◆■■■◆◆ 泉 ユキヲの 国際派時事コラム ◆◆■■■◆
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/
東芝の不適切会計、わたしの目線
■■■■第400号■■平成27年8月20日発行■■■◆
Amazon 販売サイトで文春新書『英語学習の極意』に、こんな読者コメントをいただきました:
≪これが一番実質的指導書
内容的に最もはったりがなく、現実的な学習法が紹介されていると思う。
早読みして、覚えようという意識なしで覚えてしまう勉強法など、なるほどと思わされる。
辞書の評も使い方も学習者の意識に沿っていて、しかも最も効果が上がる方法を自信を持って示してくれていると思います。
他言語も含め、英語学習法はこれで決まり!≫
販売が伸びれば Kindle 版も出してもらえそうです。どうかお手にとっていただければと思います。
Amazonなどへの読者コメント書き込みも歓迎です。
■■
東芝の不適切会計、わたしの目線
■■
東芝の不適切会計は、歴代の社長3人がそろって職を辞するドラマが、巧みな目くらましとなった。
民衆向けに意図した演出だったと思う。
城主の切腹は劇的だが、中堅社員の目線で見たい。メディアであまり語られていないポイントを指摘したい。
■「悪材料は出し切る」のが経営の常識だが ■
第三者委員会の報告書が出たとき、変だなと思ったことがある。
不適切会計による利益上増しの最初の年とされる平成20年度は、東芝の史上最悪の赤字の年だった。
平成20年度に東芝の税引前損益は ▲2,793億円。
第三者委員会の報告によれば、ホントの税引前損益は▲3,075億円であるべきだった。
282億円の水増しがあったと結論づけている。
「業績があまりに悪くて、みっともなかったから、少しでも良く見せようとして水増ししたのだろう。やったことは悪いが、いちおう、動機は理解できる」
ですって? とんでもない!
企業経営のイロハは?
膿を出すときは一気に出し、翌年度からの好業績を確保するのが、正である。
だらだらと低空飛行するのではなく、どぼ~んと沈むときには思い切り沈む。
業績が決定的・構造的に悪い年度には妙なやりくりで粉飾せず、むしろ損切りすべきものをどんと集めて、巨額赤字の年にする。
市場に向けて「悪材料は全部出し切った」と宣言して、翌年から好業績路線に復帰する。
これが現代の企業経営の常識である。
■ 異常値を如実に示すPC事業の営業利益推移 ■
東芝のトップマネジメントは、そんな基本も知らなかったのだろうか。
天下の東芝だ。トップがそこまで愚鈍ではあるまい。
平成20年度より以前から、事実上の粉飾決算に手を染めていたにちがいない。
もともと大赤字の平成20年度が、まさか不適切会計の第1年ではあるまい。
……と考えたのだが、第三者委員会の調査報告書の末尾の「別紙3 PC事業月別売上高・営業利益推移(平成17年4月~平成27年3月)」を見ると、異常値が見受けられるのは平成20年第1四半期からである。
どうやら東芝のトップマネジメントは、ほんとに企業経営のイロハを知らなかったようだ。
どうなんでしょうね。
調査報告書の要約版が、東芝のサイトで読める:
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20150720_1.pdf
途中をすっ飛ばして、まずは最後のページを見てほしい。
「別紙3」がある。
パソコン事業の月ごとの「売上高」と「営業利益」の折れ線グラフがある。
■ 新日本監査法人の監査のありかたも問うべきだ ■
「売上高」の青線に、特段の異常は見受けられない。
平成18年(2006年)3月と平成22年(2010年)3月が、その年度で突出して売上高の大きい月になっていて、駆け込みで売りまくった営業努力の汗と涙が伝わってくるが、まぁこれは「商売はつらいよ」の世界だろう。
(この数字まで粉飾だったら、救いがない。)
問題は「営業利益」の赤線。
平成20年(2008年)から振幅が激しくなる。
平成24年(2012年)9月には、なんと、月の売上高より営業利益が多いというトンデモナイことになり、その後も振幅はエスカレートする。
売上高と営業利益は、経理上の基本中の基本の数字だ。
ここまで異常値が出ていて気がつかない新日本監査法人は、いったいどんな監査をしていたのだろう。
「東芝トップとグルだった」と言われても仕方ないのではないか。
なぜこれが分らなかったのか、きちんと申し開きをしてほしい。
調査報告書要約版も、69~70頁で新日本監査法人を擁護している。一読して、あまりに手ぬるいように思える。
■ ひとごととは思えない ■
