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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)11月17日(木曜日)参
通算第5095号
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中東の安定が優先課題に。トランプ戦略の一端が見えてきた
エジプトが米国に猛烈接近、イスラエルもトランプに期待膨らむ
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思い出されたい。トランプ当選後、まっさきに次期大統領と電話が繋がったのはエジプトのシシ大統領だった。
シシは「アラブの春」でムバラク政権を転覆させる原動力となった「イスラム同胞団」をオバマ政権が支援していた経緯から、とくにその政策の中心にいたヒラリー(当時国務長官)に反感を持っていた。
イスラム同胞団政権のあまりに過激なイスラム化に、シシ将軍が中心となった軍事クーデタで同胞団政権を電光石火に倒すや、米国は渋々、シシ政権を承認した。
だが、エジプトはオバマへの不信感が強く、ぎすぎすした関係の修復は出来なかった。オバマが中東を混乱させたというのが中東諸国に共通する認識である。2016年9月の国連総会で訪米したシシは、トランプと面談している。
イスラエルのネタニヤフ首相も、もちろんヒラリーとトランプに会った。ヒラリーとしか面談しなかったのは安倍首相だったことは書いた。そのためにペルーAPEC出席の安倍首相は、わざわざ遠回りして、NYに立ち寄り、日本時間で2016年11月19日にトランプ次期大統領とあうことになった。
シシ大統領にとって、思想的に言えば「反イスラム」を標榜したトランプと友好関係を構築することは奇妙である。
しかし、そこはリアリズムが支配する世界。なにしろ「昨日の友は今日の敵」、裏切りが日常の風景である中東で、政治におけるマキャベリズムはぬきんでている。そうでなければ、「砂と血の大地」(村松剛)で権力を握ることはできない。
エジプトがねらうのは、かつてのナセル時代のように中東の主導的立場の回復であり、シシの野心はそこにある。
トルコのエルドアンもオスマントルコの再現が、政治的野心であるから、エジプトと競うようにトランプ政権に近づく。
▼トランプに中東問題を助言するワリド・フェラスとは何者か?
さてイスラエルはどうか。
イスラエルがオバマの中東政策に激烈な不満を抱いていたことは火を見るよりも明らかである。
最大の契機となったのは言うまでのなくオバマのイランとの核合意だった。ネタニヤフ首相はこれを「悪い合意」と露骨に不快感を示し、反射的に2016年だけでもプーチンと三回(通算四回)会見した。
ほかにも今年だけで、電話でプーチンと会談したのは六回。それほどにロシアとの接近をなして関係緊密化の素地を固めてきた。
11月15日にネゲブ砂漠にあるアリエル・シャロン軍事訓練基地を視察したネタニヤフ首相は、訓練中の兵士から予期せぬ質問を浴びせられた。
「シリアに猛攻をかけているロシアに急接近しているのはシリアへの軍事作戦で、ロシア軍と共闘するというシナリオもあるのか?」。
対してのネタニヤフ首相の回答は「軍事作戦でイスラエル軍がロシア軍と共闘するなどということはないが、将来もあり得ないとは言えない。いずれにしても、両軍の黙契が必要となるだろう」。(エルサレムポスト、11月16日)。
ここで急浮上してきた謎のロビィストがワリド・ファラスという人物である。
ファラスは「シシ大統領のクーデタの影の演出家」と言われ、近年、米国で市民権を得て、米国の中東論壇に頭角を現した。
四年前の大統領選挙では共和党候補のミット・ロムニーに中東問題で助言した。いつの間にかトランプ陣営に食い込み、次期大統領に中東問題をレクチャーしていた。
彼はレバノンの出身者で、レバノン軍にイスラム思想、その聖戦思想のバックグランドなどを講義していた。90年代に米国へ渡り、イスラエルロビィに加わった。
活躍した場はアカデミズムで、2015年には「米国にイスラムの強力なネットワークが出来ている。アカデミズムを装い、青年らを聖戦思想に感化している」と、早くからISの脅威に警告を発しつづけていた。
一部には「ファラスは戦争屋。彼が直接軍を動かせるほどの指導力はなく、単なる著述業者に過ぎない」という酷評もあるが、米国におけるユダヤロビィが分裂している空隙を縫ってトランプ陣営に近づき、イスラエルもまた、フェラスをロビィストの一角に活用できると踏んでいるのは確かであろう。
在米ユダヤロビィの最大政治団体「AIPAC」は、大統領上級顧問に任命されたバノンを批判してきた。バノンは反ユダヤ感情が強いと、ニューヨークタイムズは声高に非難した。
イスラエル・ロビィはトランプ政権内部の人事にも批判を強めることによって、バノンの影響力低下を狙っているわけだ。
▼「中東の地図」はロシアの算入でガラリと変わる
中東問題の解決への道筋は依然として霧の中である。
しかし南シナ海問題より、トランプ次期政権は中東問題解決を優先課題とするだろう。それにはプーチンとの対話が不可避的となる。
シリアの反政府勢力とISに猛攻を加えるロシアは、他方でイランの支援するヒズボラと緊密な連絡があるとイスラエル情報筋はみている。
ロシアはアサド政権の延命をはかりつつ、地中海の出入り口であるシリアの港湾を確保して軍事基地としての活用のほか、石油ガス運搬のハブとしても大いに利用しており、その利権を保守する。
