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今や中共に利用され台湾に投降勧告する「孫文」

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2016/11/14/Mon

■捏造史観―なぜ孫文が台湾の国父なのか

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北京の人民大会堂で開催された孫文生誕150年記念式典で「重要講話」に臨む習近平主席

台湾では貨幣の図案にもなっているように、孫文は中華民国の国父として神格化されている。それはこの人物が辛亥革命を指導し、中華民国を樹立したからだとされるが、おかしな話だ。

実際には孫文は革命に指導はおろかほとんど関与もしておらず、ただその国際的な知名度が買われ、一九一二年に中華民国臨時政府の初代臨時大総統に担ぎ上げられ、仕方なく約七十日間就任しただけだ。また辛亥革命の結果生まれた中華民国政府は、孫文・蒋介石など国民党が後年、南方で看板を掲げた中華民国政府とは全くの別物であるから、とんだ御都合主義の神格化といえる。

そして蒋介石はその「神」を亡命先の台湾へ持ち込み、住民動員のための洗脳の具として活用し、今でもお札やコインにその顔が見えるわけだ。

一方中共も国民党と同じ捏造史観に立ち、孫文の「帝政打倒、共和国建立、国共合作」を讃え、「中国近代革命の偉大なる先行者」などと位置付けている。

そしてこのように台中で祭り上げられる孫文は今、「公共財」「最大公約数」などと呼ばれ、双方の「一つの中国」交流における重要なキーワードとなっている。

そしてその生誕百五十年に当たる十一月十二日、中国ではその記念式典が厳粛に挙行され、習近平主席が「重要講話」を行ったのである。当然のことながら注目は彼が「中国統一」に向け、いかなるアピールをするかだったが・・・。

それに関しては産経新聞が同日、詳報を行っているので、ここに記事に一部を引用しよう。

■「孫文」で「統一」をアピールする中共の滑稽  

次のように報じている。

―――清朝を打倒した辛亥革命の指導者、孫文の生誕150周年を記念する式典が11日、北京の人民大会堂で開かれた。

―――習近平国家主席は国の指針を示す「重要講話」の中で、孫文が「国家統一と民族の団結」を擁護していたことに触れ、「いかなる政党や組織が中国の領土を分裂させることも絶対に許さない」と強調した。「一つの中国」原則を認めない台湾の蔡英文政権への牽制とみられる。

―――中国側は「中台の最大公約数」(環球時報)と位置づける孫文の功績をたたえることで、習指導部が掲げる「祖国の完全統一」をアピールする狙いがありそうだ。

―――(習氏は)「中国共産党は孫中山(孫文)先生の革命事業の最も忠実な継承者だ」と述べ、一党統治の正当性も訴えた。

孫文が「『国家統一と民族の団結』を擁護していた」というのは事実だ。

南方で中華民国政府を僭称し、北方の中華民国政府を打倒しようと中国統一の内戦に熱中したのが孫文(そしてその弟子の蒋介石)だが、しかしなぜ台湾人までが、そうした戦乱好きの中国人を見習わなければならないのか。

そもそも台湾では民主化以降、孫文の神格など事実上否定されている。だが習近平に取って、そんなことはお構いなし。滑稽すぎるほどの乱暴さである。

■亡国の国民党―北京の式典に台湾の退役将官の姿が

しかしこの「中国共産党は孫中山先生の革命事業の最も忠実な継承者だ」との習近平の滑稽発言は、それなりに台湾では政治問題になったのである。

なぜなら国父の神格が中共に奪われた格好になったからだ。

これは、いつもながらの中華民国はすでに存在せず、台湾は中華人民共和国の一部だとの宣伝の一環であるとともに、中共によって国民党のすっかり軽視、傀儡視されているのを物語るものでもあった。