東芝のPC事業は平成20年度から「四半期の最後の月に利益を前倒し計上して(=コスト計上を先送りして)四半期の利益を上積みする」不適切会計を始めた。
前倒し計上した分だけ、翌月の営業利益は沈む。
沈んだままだと四半期の数字が悪くなるから、またまた次の四半期の最後の月に、もっと大きな額の利益を前倒しで計上する。
これを繰り返すので、営業利益の月次の額の振幅がどんどん大きくなった。
本社の経理も営業も、じつに多くの社員がこの不適切会計のことを知っていたはずだ。
「おかしい!」「こんなやり方は間違っている!」
と異議を唱える社員は組織にとって危険人物だから、ていよく出世の道を断たれたに違いない。
見せしめになった社員もいたと思う。
わたしが東芝にいたら、真っ先に異議を唱えて、会社人生の将来をつぶしただろう。
前途有為の少なからぬ社員が、つぶされたのではないか。
気骨のある社員を会社の本流に戻す作業に、東芝は真剣に取り組んでもらいたい。
■ 再生を心から望む ■
きょうの結びとして、第三者委員会調査報告書の最後の部分を引用したい。
≪東芝の多くの役職員にヒアリングを実施したが、おしなべて、真面目にかつ真摯(しんし)に業務に取り組んでいることが窺(うかが)われた。
そして、ヒアリングの中で、多くの役職員から反省の弁と併せて、不適切な会計処理が行われてきたことを憂うとともに、その再生を心から望む声も聞かれた。
また、本委員会の設置した内部通報窓口にも、同様の声が寄せられた。
このような東芝の人財と様々な関係者の絶えざる東芝への期待と想いが、東芝のこれからの再生を後押しするものと本委員会は考える。≫
わたしも短い時間だったが東芝の人たちと仕事でお付き合いがあった。
東南アジア向けに輸出する火力発電プラントに、東芝の発電機が含まれていて、何度か東芝で会議をしたことがある。
頭の切れる、ユーモアをたやさないプロジェクトマネージャー。
補佐する女性もきわめて有能だった。
東芝には、いい印象をもっている。
頑張れ、東芝!
==
■ 後 記 ■
平成32年東京オリンピックのシンボルマーク(=エンブレム)を作成したとされる佐野研二郎さんは
「ベルギーのリエージュ劇場のロゴマークは、見たこともなかった」
という点を強調するわけです。
しかし、それがホントだとしても、シンボルマークの制作にかかわった配下のチームの面々の中には、リエージュ劇場のロゴマークを見たことのあるひとがいたのではないか。
かかわったチーム全員から個別に聞き取り調査をして、その結果を公開すべきなのではないか。
「それをやられては困る」と言うひとがいたら、問題ですね。
■主宰 泉 ユキヲ(いずみ・ゆきお Izumi Yukio)
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Amazon 販売サイトで文春新書『英語学習の極意』に、こんな読者コメントをいただきました:
≪これが一番実質的指導書
内容的に最もはったりがなく、現実的な学習法が紹介されていると思う。
早読みして、覚えようという意識なしで覚えてしまう勉強法など、なるほどと思わされる。
辞書の評も使い方も学習者の意識に沿っていて、しかも最も効果が上がる方法を自信を持って示してくれていると思います。
他言語も含め、英語学習法はこれで決まり!≫
販売が伸びれば Kindle 版も出してもらえそうです。どうかお手にとっていただければと思います。
Amazonなどへの読者コメント書き込みも歓迎です。
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東芝の不適切会計、わたしの目線
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東芝の不適切会計は、歴代の社長3人がそろって職を辞するドラマが、巧みな目くらましとなった。
民衆向けに意図した演出だったと思う。
城主の切腹は劇的だが、中堅社員の目線で見たい。メディアであまり語られていないポイントを指摘したい。
■「悪材料は出し切る」のが経営の常識だが ■
第三者委員会の報告書が出たとき、変だなと思ったことがある。
不適切会計による利益上増しの最初の年とされる平成20年度は、東芝の史上最悪の赤字の年だった。
平成20年度に東芝の税引前損益は ▲2,793億円。
第三者委員会の報告によれば、ホントの税引前損益は▲3,075億円であるべきだった。
282億円の水増しがあったと結論づけている。
「業績があまりに悪くて、みっともなかったから、少しでも良く見せようとして水増ししたのだろう。やったことは悪いが、いちおう、動機は理解できる」
ですって? とんでもない!
企業経営のイロハは?
