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『三橋貴明の「新」日本経済新聞』
2016/01/12
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FROM 藤井聡@京都大学大学院教授&内閣官房参与
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【解説】
「人口減少で日本経済は本当に衰退するのか?」
データに基づいて三橋貴明が解説
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https://www.youtube.com/watch?v=IPXsFyPE7uM
富とはお金のことだと思っていませんか・・・?
https://www.youtube.com/watch?v=PnqVW9dgeMA
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インフラというものは、長期的な視点から長い年月をかけて、少しずつ作り上げていくものです。行き当たりばったりの単年度判断が許されるものではありません。
例えば全国の道路網や新幹線網は、数十年後にどのような「ネットワーク」が出来上がるのかを見据えた上で、毎年少しずつ進めていくことが必要です。そうでなければ、合理的なインフラ形成は不可能です。
ところが、
予算の「単年度主義」
がある限り、長期的な視点に基づいたインフラ整備は困難なものとなってしまいます。
ましてや今、政府は「プライマリーバランス」(PB)を基準に、あらゆる支出を厳しく絞り込もうとしており、これが、「将来のインフラネットワーク」の形成を大きく妨げる要因となっています。
しかし、そもそもインフラ整備のための財政支出は、単なる「所得移転」「消費」とは全く異なるものです。
なぜなら、インフラ整備に支出すれば、「資産」がストックとして残るからです。そしてその資産が、産業をささえ、経済を支えるのです。
だからインフラについては、毎年毎年の状況に左右されるような通常の予算とは異なる形で財源を調達し、淡々と整備していくことが必要なのです。
それはちょうど、家を建てる一般家庭が「住宅ローン」と、「日々の食事や旅行のための借金」とを全く別物として取り扱っているのと同じです。あるいは企業が、工場をつくる投資のために銀行からお金を借りることはあっても、社員に毎月支払う給料のための借金を重ねるようなことはしない、というような話と同様です。
つまり「投資」のため借金は、食事や旅行と全く異なり、資産が残り、その資産が将来の利益や経済効果、そしてそれを通した「税収増」をもたらすため、その他の項目よりもより「許容」されるのが一般的なのです。というよりもむしろ、その国の発展、経済の成長のために、時に「積極的に推奨」されるものでもあります。
それはちょうど、経済発展のためには「企業の民間投資」が推奨されていることと同様です。
そもそも「企業の民間投資」のは多くは、銀行からの融資を受けて行われます。つまり「借金」をして投資をするわけです。ですから、しばしば成長戦略やアベノミクス等で「企業の民間投資を推奨する」と言われていますが、それは要するに「民間の借金を推奨する!」と言っているに等しいわけです(無論、今日では内部留保金の寒流を促すという側面もありますが)。
こうした考えから、
「投資」のための借金のための、「建設国債」とそれ以外の「赤字国債」「特例国債」
とが、歴史的に、明確に区別されてきたのです。
そして、建設国債は国会決議無しで政府は発行できる一方で、赤字国債については歯止めをかけるために、国会決議が必ず必要であるということに法的に定められているのです。
しかも、毎年毎年の事情に振り回されず、インフラを長期的な視点で形成していくために、かつてはそのための「財布」も明確に区別されていました。
政府の基本的な財布は「一般会計」と呼ばれるものですが、それとは別の財布として「特別会計」(略して特会)がインフラ関係には作られていたのです。
「一般会計」には「プライマリーバランス」の制約がかけられ、毎年の事情に合わせて規制がかけられることもしばしばです。ですが「特別会計」はまさに特別につくられた「別の財布」ですから、PB規制の範囲外となり、短期的な事情ではなく「長期的な視野」に基づいて運営していく事が可能となります。
例えば、今日でも、東日本大震災の復興に関しては長期的視野から対応していく事の必要性を鑑み、特別会計が作られています。インフラについても、空港整備については、一般財源からは切り離された運用がなされています。
