで思い返すのは、福澤諭吉の「脱亜論」(明治18年『時事新報』)です。
福澤は「主義とする所は脱亜の二字に在るのみ」と書きました。
「脱亜論」の本旨は、日本をもふくめたアジアにおける儒教体制、それに囚われた政治の専制から脱せよ、ということで、脱しなければ、「数年を出でずして亡国と為り、其国土は世界文明の諸国の分割に帰す可きこと、一点の疑あることなし」にあります。

そしてその結論は、

「今日ノ謀ヲ爲スニ我国ハ隣国ノ開明ヲ待テ共ニ亜細亜ヲ興スノ猶予アル可ラズ寧ロ其伍ヲ?シテ西洋ノ文明国ト進退ヲ共ニシ其支那朝鮮ニ接スルノ法モ隣国ナルガ故ニトテ特別ノ会釈ニ及バズ正ニ西洋人ガ之ニ接スルノ風ニ従テ処分ス可キノミ悪友ヲ親シム者ハ共ニ悪名ヲ免カル可ラズ我レハ心ニ於テ亜細亜東方ノ悪友ヲ謝絶スルモノナリ」

というものです。

福澤は、支那朝鮮の開明を待つ猶予のない近代日本の苦悩を背負って、独力で進むべき決断を促しました。

明治開国以後、日本が漕ぎ出したのは苛烈な帝国主義の世界です。文明社会といいながら実際は弱肉強食であり、弱小国は強国に蹂躙されて仕方のない時代。

弱肉強食を抑制し、調整する国際機関もない。

日本は生存と独立を全うすることに全力を傾けねばならない。その方途としての「脱亜」であり、それは支那朝鮮への蔑視ではなく、福澤は支那朝鮮を日本が支配すべきだとも主張していない。

尊大な支那、事大の朝鮮、共に文明理を解せず、法治にあらざる国、と福澤が説いた彼の国々の本質はいまも変わっていません。

隣国が開明し、共に手を携え得る状況にあったのなら、その後の交際は変わったかもしれませんが、現実はそうはならなかった。

そうならなかった理由を歴史的に俯瞰すれば、福澤が説いたとおりではないかと思います。

日本に「以後、悪友はごめんです」という選択肢はあるのです。

戦後の日韓関係の基本は昭和40年(1965)に結ばれた日韓基本条約と請求権協定にあります。

これまで決着済みのことを悉く反故にしてきたのは韓国です。

「無念だ」「悔しい」という被害者感情を一方的に正当化し、歴史の事実を顧慮するとなく日本にぶつけてくる彼らと今後も付き合う意味はあるか。

いま私たちに必要なのは、彼らとの間に「友好親善」を求めて先行譲歩や摩擦回避を繰り返すことではなく「悪友はごめんです」という淡々とした決意です。


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