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中国に侮辱された媚中政治家―台湾・馬英九前総統のケース


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2016/11/18/Fri

台湾の馬英九前総統は十一月十七日、マレーシアの南方大学で開催された「世界華人(中国人)経済フォーラム」で講演を行った。

総統在任中、中国の忠臣、傀儡の如き振る舞いを見せた人物ゆえ、中国の掲げる「一帯一路」構想の推進が今回のマレー訪問の目的かとも疑われたが、本人は「中華文明の宣揚のためであり、中華民国政府の新南向政策の説明のため。一帯一路とは関係ない」と否定してはいる。

それはともかく、フォーラムや南方大学など主催者は今回、馬英九を前中華民国総統として厚遇することとし、フォーラム創始者の自家用機を彼の専用機に仕立てようとしたほどだ。

ところが講演当日、現地では異変が。会場で紹介される際の馬英九の肩書が「前中華民国総統」から「世界華人領導(指導者)」に変えられたのだ。

実は馬英九は国を発つ前日、主催側から肩書を「世界華人領導」に変更できないかと打診されている。

要するに「中華民国」との「国家」名や、「総統」という「国家元首」の役職名を使用することで、台湾を国家として扱うのを許さない中国を刺激するのを恐れたのだ。

ところが馬英九側は「それなら講演は取り止めだ」と断固拒否。そこで南方大学は「前総統」の使用に同意したのだが・・・。

しかしフォーラムはそうもいかなかったらしい。当日、馬英九は「Former President of The Republic of China(Taiwan)」(前中華民国[台湾]総統)と書かれた名札を渡されながらも、まったく突然の非礼を受けた格好だ。

馬英九は講演後の記者会見で「尊厳を踏み躙られた。ここで争わなければ台湾に顔向けできない」と怒りを露わにした。そして「中共の駐マレーシア大使館の介入が見て取れる。だからこんな大騒ぎになったのだ」とも指摘した。

そして「私は在任中の八年間、両岸関係維持のため最も力を尽くした政治家で、台湾では八年間も親中売台だと罵られてきた。それなのに退任するや、このような侮辱を受けるとは」とも。国内で有権者からさんざん「売台」と罵られながらも「親中」に徹して来たというのに、「これではあまりではないか」と中国を怨んだ訳だ。

それではなぜ、中国はこんな圧力を掛けたのだろうか。やはり「一つの中国」原則を認めない民進党の蔡英文政権を牽制するための、台湾の国際社会における孤立化の一環としてだろうか。最近あの国はそうした卑劣な工作を盛んに行使しているところではある。

ちなみに馬英九はマレー訪問の直前、同国の「星洲日報」からインタビューを受け、紙面では「台湾前総統」と紹介されたものの、電子版では「台湾前領導人」と書かれてしまった。同紙もまた中国の圧力を受けたのだろうか。馬英九サイドは「政治的な操縦を受けないという基本原則に違反した」と批判していた。

それにしても忠臣馬英九も、退任して国内での影響力を失えば、中国からはこうも簡単にお払い箱となるのだろうか。

もっとも馬英九本人は、記者会見では中国への怒りを見せたものの、それはあくまで国内向けで、実際にはそんなに怒っていないかもしれない。なぜなら「そういうものだ」とわかっているはずだからだ。

たとえば昨秋、習近平との会談に得意満面で臨んだが、その時の肩書は「台湾領導人」。そして「中華民国」の名も会談中はついにを口にしなかった。会談後に「中華民国憲法の名に言及した」と強調したが、それはあくまで憲法名であって国名ではない。そしてそのように自慢すること自体、国民党にとって自国名は中国要人の前では禁句になっているということだ。

中共との間で「一つの中国」原則で合意する国民党だが、その「中国」とは「中華民国」だと主張しなければ、「世界で中国とは中華人民共和国。台湾はその一部」とする向こうの宣伝に同意するのに等しくなるのだが、それを敢えてしないのであるから、完全な「親中売台」だ。

このように馬英九は、平然と「台湾に顔向けできない」ことを繰り返して聞いたのだ。そもそもそれほど卑劣な人間でなければ、「親中売国」の称号は贈られない。

そしてそれほど卑屈な人間だからこそ、再び中国に引き上げてもらえる日を期待し、ますます忠義に励もうとすることだろう。

中国が今回、かくも気軽に馬英九の尊厳を蹂躙できたのは、そうした媚中人間の卑しい生態を熟知しているからに違いない、

日本の「親中売国」の政治家達もまた、馬英九と同様の生態をしているのだろうか。

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発行 永山英樹(台湾研究フォーラム)

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