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    『三橋貴明の「新」日本経済新聞』

        2015/01/23



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From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学



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●月刊三橋最新号のテーマは「フランス経済」。

「ユーロという罠」に落ちた大国の選択とは? 
フランスに今が分かれば、日本が見える!

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おっはようございまーす(^_^)/

産経新聞の地元版(九州・山口版)に定期的にコラムを書いています。昨日掲載されたものでは、ヘイトスピーチについて扱いました。

【国家を哲学する 施光恒の一筆両断】「ヘイトスピーチ レッテル貼りの恐れは」(『産経新聞』(九州山口版)平成27年1月22日付)
http://www.sankei.com/region/news/150122/rgn1501220036-n1.html

そのコラムでも触れたのですが、法務省は、「ヘイトスピーチ」に対する啓発活動に力を入れるそうです。
http://www.sankei.com/politics/news/150114/plt1501140005-n1.html

最近の「ヘイトスピーチ」規制に関する議論、私はある意味、本末転倒だと感じています

現在の安倍政権にしろ、以前の民主党政権にしろ、日本も移民を受け入れるべきだという議論がだんだん強くなってきています。

安倍政権では、「移民」という言葉の使用を意識的に避けているものの、外国人労働者を積極的に受け入れる方向で進んでいます。国家戦略特区では外国人家事労働者(家政婦)の入国を認めるようになりますし、それ以外でも、様々な面での在留資格の緩和が行われます。例えば、最近では下記の記事です。

「外国人、起業しやすく 在留資格緩和で投資促す」 『日本経済新聞 電子版』(2015年1月20日付)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS18H13_Z10C15A1MM8000/

このように、経済上の考慮から、事実上の移民推進政策がとられつつあります。ヘイトスピーチ規制は、直接的には「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などの在日朝鮮人・韓国人に対するヘイトスピーチを念頭に置いたものですが、近い将来の「移民社会化」のための条件整備という側面もあるのではないでしょうか。

この点が本末転倒だと思うのです。

私は、移民(経済的移民)受け入れ政策を推進することには反対です。(政治的理由から出身国にいられなくなった人々、つまり「難民」の受け入れは、また別です)。

移民受け入れ推進を前提として「ヘイトスピーチ」規制に取り組むのではなく、移民を受け入れずに済む国作りに努め、また世界に対しても移民をなるべく生み出さない平等で公正な国際秩序作りの必要性を訴えることのほうが先だと思うのです。

現代世界における大多数の移民は、経済的移民です。つまり、出身国では十分な「豊かさ」や、就職などの「人生のさまざまな機会」が十分に得られないため、経済的動機から他国への移住が生じているのです。貧しい国から豊かな国への人の移動です。

欧米など先進国の多くは、自らの経済成長のために、こうした世界の不平等な構造に乗じて、移民を受け入れてきました。

人間は、悲しいかな、自分と異なる文化や価値観、宗教をもつ人々とは、軋轢を生じがちです。最近のフランスの風刺画問題を発端とするテロ事件でもそうですし、移民政策をとった国の多くは治安の悪化に悩まされています。

日本はヨーロッパなどの失敗事例に学ぶどころか、移民受け入れに舵を切ろうとしています。

最近の日本は、経済的理由から一部政治家や財界が主導して移民政策を進めようとする一方、一般国民には「「ヘイトスピーチ」などするなよ」、「移民してくる人々とも仲良くしろよ」、というわけです。

これ、やな感じです。
(´・ω・`)

へんな話ですが、私は、次のような破綻した家庭を思い浮かべてしまいます。

女好きのお父さんがいて、離婚・再婚を何度も繰り返しつつ、子どもには「新しいお母さんと仲良くしろよ」と言っている家庭です。

または逆でもいいですね。男の出入りが激しいお母さんがいて、離婚・再婚を繰り返しながら、「新しいお父さんと仲良くするのよ」と子どもに口をすっぱくして言っている家庭です。

当然ながら子どもは多くの場合、新しいお母さん(お父さん)になじめず、反発したり、グレたりします。なのに、「うちの子は、わがままで困ったものだ」と、自分を棚に上げて、親は子供を責めるのです。

