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From 藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授)



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 『三橋貴明の「新」日本経済新聞』

     2016/11/15




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マスコミの日本経済の過剰な「楽観報道」:「内需GDP」は四期連続ゼロ&マイナス成長
From 藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授)


トランプ大統領勝利は、世界的に広がる「アンチ・グローバリゼーション」の流れを象徴するものです。

グローバリゼーションとは要するに、「政府」を緊縮的で小さなものに縮小させていくと同時に、伝統的な「社会」構造を希釈化させることを通して生じた「政治社会構造の空隙」に、「カネ(だけ)がものを言う市場」を拡大させることを「是」(あるいは善)とする新自由主義イデオロギーでもって、世界各国の政治社会経済構造を画一的に作り替えていく流れ、です。

しかしそんな流れの中で、多くの人々が所得と職を失い、格差が広がり、しかもその必然的帰結として「需要」が伸び悩むことで生じたデフレによって成長それ自身が停滞します。

結果、人々の不満がどんどん蓄積され、ポピュリズム政治や全体主義が生じやすくなっていきます。

卑近な例では、大阪の橋下維新現象や昨今の小池知事のちょっとしたフィーバー現象もそうした流れの中にありますし、最近では英国のブレグジットもその流れの中で捉えることができます。

今回のトランプ勝利は、こうした「世界的なポピュリズム万円の流れ」の中に位置づけられる、という次第です(こうした流れは、一般に、カール・ポランニーが論じた 「大転換」のプロセスとして、すなわち、先の大戦が生じた政治社会経済的プロセスとして描写されているものと軌を一にするものです)。

ただ、橋下維新現象や小池フィーバー等のわが国のポピュリズムは、自分達を苦しめている新自由主義それ自身をさらに拡大させていこうとする「不健全な自傷行為」である一方、英米のポピュリズムは自らを苦しめている新自由主義を排除しようとするという意味において健全性を一面に持っている、という点は日本と欧米との大きな相違、ですね。

むろん、大阪都構想の「否決」は、アンチ・グローバリゼーションの流れ(というか、その切先)にあるとも言えますが、それは一自治体での話に過ぎず、トランプ現象やブレグジットの様な国家的な現象と、その「規模」がまた全く違います。

事実、「国家全体の政策の流れ」を見れば、日本におけるグローバリズム・新自由主義の影響力は、未だに健在(というか甚大)、と言わざるを得ません。

TPPを巡る状況は言わずもがなですが、緊縮財政が加速している現状についても然り。

こうした背景には、日本全体での
「グローバリズム・新自由主義に対する不満が十分に大きくない」
ということがあるのは明白。それは、我慢強いのか、あきらめているのか、気づいていないのか??いろいろと考えられますが、
「騙されている」
という疑義も濃厚にあります。

例えば最近では、次のような報道がありました。

「GDP 景気、依然綱渡り…年2.2%増」
http://mainichi.jp/articles/20161114/k00/00e/020/109000c

一見、景気は厳しい状況――
ということを伝えてはいますが、この記事には今の日本経済の「惨さ」が全く報告されていないのが実態です。

筆者が把握しているデータに基づけば、現実は「綱渡り」どころから「綱から滑り落ちた非常事態」にあるのが、日本経済の実情です。

つまり、(意図的か無意図的かはさておき)、国民はこうした過剰に楽観的なマスコミ報道に「騙され」ており、それゆえに不満が蓄積していない――と考えられるわけです。

ついてはこの記事を一例として、いかに国民が「騙されているのか」について、簡単に解説したいと思います。


(1)デフレ下では実質成長率には要注意
記事では「2.2%」成長と書かれていますが、これはあくまでも、物価の低迷を考慮した「実質」の成長率。

実際、「名目」成長率は「0.8%」に過ぎません。
なぜ、名目の方が1.4%も低いのかと言えば、物価が低下しているから、です。

つまり、実際のGDPは0.8%しか伸びていないが、物価が低下しているから、結果として、「見かけ上の実質成長率」は2.2%となっている、という次第。

つまり、2.2%という数字は、物価低迷によって「盛られた」数字です。
デフレの時代には、実質成長率だけで軽々に判断してはいけないのです。
(http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2016/qe163/__icsFiles/afieldfile/2016/11/11/nritu-mk1631.csv)


