◆水木楊『電力王・松永安左エ門の生涯、爽やかなる熱情』を読み解く
※要旨
・1875年、壱岐島に生まれた松永。
相場師、石炭ブローカーから幾多の失敗を経て、電力事業に身を投じ、九州、関西、中部、東京まで配電する電力王になった。
・しかし戦時統制経済下、電力国有化の動きが強まると、官僚・軍部と鋭く対立、自ら進んで隠遁生活に入った。
そして敗戦。
不死鳥のように復活した松永は、安定的な電力供給体制を築くため、強力な反対勢力をものともせず、現在の日本経済にまで影響を及ぼす、ある大事業を成し遂げた。
・青臭い匂いをぷんぷんとさせた、壱岐生まれの若者は97歳で枯れ終わるまで、二度三度とどん底生活や隠遁を繰り返しながら、甦るたびに出世魚のように変身。
ついには日本経済の運命を決定する回天の大事業を成し遂げた。
・信念を曲げぬ一徹者、欲しいものがあれば強奪も辞さないわがまま者、人の意表を突く策略家、天衣無縫の茶人、女たちのためなら出費をいとわぬ陽気なドンファン。
明治、大正、昭和と3つの時代を渡り、日清、日露、第一次、第二次と4つの戦争をかいくぐった、劇的で華麗な人生を歩んだ男の物語を始めよう。
・松永には友人が多い。
あちこち飲み回って、気前よく御馳走してきたことによる無形の財産が溜まり始めている。
本人はお返しを望んでそうしたわけではないが、人は軽い借りを感じている。
それに、松永の人柄には生地の良さがある。
可愛がられて育った者の強さだ。
・松永はモテた。
金離れがよく、サービス精神が旺盛。
・松永は金を盛大に散じるために、稼いでいたのではないか。
大勢の女の嬌声に包まれ、気前よく遊ぶ。
女たちはお世辞を言いながらも、その目は厳しい。
ただ札びらを切るだけの男は、モテているようで実はモテていない。
気っぷくが良くて、心根に優しさのある男だけが女の心を開かせる。
それは一種の勝負のようなものだ。
・松永は遊び人ではあるが、ちゃらんぽらんではない。
遊びも仕事でも、とことんやる。
松永が生まれ育った壱岐では、頑張り屋のことを「きばり」と呼ぶ。
松永家はその中でも意地っ張りの家系である。
・経営者となった松永の周辺に次第に有能な人材が集まり始めた。
歩く磁石のようなもので、この九州時代に手勢となった人々がその後の東京攻略への中核となっていく。
・松永には女の話が絶えない。
しかし、彼は女性に対して、まことに実のある男だった。
・歳を取っても、畳に新聞をたくさん拡げ、這いつくばるように虫眼鏡で読み尽し、こと細かに日記をつけた。
請われれば文章を書くことも厭わず、旺盛な読書欲を燃やし続けた。
会議では大声で論陣を張り、茶道にいそしんだ。
そして、女性に対して無邪気なほどの興味をいつまでも失わなかった。
・大正11年、関西電気は九州電灯鉄道と合併。
東邦電力となる。
権力は副社長の松永の掌中にあった。
この東邦電力こそ松永が天下を窺う城となり、全国に荒武者ありと名を轟かせる会社となる。
・戦時中、政府や軍部と対立し、松永は隠遁していた。
そして有史以来の敗戦によって、日本全体が大地に叩きつけられて、虚脱状態になった。
戦前から松永の家に通っていた電気新聞の若い記者、宇佐美は、敗戦の日、松永から驚くべき言葉を聞いた。
すくっと立ち上がった松永は、こう言い放った。
「さあ、これからは僕がアメリカと戦争をする番だ」
宇佐美は松永の顔を呆気に取られて見上げた。
・9回裏逆転満塁本塁打を可能にしたのは、松永のエネルギーである。
絶対に負けることはないと信じ続けた超楽観主義と、叩かれれば叩かれるほど燃え上がる闘争心だ。
それを支えたのが、恩師・福澤諭吉の説いた自立の精神だ。
壱岐の島から玄界灘を越えてやってきた暴れん坊は、投機家から実業家へと変身し、隠遁生活から甦って、ついに回天の偉業を成し遂げた。
・松永の主張には一本の筋がしっかりと通っている。
恩師・諭吉の薫陶を受けて慶応を卒業後、切った張ったの勝負の世界に身をさらし、民業に徹して官僚統制に敢然として反対、日発発足後は一切の誘いを断って柳瀬山荘に隠遁した。
この80年間に近い人生には、強靭な鋼が一本通っている。
自由主義の思想である。
その思想を具現するために、ありとあらゆる権謀術数を用いているのである。
・松永は公益事業委員会在籍中、自ら設置した電力中央研究所の理事長に就任した。
このとき松永は79歳。
本来なら悠々自適、好きな茶でも楽しむ隠居生活に入る年だが、松永はその気はない。
恐ろしい勢いで勉強した。
場所を問わず読書する。
書籍はもちろん、新聞や週刊誌にも細かく目を通し、関心のある部分があれば赤鉛筆で線を引き、はさみで切る。
スクラップは自分で作った。
※コメント
その破天荒な松永さんの人生に憧れる。
彼の1割の努力でも真似すればすごいことができそうだ。
もっと松永さんから学びたい。
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