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『三橋貴明の「新」日本経済新聞』
2015/04/21
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From 藤井聡@京都大学大学院教授
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●●憲法9条は日本の誇りなのか? 国家の危機の原因か?
月刊三橋最新号のテーマは「激論!憲法9条~国家の危機に備えるために」
https://www.youtube.com/watch?v=4OQ4DnbgVS0&feature=youtu.be
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筆者にとって「都構想」は、大阪市民の未来にとって「論外」としか言いようの無い代物である、ということは、これまでも繰り返し指摘してまいりました。
例えば、当方のHP『大阪都構想を考える』では、それが如何に馬鹿馬鹿しい代物にしか過ぎないのか、そして、それを巡る議論が如何に不条理極まりないものなのかがわかる情報を連日配信しています(この度、抜本的にリニューアルしましたので、是非、改めてご参照ください!)
http://satoshi-fujii.com/
にも拘わらず、今、大阪市内には、反対派に拮抗する程も大量の市民が、都構想に「賛成」の意を表明しています。
これは、大変に興味深い「社会心理現象」です。
もちろん、郵政民営化や事業仕分け、古くはドイツのナチズム等、普通に考えれば反対する他ないような愚かな選択肢が大衆的に支持されるという現象は、歴史上、枚挙に暇なきところです。しかしやはりここまで馬鹿馬鹿しい論外な政策が大衆的に支持されるという現象を目の当たりにすれば、やはり興味深いとしか言いようがありません。
ついては本日は、「都構想」に賛成してしまう人間心理について、各種の心理学理論を参照しつつ、(学術的な視点から)考察したいと思います。
【1.政治心理学の視点から】
政治心理学理論に基づくと、今日の大阪における大衆社会現象は明確に、マスメディアの影響を甚大に受けていることは明白です。
特に、賛成者の三分の二の方が、賛成の理由として挙げているのが「二重行政の解消」なのですが、これは、一貫して、都構想を推進する維新の会が、この論点を徹底的にプロパガンダし続け、これがマスメディアでも繰り返し取り上げられたからに他なりません。
「都構想」の是非判断において、二重行政の問題はごく一部の項目に過ぎず、かつその効果は「たった1億円」しか無いという事が議会答弁で明らかにされています。実態的には、まちづくり、財源、権限、自治等、「二重行政」よりもはるかに重要な項目が大量に存在しているのですから、冷静に考えれば実に不思議な心理現象です。
しかしこれは政治心理学で繰り返し証明されてきた、
「議題設定効果」
の政治心理理論からすれば、当然の帰結なのです。これは、メディアが影響力を発揮するのは、賛否そのものよりもむしろ「どのイシュー(議題)が重要だと思うか?」という点だ、という理論です。
つまり、客観的に二重行政問題は取るに足らない些細な話であっても、そのキーワードが繰り返されるうちに、賛否はさておき、そのイシューが重要な問題だと人々が認識しはじめてしまうのです。そして人々の「注意」が二重行政問題にばかり焦点化されてしまい、他の側面が蔑ろにされ、無視されていくのです。
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そうなれば、都構想にどれだけ深刻な欠陥があっても、人々はそれについて一切頓着しなくなってしまうのです。恐ろしい話です。
【2.「信頼」の社会心理学の視点から】
一方、政治的意見に重大な影響を及ぼすのが、「権威者に対する信頼」です。
現大阪市長を信頼する市民は、都構想に対して賛成する傾向が高くなるのです。実際、下記調査からも、その傾向は明確に示されています。
http://www.asahi.com/articles/ASH4D0RDWH4CPTIL029.html
なお、権威者を信頼するか否かで最も重要なのは、「自分と権威者とが『価値観』を共有しているか否か」という一点だということが近年の信頼研究で明らかにされています。
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したがって、橋下市長が持っていると思われる価値観(何が大事で何が大事でないか、といいう基準)を、「自分の価値観に似ているなぁ」と(実際はどうあれ)「思う」人は、橋下氏を「信頼」するのです。そしていったん市長を信頼してしまえば、二重行政・効果の話を「鵜呑み」にして、都構想を賛成するようになるのです。
したがって、今、大阪で橋下氏の支持率がいまだに半分近くあるという現実は、実に多くの、大量の有権者たちが、橋下氏と、自分自身の価値観が重なり合うと(現実はどうあれ)「思って」いることを示しているのです。
