賄賂で採択されていた教科書

 皆さんは自分の子供がどんな教科書で学んでいるか、のぞいてみたことはありますか? 中学生や高校生の使う教科書、特に歴史の教科書の記述に問題が多いことはご存じだと思います。しかし、教科書の内容ではなく教科書を選ぶ過程に不正が横行していたことが最近、分かってきました。ことの発端は一昨年の8月、三省堂が全国の公立小学校の校長を都内のホテルに招き「白表紙本」という、外部の人には閲覧を禁じている検定中の教科書を見せて「意見を聞き」謝礼として1人5万円を渡していたことが発覚したのです。53人いた校長のうち、教科書採択に関わっていたのは21人だったそうです。

 報告を受けて義家文部科学省副大臣が「正直に報告しないと、違反した会社の発行人資格剥奪も考える」と脅すと、なんと! 22ある教科書発行会社のうち12社が似たようなことをしていたことを認めたのです! 「意見を聞いて」謝礼を渡していた人数が一番多い会社は「東京書籍」で2245人に金品を渡していたそうです。1人に1万円渡していたとしても2000万円以上のお金が動いたわけです。しかしこれでも現在、表面に出てきている事例はまだ氷山の一角だと思われるので、文部科学省にはこれから徹底した調査をお願いしたいものです。

 2月24日、東京書籍、教育出版を初めとする教科書会社10社がこの件でそろって文部科学省に謝罪をしました。馳文部科学大臣はそれを受けて「現場の声を聞きたいということもあるでしょうから、それを否定するつもりはありませんが」と教科書会社をかばうような発言をしていましたが、それでいいのでしょうか? 公務員である教員が賄賂を受け取れば立派な犯罪です。金品の授受がどの程度なのか、それ以外にも接待の事実はないのか、など調べる必要があります。もし自分が使っている教科書が賄賂で選ばれたことが生徒に知れたら、生徒はどんな気持ちがするでしょうか?

 教科書はいったん採択されれば大口の注文が確実に取れる上に次の検定まで4年間、何もしなくても毎年同じ部数、売れるのですから教科書会社にとっては美味しい商売です。教科書を一つ一つ丁寧に見比べて選ぶような教師はほとんどいないのですから、この制度自体が腐敗を生みやすいと言えます。

 平成13年度から中学の歴史と公民の教科書を作成している「新しい歴史教科書をつくる会」は3月7日、一連の「贈収賄」事案について、該当する教科書会社10社の社長を「贈賄」の罪で東京地検特捜部に刑事告発しました。さらに文科大臣宛てに刑事告発の報告をし、下記の申し入れを行いました。今回の教科書業界の不祥事の全体像がよく分かりますので、参考にご覧になってください。