(2)今期の成長の最大の功労者は「輸入減少」次に、下記報道では「輸出が伸びた」と指摘、その上で「プラス成長を支えた輸出も、スマートフォンの新製品発売など一時的な増加に支えられた面が強い」と書いていますが、これは明確な間違いです。
下記データを見ると、輸出は1.8%も「減って」います。
(http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2016/qe163/__icsFiles/afieldfile/2016/11/11/nritu-mk1631.csv)

ではこの記者は何を書き間違えたのかといえば、彼が報告しているのは「純輸出」です。

「純輸出」とは輸出から輸入を引いた数値。
これは確かにでみれば、7.4%(=9.2-1.8)「増えて」います。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2016/qe163/__icsFiles/afieldfile/2016/11/11/kiyo-mk1631.csv

……ということは、輸入が減っており、かつ、その減り方が輸出の減り方よりも大きかったから、相対的に純輸出が増えた、ということが今回生じていた現象です。

実際、輸入は9.2%も減っています。

この輸入の減少が、今期のGDP成長を「支えた」という次第。

しかも、上記「寄与率」を見れば、この「輸入減」が、最大の寄与率となっています。つまり、今回の「成長」は、結局は「輸入が減った」ことによって得られたにすぎないのです。

(3)「内需経済」はマイナス成長している!
ちなみに、純輸出の影響を除いた「内需の寄与率」(名目)を下記データから求めると、なんと「-0.1」。

つまり、内需はマイナス成長しているのです。

ということは今回「輸入が減った」(これも内需の縮小を一部反映しています)ことで、内需の縮小分が埋め合わされ、かろうじて名目成長がプラスに「見えていた」というだけだという次第。

この報道では、「個人消費と設備投資は、依然弱いまま」と、さも弱いが内需は成長しているかのように書かれていますが、実際は内需は「衰弱=マイナス成長」しているのです。


(4)四期連続マイナス&ゼロ成長
さらにちなみに、過去1年間の内需の寄与率(名目)を見ると、「-0.6、-0.1、0、-0.1」と、四期連続マイナス&ゼロ成長(!)。

そしてこの一年間の輸入量は減少(寄与率はだからプラス、になります)、常にプラス、これまで過去一年間の名目成長はすべて「輸入減」によって支えられてきた、という次第なのです。

この事実は、国民に全く知らされていません。


(5)「公共投資」拡大が、大幅景気凋落をかろうじて支えている
また、この4期のうち、前期(本年4-6月期)だけ、かろうじて「内需マイナス成長」が避けられ「ゼロ」成長で「持ちこたえた」のですが、それを支えたのは、公的固定資本形成、つまり、公共投資だったのです。

つまり、過去一年間、日本の国内経済は縮小し続け、4-6月期だけは「公共投資の前倒し執行」によって、かろうじて「マイナスが避けられた」という次第です。

逆に言うなら、政府支出の拡大がなければ、内需経済は四期連続マイナス成長という、恐るべき「リセッション状態」にあった、ということになるのです。

このことは日本経済成長のためには、大規模な財政政策を、「民需が活性化」するまで、一定期間継続させることが必要不可欠であることを示しています。


・・・・


以上、いかがでしょうか?

おそらく、上記記事の記者も、詳しいデータを見ずに記事を書いたというのが実態で、「騙した」つもりはなかったものと思います。

ですが、結果的に国民は、

「ほんとは国内経済は一年にわたって恐ろしく縮小していっているのに、『輸入減』と『物価下落』によって「盛られた」実質成長率を見せつけられ、僅かずつでも成長しているかのように勘違いしている」

という事態に陥っているのが実情なのです。

これではまともな世論も形成されず、適切な経済対策も行われないし、「健全なポピュリズム」が形成されることもないでしょう――。

本記事を目にしたメディアや官僚、政治家、言論人などの「発言」をされる皆さんは是非、HPで公表されているデータくらいはきちんと見たうえで、間違いのない情報を提供するように、心がけていただきたいと思います。

それなく…

[続きはコチラから]
https://mypage.mobile.mag2.com/WebLeading.do?id=DpEA_u72AKf&position=4500&l=byb0cf6024#position

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