産経は報じなかったが、この日の会場では、実際にそれを印象付ける場面があった。

中国中央テレビ(CCTV)の実況生中継で映され明るみに出たのだが、国民党員である呉斯懐元陸軍副司令官が式典に出席していたのだ。

中国出身、あるいはその血統の退役軍人が血は水より濃しとして、かつての不倶戴天の敵である中共に靡く例は枚挙にいとまはない。だが呉斯懐は最近話題の人物。民進党政権の年金改革に反対し、軍人などへの優遇政策の維持を訴えるなど反政府運動で躍起になっているところだから、習近平の講話に襟を正して聞き入る姿に、「手厚い退職金(退職金の高金利運用=年金)をもらいながら国を売る気か」との批判が巻き起こった。

実は会場には呉斯懐だけでなく、?春柏元副主席、許水徳元秘書長などの大老や、二十数名の退役将官など、国民党籍の大物も多数参列していたのだ。彼らはみな「国父」が中共に奪い取られるのを大人しく眺めていたのである。

■「孫文」は台湾への降伏勧告のシンボルに

一方、国民党本部では、洪秀柱主席が「孫中山の継承者はもちろん国民党だ」と反論した。

しかしその一方で「国民党は共産党、民進党なども孫中山を尊崇することを歓迎する」とも付け加えており、どこまで深刻に問題を捉えているかがわかりにくい。

実は彼女の考え方は、十一月一日の習近平との対談(国共トップ会談)で見せた次の言葉でより明確になろう。

―――孫中山の大きな偉業は全中華民族の等しく偲ぶところ。民族復興、民権発達、民生楽利の推進を畢生の仕事とし、最初に中華振興を呼び掛けた歴史的偉人。海峡両岸は孫中山を師と仰ぎ、民族復興の大業を創り出さなければならない。中山先生の偉大なる理想を追い求めるため、今日の会談に臨みたい。

国民党主席は中共総書記との国共トップ会談を行うたび、中共の不興を買うのを恐れ、国民党が掲げる「一つの中国」原則の「中国」は「中華民国」を意味するとの主張を差し控え、そればかりかその国名自体にすら言及しないで来た。それだけでも充分な亡国姿勢と言えるのだが、その日の洪秀柱はさらに一歩進み、両者間で意見が異なる問題は棚上げするとし、中国との交流では自国名を唱えないことを事実上宣言しているのである。

そうした傀儡的な姿勢で洪秀柱は、孫文の「理想」を共に追求して行こうと習近平に訴えたのだ。

そのような人物、党であるから、習近平から「中国共産党は孫中山先生の最も忠実な継承者だ」と言われた程度で、一々本気で異を唱えることなど最早できないはずである。

ちなみに台北市内では十二日、中国国旗を掲げて中国統一を訴える政治団体が習近平と孫文の二人の肖像を掲げ出した。国父孫文は今後、台湾の対中投降を促す中華民族運動のシンボルとなりそうだ。

■悲哀!今や中華民国体制の護持者は民進党

産経は習発言だけでなく、それに対する台湾の民進党政権の反応も伝えている。

―――台湾で対中政策を主管する行政院(内閣に相当)大陸委員会は11日、中国の習近平国家主席が孫文生誕150周年記念式典で行った講話に対し、「孫中山(孫文)先生は中華民国を創建した」とした上で、台湾当局が名乗る「中華民国」が「客観的に存在する事実に向き合うべきだ」と中国側に呼びかける報道文を発表した。

かつて中華民国からの台湾独立を志向し、そのため国民党と鋭い対立を続けてきた民進党だが、このように今や民進党の方がよっぽど中華民国体制の護持者であるかの感がある。

もっとも同党にとって中華民国とは、台湾を中国の一部とする「一つの中国」の考えとは無関係の一つの独立した主権国家との位置付けで、現状そのままの捉え方だ。

しかしそれでも「孫中山先生は中華民国を創建した」などと、国民党の捏造宣伝を掲げなければならないところに、中華民国体制護持者の悲哀というものがあるのである。

「民進党も孫中山を尊崇することを歓迎する」などとし、民進党やその支持者に中華民国体制の護持を訴える国民党。それはあくまで国内向けの顔にすぎないのだから台湾情勢とは複雑だ。

こうした不正常な状況はひとえに国共両党の「中華民族」がもたらすもの。そうした不必要な影響さえなければ、台湾はとうに台湾人の国家とし正常に機能していよう。


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