ただし、かつては(といっても、ほんの数年前まで、です)、道路や河川等、事業ごとに特別会計が作られていました。その後それらは全て「社会資本整備」のための一つの特別会計にまとめられたのですが、その社会資本整備の特別会計も、平成25年に「廃止」となり(一部を除く)全てが、「一般会計」に繰り入れられることとなりました。
その時から、インフラ整備は全て、PBの影響を直接受けることとなりました。
もしも、消費税増税ショックも無く、中国危機やユーロ危機などの世界恐慌リスクも無い状況なら、そしてそれと同時にPB規制を基軸とした緊縮の思想が基本路線でなかったのならば、それはそれで大きな問題は無かったとも言えるのかもしれません。
しかし、今や消費税増税のショックを引き摺った状態で世界恐慌の大波をかぶろうとする状況に至っています。しかもそんな中で、毎年の名目成長率3~4%を確保して2020年には600兆円をたたきだす事を政府目標に掲げています。
平成25年に特別会計を廃止した時点と、状況は大きく変わってしまったのです。
こんな状況では、経済に対して「フロー効果」(現下では、財出によってデフレギャップが埋まり、経済成長が実現していくという効果)と「ストック効果」(できあがったインフラが供給力と需要の双方を刺激し、経済成長が促されるという効果)の双方を通して強烈な経済効果を持つインフラ投資を、短期的な消費支出と一緒くたにした一般会計で管理し、PBの視点から抑制し続けていれば、600兆円の政府目標の達成も覚束なくなってしまいます。
こうした状況を打開するには、これまでの特別会計に関する経緯を踏まえながら、今日の危機的な状況を踏まえた新しい会計制度を、インフラ形成に関して考えていくことが何よりも大切です。
例えば現在も運用されている空港や復興のための特別会計も含め、「公的資本形成」の視点から特別な会計制度の必要性を改めて見直し、「ストック形成特別会計」「アベノミクス投資特会」、あるいは「成長戦略特別会計」などの発想で、長期的に合理的なインフラ形成のための新たな特別会計を設置していくという方法が考えられます。
あるいは、「国土強靭化・地方創生特別会計」「新幹線特別会計」といった今日的な課題に対応するための制度も考えられるかもしれません。
もしこうした特別会計ができれば、少なくとも次の二つの重大な国益に叶うメリットを得ることができます。
第一に、特別会計は上述のようにPB規制の対象外となるため、長期的な視野に基づいたインフラ形成が可能となります。繰り返しますが、インフラが形成されれば、長期的には成長を促し、税収増をもたらし、財政再建を促すものです。
ただし、その効果が現出するには、5年、10年、20年という時間を要しますから、単年度主義のPBの発想では、そうした長期的な財政再建効果は勘案できないのです。だから、インフラ形成に対しては、PBとは異なる基準で(例えば、経済、財政を見据えたストック効果分析)、事業の評価を行わなければならないのです。
第二に、今、日銀による強力な金融緩和で、国債市場で国債が足りない、という現象になっています。この状況への対応の一つとして政府は国債の前倒し発行(前倒し債)を前年度より16兆円も増やし、16年度は48兆円に引き上げる見通しとなっています。これで国債をより豊富に市場供給できる格好となっているのですが、それは一般会計内部であるため、政府目標のPBを悪化させることとなっています。
しかし、(ワイズスペンディングの理念に基づいたきちんとした事業評価を前提としつつ)特別会計で国債を発行すれば、PBを悪化させずに市場に国債供給が可能となるのです。
今、安倍内閣は、消費税増税による経済ショックと世界恐慌リスクの直撃に晒されながら、GDP600兆円を実現し、成長と財政再建の両者の達成を目指そうとしています。
この難事業を達成するには、今の会計制度では到底不可能なのではないか??筆者は、心の底からそう懸念しています。
特別会計を大きく変更した平成25年から、状況は完全に変わっています。今こそ、激変する世界状況に対応し、GDP600兆円を実現するためにも、新しい会計制度の議論を始めなければなりません。
本稿がその契機となることを、心から祈念したいと思います。
PS「合理的なインフラ形成」にご関心の方は是非、下記ご一読ください。
http://www.amazon.co.jp/dp/4569826342
---発行者より
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