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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)10月19日(水曜日)
        通算第5065号   <前日発行>
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 ロシアのハッカー部隊(「ファンシー・ベア」)が米国大統領選挙を妨害?
  民主党とリベラル派マスコミ、必死の予防線。ならば中国のハッカーは?
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 「米民主党とリベラルなメディアが口を揃えてロシアが民主党のコンピュータにハッカーを掛けて侵入し、選挙を妨害していると騒ぎ立てている。おなじく米国のNSAも、ロシアのSNSにハッカーを掛けているが、そのことを問わないばかりか、トランプを阻止するためにと民主党の不正行為、腐敗、ヒラリー陣営とリベラルマスコミのただれた関係を暴露されるのを恐れている」
 これはトランプの発言ではなく、『ワシントン・タイムズ』(10月15日)の記事である。

 トランプ攻撃は凄まじかった。過去の些細な事件の『噂』を並べ立てて人権を無視した個人攻撃。証拠などテレビニュースの段階では不要とばかりに、民主党とリベラルなマスコミの共同作戦、トランプ候補を貶める陰謀ともとれる。

 なぜこうまで激しく攻撃するかといえば、実際にヒラリー当選が危ないのである。世論調査を何度繰り返しても、彼女の優位がでてこない。
 ついには200の新聞がトランプ攻撃に転じ、30のメディアは社説でヒラリーへの投票を呼びかけた。

 トランプの反グローバリズムを恐れるウォール街、これに呼応する共和党保守本流、そして移民排斥などで対立する民主党の主流派が一斉に共闘をくむかたちとなった。

 あまりのことに共産党主流派、上下両院の選挙への悪影響を勘案し、トランプへの組織だった支援をしないことにし、ライアン下院議長は日和見を宣言した。これでヒラリーの辛勝への道が開けたというのが、この時点(10月20日)時点の情勢となった。
 トランプの逆転勝利の展望は期待薄となった。

 トランプはツィッターを駆使して、民主党の不正がまかり通っていると、はやくも選挙無効の予防線を張り始めた。

しかし米マスコミが異常な興奮でロシアのハッキングを脅威視しているが、トランプは「ロシアは妨害しているかも知れない。しかし、それならば中国のハッキングはどうなのか? ほかの国からのハッキングや個人によるものはどうなのか」と問いかけてみせた(『TIME』、10月10日号)。

 それまでは中国のハッキングばかりをオバマ政権は批判してきたではないか。今回の大統領選挙で、中国のハッカーの影が薄いのは、米マスコミの情報操作ではないのか。
 そのうえ、中国は現状維持で、御しやすいのはクリントン候補だから、トランプに共鳴するプーチンとは立場が異なり、妨害に出ていないのかも知れない。


 ▼過去を振り返ればロシアのハッカー軍団の選挙妨害はあった

 たしかに2011年のエストニア選挙ではロシアが総選挙にハッカー攻撃をしかけて、妨害した。
エストニアはIT先進国に変貌しており、世界で初めて国民がスマホで投票をするという投票様式を採用する実権場となった。

 エストニアをもがれた格好のロシアとしては面白い筈がない。
 そこで、エストニアにハッカー攻撃を集中し、選挙を見事に妨害した。
エストニアh通信のインフラが脆弱で、そのうえ、エストニア国内にはロシア人コミュニティがあちこちに残存しており、ロシアの第五列の役割を果たすからである。

その後も、ロシアはフランスでルペンの国民戦線に900万ユーロを迂回融資し、またドイツではテレビ局の番組を乗っ取ってISの旗を掲げたり、東欧の選挙にもハッカーを仕掛けてきた。
 このハッカー部隊は「ファンシーベア」を呼ばれる。

 米大統領選挙では、選挙開票は機械が自動的に選挙区内の統計をとるが、投票所の機械とインターネットとは連動しておらず、閉鎖回路である。ロシアが選挙の開票を妨害したり、集計を誤魔化す可能性は殆ど不可能と言える。

そこで残る危険性として、取りざたされているのは、その前の段階においての有権者のデータ改竄である。
 選挙の投票現場で大混乱が導き出される危険性がある。

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