膿を出すときは一気に出し、翌年度からの好業績を確保するのが、正である。
だらだらと低空飛行するのではなく、どぼ~んと沈むときには思い切り沈む。
業績が決定的・構造的に悪い年度には妙なやりくりで粉飾せず、むしろ損切りすべきものをどんと集めて、巨額赤字の年にする。
市場に向けて「悪材料は全部出し切った」と宣言して、翌年から好業績路線に復帰する。
これが現代の企業経営の常識である。
■ 異常値を如実に示すPC事業の営業利益推移 ■
東芝のトップマネジメントは、そんな基本も知らなかったのだろうか。
天下の東芝だ。トップがそこまで愚鈍ではあるまい。
平成20年度より以前から、事実上の粉飾決算に手を染めていたにちがいない。
もともと大赤字の平成20年度が、まさか不適切会計の第1年ではあるまい。
……と考えたのだが、第三者委員会の調査報告書の末尾の「別紙3 PC事業月別売上高・営業利益推移(平成17年4月~平成27年3月)」を見ると、異常値が見受けられるのは平成20年第1四半期からである。
どうやら東芝のトップマネジメントは、ほんとに企業経営のイロハを知らなかったようだ。
どうなんでしょうね。
調査報告書の要約版が、東芝のサイトで読める:
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20150720_1.pdf
途中をすっ飛ばして、まずは最後のページを見てほしい。
「別紙3」がある。
パソコン事業の月ごとの「売上高」と「営業利益」の折れ線グラフがある。
■ 新日本監査法人の監査のありかたも問うべきだ ■
「売上高」の青線に、特段の異常は見受けられない。
平成18年(2006年)3月と平成22年(2010年)3月が、その年度で突出して売上高の大きい月になっていて、駆け込みで売りまくった営業努力の汗と涙が伝わってくるが、まぁこれは「商売はつらいよ」の世界だろう。
(この数字まで粉飾だったら、救いがない。)
問題は「営業利益」の赤線。
平成20年(2008年)から振幅が激しくなる。
平成24年(2012年)9月には、なんと、月の売上高より営業利益が多いというトンデモナイことになり、その後も振幅はエスカレートする。
売上高と営業利益は、経理上の基本中の基本の数字だ。
ここまで異常値が出ていて気がつかない新日本監査法人は、いったいどんな監査をしていたのだろう。
「東芝トップとグルだった」と言われても仕方ないのではないか。
なぜこれが分らなかったのか、きちんと申し開きをしてほしい。
調査報告書要約版も、69~70頁で新日本監査法人を擁護している。一読して、あまりに手ぬるいように思える。
■ ひとごととは思えない ■
東芝のPC事業は平成20年度から「四半期の最後の月に利益を前倒し計上して(=コスト計上を先送りして)四半期の利益を上積みする」不適切会計を始めた。
前倒し計上した分だけ、翌月の営業利益は沈む。
沈んだままだと四半期の数字が悪くなるから、またまた次の四半期の最後の月に、もっと大きな額の利益を前倒しで計上する。
これを繰り返すので、営業利益の月次の額の振幅がどんどん大きくなった。
本社の経理も営業も、じつに多くの社員がこの不適切会計のことを知っていたはずだ。
「おかしい!」「こんなやり方は間違っている!」
と異議を唱える社員は組織にとって危険人物だから、ていよく出世の道を断たれたに違いない。
見せしめになった社員もいたと思う。
わたしが東芝にいたら、真っ先に異議を唱えて、会社人生の将来をつぶしただろう。
前途有為の少なからぬ社員が、つぶされたのではないか。
気骨のある社員を会社の本流に戻す作業に、東芝は真剣に取り組んでもらいたい。
■ 再生を心から望む ■
きょうの結びとして、第三者委員会調査報告書の最後の部分を引用したい。
≪東芝の多くの役職員にヒアリングを実施したが、おしなべて、真面目にかつ真摯(しんし)に業務に取り組んでいることが窺(うかが)われた。
そして、ヒアリングの中で、多くの役職員から反省の弁と併せて、不適切な会計処理が行われてきたことを憂うとともに、その再生を心から望む声も聞かれた。
また、本委員会の設置した内部通報窓口にも、同様の声が寄せられた。
このような東芝の人財と様々な関係者の絶えざる東芝への期待と想いが、東芝のこれからの再生を後押しするものと本委員会は考える。≫
わたしも短い時間だったが東芝の人たちと仕事でお付き合いがあった。
東南アジア向けに輸出する火力発電プラントに、東芝の発電機が含まれていて、何度か東芝で会議をしたことがある。
頭の切れる、ユーモアをたやさないプロジェクトマネージャー。
補佐する女性もきわめて有能だった。
東芝には、いい印象をもっている。
頑張れ、東芝!
==
■ 後 記 ■
平成32年東京オリンピックのシンボルマーク(=エンブレム)を作成したとされる佐野研二郎さんは
「ベルギーのリエージュ劇場のロゴマークは、見たこともなかった」
という点を強調するわけです。
しかし、それがホントだとしても、シンボルマークの制作にかかわった配下のチームの面々の中には、リエージュ劇場のロゴマークを見たことのあるひとがいたのではないか。
かかわったチーム全員から個別に聞き取り調査をして、その結果を公開すべきなのではないか。
「それをやられては困る」と言うひとがいたら、問題ですね。
■主宰 泉 ユキヲ(いずみ・ゆきお Izumi Yukio)
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