現大阪市長が、「価値観はみなさんと同じですよ」と大衆に信じ込ませるために振る舞い続けるにあたって採用している手口——それを理解するためには、次項の「大衆心理学」の知見を援用せねばなりません。
【3.大衆心理学の視点から】
今日の大衆心理学においては、一般大衆の意思決定において、既得権益者に対する恨み(ルサンチマン)が重要な政治的意見の要因となることが、繰り返し証明されてきています。
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今、大阪では、「大阪市」という行政システムに集中している権限や財源の周りに、「シロアリ」がたかり、甘い汁を吸おうとしていると広く認識されています。そしてそれが、一部の人々の「ルサンチマン」を掻き立てている様子が、インターネットで散見される発言から確認できます。
そうした既得権者の代表が、大阪市役所職員や大坂市議会議員だと言われ、これが「都構想」賛成の強力な根拠となっています。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/111128/waf11112811320022-n1.htm
したがって、この論拠に基づいて「都構想」を支持している人々は、「都構想=大阪市解体」という事実を「知らないから」賛成しているのではなく、「知っている」からこそ賛成しているのです。彼らはある種「確信犯」的に、大阪の解体や破壊を念じているのです。
そして、大阪市という「既得権益」を、「一般大衆」と「市長」が一緒になってたたき続けるという
「共同作業」
を通して(150万人のフォロアーがいるツイッターがそのための強力なツールとして活用されます)、市民は、「市長とは価値観が一緒だなぁ」という認識、あるいは錯覚を覚えるようになっていきます。それはつまり、市長ヘの「信頼」が強固になることを意味します。
ところでもちろん、大阪市のみならず大阪「府」に対しても同様のルサンチマンを掻き立てることは、理屈上、可能であるに違いありません。
しかし、そうした声はほとんど聞かれません。
とはいえそれは何も不思議なことではありません。これは明確に、【1】で述べた「議題設定効果」の影響なのです。
すなわち、マスメディアにおいて(公権力者側が常に繰り返すメッセージによって)、「大阪市にたかるシロアリ=既得権益者」問題が繰り返し喧伝される一方、
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42312?page=5
https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/647052255395721?pnref=story
大阪「府」のそれについては触れられていないが故に、人々の「注意」は大阪「市」にばかり向き、大阪「府」のそれについてはスルーされてしまっているのです。http://amzn.to/1HNLj9L
「議題設定効果」、とはかくも強力な心理操作を実現させるのです。
【4.意思決定心理学の視点から】
最後にもう一つ、都構想賛成を導く強力な心理操作術を解説したいと思います。
おおよその人々は、都構想が実現した後に、一体何が起こるのかを正確に理解してはいません。したがって、おおよその人々にとって、「都構想への移行」は、極めてリスクの高い選択です。
一般に、これだけリスキーな選択ならば、回避しそうなものでありますが、そうはなりません。
人間というのは、「どっちのプラスがいいか?」と問われれば、リスク回避をするのですが、「どっちのマイナスがましか?」と問われれば、極めてリスキーな危険な選択をしてしまう、非常に強い心理傾向を持っているのです。
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/wp-content/uploads/2013/09/b01_sfkt_cfm.pdf
一般に、こういう心理効果は
「フレーミング効果」
と呼ばれており、人間誰しも、「プラス(gain)の比較」で考えるか「マイナス(loss)の比較」で考えるかでリスクに対する態度がガラリと変わってしまうのです。
そして推進派は常に「今の大阪はボロボロだ」という印象操作を繰り返し、そこから抜け出すには、都構想が必要だ、と喧伝します。
https://www.youtube.com/watch?v=r_NLLp2HuCY
つまり、彼らは意図的に「どっちのマイナスがましか?」というフレーム(ネガティブフレーム)を人々に押し付け続けるわけです。そしてそうなると、人々はもう必然的に「フレーミング効果」のせいで、リスキーな「一か八かの選択」をしてしまわざるを得なくなるのです。
・・・
以上、いかがでしょうか。
こうした心理学におけるスタンダードな理論に基づけば、政治的意見など、まじめな政策の中身とは
「全く無関係」
に決まってしまう、という真実をご理解いただけたのではないかと思います。
すなわち、
1)二重行政の問題だけをことさら強調し、マスメディアとの共犯関係の中で「議題設置効果」でも…
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