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『三橋貴明の「新」日本経済新聞』
2015/04/08号外
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From 齊藤拓樹@三橋経済塾 http://www.mitsuhashi-keizaijuku.jp/
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こんにちは、三橋塾の齊藤拓樹と申します。
藤井先生の「大衆社会の処方箋」とさかき先生の「希臘からきたソフィア」を読み、驚いた事があり、その事に関しコラムにさせて頂きました。
大衆社会の処方箋で定義された大衆人というのは、大雑把に言えば、傲慢性、自己閉塞性という2つの因子を強く保持している者です。
傲慢性とは、世の中が自分の思い通りであるべきと考えているか、若しくは世の中が自分の思い通りになると思っているような人。あるいは逆に、例えば「世の中誰が政権を握っても何も変わらない」といったニヒリズム、無関心も別タイプの傲慢性でしょう。その他、物事の道理、背景、真理といった物事を深く考察しようとする興味を一切持たないというのも傲慢性です。
自己閉塞性とは、共同体意識、伝統への関心や敬意、倫理観、気高さといったものの欠如です。
これら傲慢性、自己閉塞性を量る設問で一定以上の点数を取った者を大衆人、そうでない者を非大衆人として、大衆人にはこのような性質もあるはずだとの仮説に従って実験を行い、藤井先生は仮説の優位性を統計的に証明されています。
例えば大衆人は議論に建設性を持ち得ない事、大衆人程現実を見ない(例えば災害等の死に関わる事柄について)事、大衆人程選挙の投票率が低い事、大衆人程小さな政府論を好む事、などといった事が浮き彫りとなりました。
そして、大衆性(傲慢性と自己閉塞性を量る設問への当てはまり率)を下げる事が可能である事、大衆性を下げると上記の性質も改善される(例えば、小さな政府論への妄信を止める、現実を見るようになる、選挙に関心を持つ、建設的な話し合いを心がけるようになる等)といった事柄が解明されているのです。
以上を踏まえ、面白い事に、希臘からきたソフィアの主人公達、航太郎とソフィアは、物語スタート時点では完璧なまでに大衆人の性質を有しているのです。
さて第一章は、大の自信家である船太郎の衆院選落選シーンから始まります。
この現実を受け入れられず呆然としている船太郎へ大叔父が苦言を呈したところ、船太郎は自画自賛の言葉を捲くし立て国民が悪いのだと反発します。
そしてこの衆院選の時に船太郎が訴えていた政策は、徹底的な政府規模の縮小、市場原理化政策、最大限国境を無効化する徹底的な規制緩和、そして弱者は自己責任として切り捨てるべきという事でした。つまりは小さな政府論です。
国家、国境というものを極めて軽視するというのは、共同体意識のなさ、そして弱者切捨てというのは倫理観や気高さの欠如です。
ソフィアはというと、日希ハーフの留学生としての初来日のシーン(船太郎落選から3年後です)からしばらくは文句のセリフばかりです。
例えば、文化の違いから日本の学生達に上手く溶け込めないでいると、グローバル市民である私こそが世界標準のはず、打ち解けられないのは古臭い日本人達が悪いのだというような結論を出してしまいます。これはまさに傲慢性。
そして、第三章でひょんな事から船太郎の後援会事務所を訪れた際、ソフィアは三年前の船太郎と同じ政治の理想像を語ってみせ船太郎を驚かせます。
更に、選挙なんてどうでもいい、どうせギリシャなんてダメな国。世界のグローバル化が進んだ結果ギリシャが崩壊してしまっても構わないといった持論まで。
まさに選挙、伝統、共同体の軽視と、自己閉塞性の高さが見てとれます。
しかも、船太郎の意見を言い終わりまで聞こうとしません。(議論マナーの欠如)
ここから、2人の変化を見てみましょう。
まず船太郎は、落選後の選挙事務処理が終わった時に偶然、 祖父が首相をしていた頃の日記を発見します。
これを読んだ事が船太郎が変わっていくきっかけとなりますが、その内容はまさに、「貴族的精神を描写した物語」といえるようなものです。
設定上船太郎はその後三年間、国家観を養う為古い本を読み漁り、商店街の人々が支えてくれている後援会の力を借りながら政治活動に没頭した事となっています。
商店街の人々は、地域社会に、そして国政にまで貢献しようと政友党(希臘からきたソフィア内における架空の政党)の後援会運営を買って出ている訳ですから、彼らもまた貴族的精神の持ち主達であり、それらとの交わりは「活力ある共同体への参加」と言えるでしょう。
実はこれらは、大衆性を下げる為の処方箋が大きく分けて3つ 運命焦点化 独立確保 活物同期 とある中の、まさに活物同期そのものなのです。
更には、船太郎はほとんど休む事なく後援会の方々と政治活動に没頭していたので3年間大衆人と交わっていた時間はほとんどない。すると独立確保までも当てはまる。
しかも、もし次の選挙に負ければ船太郎は30歳で職歴なし。まさに背水の陣、この時の精神には運命焦点化に近い動きがあったといえるかも知れません(本来の運命焦点化は死について覚悟や知覚する事)。
だとすれば処方箋が三拍子揃っている訳であり、一章と三章で船太郎が別人が如く変化している事になんら不思議はありません。
一方、ソフィアは物語中で一筋縄ではいきません。
何度議論しても物語終盤までグローバリスト的な価値観のままです。
ところが、いくら生意気を言ってもほとんど怒らない船太郎をなんとなく気に入ったのか、ソフィアは船太郎の事務所に入り浸るようになっていきます。
しかも、事務所にハーフの可愛子ちゃんが居ると評判になり後援会の人達もソフィアを気に入り、ソフィアもその方々と和気藹々なご様子。やがては寝る時以外ほとんど事務所に居るという状態となり、船太郎の政治活動をサポートし始めます。
この段階で、船太郎の時と同じく活物同期と独立確保ができています。
更には、ひょんな事から船太郎とソフィアは伊勢神宮参拝を行いますが、伊勢神宮とはまさに自然や伝統の宝庫です。自然や伝統というのもいわゆる活物であり、それらに触れる事もまた重要な活物同期の一種です。日希ハーフのソフィアにとっても、日本の伝統は自分と全くの無関係ではありません。
最終的にソフィアの心に国家観が宿る直接のきっかけとなったのはあるキャラによって完膚なきまでに論破されたシーンでしょう。
とはいえこれは決して論破されたからという単純な話ではなく、最終的にソフィアがそのキャラ達の国家観を受け入れる事ができたのは、大衆性の低下によりかつてのような支離滅裂な反発を起こさなくなっていたからだと解釈できるかも知れません。
しかも、論破された直後の落ち込んでいるソフィアに、桜子総理が伝統的な振袖をプレゼントし、ソフィアはその後、家でその振袖を広げたまま物思いに耽り、そして多数の文献を読んでいきます。
そして五章の最後の文節が「ソフィアは今こそ、はっきりと自覚した。わたしはギリシア人だった」。そう、この瞬間ソフィアは紛う事なき非大衆人となったのであり、その事が六章のクライマックスに帰結する……。
以上のように、希臘からきたソフィアは、サブテーマとして大衆社会の処方箋が内在しているといっても過言ではないかも知れません。
これはあくまで私個人の見解であり、正しい見方と言えるかどうかは分かりません。ですがこれでもし両著書や大衆性等にご興味を持たれた方がいらっしゃれば、望外の喜びであります。
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