したがって現時点でいえば、ロシアの進出はイスラエルの利益と必ずしも合致せず、イスラエルの諜報機関のひとつ、「シン・ベト」は「長期的視野に立てば、いずれイスラエルとロシアは対立することになるだろう」と予測している。
焦点のアサド(シリア大蟷螂)は、11月15日にポルトガルの国営テレビ「RTP」とのインタビューに応じて、「トランプ次期政権はIS退治に積極的であり、われわれと組める相手だ」と大胆な発言をしている。
彼は付け加えて、「ヨルダンとエジプトもトランプ政権となれば、裨益することが大きいだろう」と勝手な見通しを述べた。
打算と野心と計略が錯綜し、明日になれば立場が変わる魑魅魍魎の世界、それがアラブである。
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 しょひょう BOOKREVIEW
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「華夷秩序」なるものと国際法とは無縁である。
「世界史を一変させた日英同盟と日露戦争」
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倉山満『国際法で読み解く世界史の真実』(PHP新書)
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ばったばったと既成概念を斬り捨て、生半可な知識をずたずたに打ちのめし、その倉山氏の快刀の怪しい輝きも、磨けば磨くほどに光り出した。
本書でも左翼の支配するいびつな法律解釈の世界へ、突撃隊長として、とりわけ「国際法」とかいう薮の闇に敢然として乱入した。本書は世間に拡がっているデタラメな歴史解釈や世俗的な通説の誤りを斬りまくる。
そもそも「国際法」とは戦闘と殺戮に明け暮れた欧州で、いたずらに虐殺するのではなく、『戦争のルールを策定しよう』という動機でグロチウスが提唱した。だから基本からしておかしいし、倫理観は乏しいのである。
ウェストファリア条約では政治と宗教を区別し、それでようやく宗教三十年戦争は終わった。しかしイスラム世界にはまだウェストファリア条約に似たものは存在せず、ISもイランもイスラエルも、そしてシリアもトルコも暴力と戦争、謀略を日常茶飯として、局地戦に明け暮れている。「国際法って何?」の世界だ。
中国も同じで、「華夷秩序」なるものと国際法とは無縁である。
たとえば「世界史を一変させた日英同盟と日露戦争」という項目がある。日英同盟をイギリス側から、しかも国際法の観点からみると、どうなるか。
「日英同盟以前、大英帝国は『光栄ある孤立』政策をとってい」たので、フランスとの同盟さえ断った。「同盟なんて面倒くさい」と言い放っていたのである。
その大英帝国が二十世紀初頭になると陰り、衰えが見え始める。前後してボーア戦争に浪費し、東洋の権益追求どころではなくなった。
「イギリスは世界中に権益がひろがりすぎて、その維持にかかるコストも負担になっていました。日清戦争の直前に日本から持ちかけられた不平等条約の改正では、日本が自国の居留民を守ってくれるのであれば、保険として十分成立するという計算が働き」、改正に応じた。
そして1902年、大英帝国にとって日本と同盟を組む価値とは、『日本を極東の憲兵』とすることに置かれ、『栄光ある孤立』を捨てたのである。
しかし大英帝国にとっては日英同盟は極東に限定した約束事であり「ヨーロッパは関係がないから構わない=文明国相手の同盟ではない」という考え方に基づいていた。
「この状況をひっくり返したのが日露戦争」で英国から見れば「辺疆の蛮族と結んだ一時的かつ局地的な協定」でしかなかったのに、日本がロシアに勝つと、国際政治もガラガラぽん。
日本は大国の仲間入りを果たし、国際的に対等な扱いを受けることになった。
したがって国際政治での「同盟関係」とは一時的な打算によることが多く、長続きしないのが特徴、いまの日米同盟が、これほど長く続いていることを後世の歴史家はなんと書くのだろう。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)「株式日記と経済展望」というブログに興味深い記事がありました。
アメリカ大統領選挙でトランプ勝利を予測していた人物に映画監督のマイケル・ムーアがいたという。
http://blog.goo.ne.jp/2005tora
元記事はハフィントン・ポスト7月29日『ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう』
http://www.huffingtonpost.jp/michael-moore/5-reasons-why-trump-will-win_b_11254142.html
5つの理由の一番目は中西部の票読み。ラストベルト(錆びついた工業地帯)のミシガン、オハイオ、ペンシルベニア、ウィスコンシンといった五大湖を取り巻く4つのブルーステート(民主党が優位の州)の選挙人票は合計64、2012年の大統領選挙で敗北したミット・ロムニーとオバマの票差が64。
この4州を押さえることができればトランプ勝利。
二番目は怒れる白人、最後の抵抗。三番目がヒラリー問題。有権者の70%がヒラリーを信用できない、不誠実だと考えている。若い女性が最大の反ヒラリー派。ヒラリーはかつて「私は家でクッキーを焼くような人間じゃない」と言って反発を受け、専業主婦のブッシュ大統領夫人とクッキーレシピ対決をしたとは知らなかった。
五番目の「ジェシー・ベンチュラ効果」というのは90年代に、ミネソタ州で知事にプロレスラーが選ばれたことをいい、日本でも大阪の横山ノック、東京の青島幸男などがありました。
アメリカの既存の政治家に対する不満がそれほど強かった。//