経済的移民受け入れを積極推進する一方で、「ヘイトスピーチ」規制を設けようとするのは、なんかそういう無茶苦茶な親と同じような気がします。人間の自然な感情を無視しています。

「移民受け入れ」と「ヘイトスピーチ規制」というまったく元気の出ない政策の組み合わせはやめて、日本は、やはりまっとうな次の二つを基本とすべきでしょう。

(1)日本は移民国家化しない。
(2)世界に対しても、経済的移民のなるべく生じない平等な国際秩序作りの必要性を訴える。また、貧困国が経済的に自立できるように、国作りを実際にできるかぎり支援する。
φ(・ω・ )

「移民受け入れに消極的だ」と言うと、日本も最近そうですが現在の世界では、「排外主義的で人道的ではない」とか「リベラルではない」とかのレッテルが貼られがちです。逆に、「移民受け入れに積極的だ」というと、リベラルな感じがします。

しかし、この社会通念は正しくありません。本当に人道的なのは(またおそらく本当に「リベラル」なのは)、経済的移民などにならなくても済むように、「豊さ」や「人生のさまざまな機会」の点でなるべく平等な世界を作り、経済的移民などにならなくても済む世界を作ることです。

人は、ある程度の豊かさと、人生の様々な機会が得られれば、そうそう移住を試みたりしません。外国への移民が多い国は決まって貧しい国々です。

現在の世界には、国際的な不平等を固定化してしまう仕組みがたくさんあります。

たとえば、自由貿易は絶対に正しいという前提で、発展途上国に対しても市場開放を迫り、保護主義的な政策を認めない新自由主義的な経済構造です。これでは、なかなか自国資本の産業は発展せず、先進国に追いつくことはほぼ不可能です。

英語による文化支配もそうでしょう。貧しい国では、少数のエリートは英語を用い、大多数の一般庶民は現地語を使って生活しているという光景が非常によく見られます。英語でなければ高等教育が受けられず、稼ぎのいい専門的職業にも就けないという社会です。こういう社会では、多くの一般的人々は、十分に自分の能力を磨いたり、発揮したりすることができず、貧しいままにとどまります。

言語が違うと国民の一体感も生まれないので、国民はバラバラで、適切な経済政策や福祉政策をとることもできません。結局、貧困から脱することが出来ず、先進国になかなか追いつけません。

振り返ってみれば、日本は、保護主義的政策を適宜導入しつつ、自国の資本や産業を発展させ、国民を富ませ、内需中心で豊かになることに成功した国です。

また、外国から積極的に学びつつも、母語である日本語を守り、発展させ、自国の言語や文化を守りつつ近代化を成し遂げてきた国です。それによって、平等で一体感ある国を作ってきました。

ですので日本は、少々理想主義的にすぎるかもしれませんが、みずからの経験に基づき次のように世界に訴えるべきでしょう。

新自由主義的に基づく経済のグローバル化は、国内的にも、国際的にも貧富の差の固定化や拡大を招くだけで望ましくない。グローバル化の一環としての移民推進政策は、社会の不安定化を招く。経済のグローバル化に一定の歯止めをかけ、内需中心型の国作りをそれぞれ基本とすべきだ。自国の言語や文化を大切にする国作りを展開したほうがいい。大多数の一般国民が能力を磨き、発揮できる社会を作ったほうがいい。そのほうが長い目で見た場合、自国の社会的安定や経済発展にも、また平等で公正な世界秩序の構築にも結びつくはずだ。

そして経済的移民など受け入れない代わりに、日本はできるかぎり、発展途上国の国作りの支援をすると宣言し、実際に取り組みます。例えば、母語で近代化するノウハウの提供に努めるなど、少し考えるだけでも日本にできることはたくさんあります。

まあ確かに私の言っていることは、少々理想主義的過ぎるかもしれません。

ですが、「グローバル化して移民を受け入れることにしたから、面倒くさい揉め事起こすなよ、ヘイトスピーチすんなよ」といって自国民を縛る無策な政治よりも、はるかに元気が出るのではないでしょうか。

皆で日本の特質を思い出し、それを守り、また今後の国作りや国際貢献にも活かしていく。そういう道を模索するほうがずっといいはずです。
(`・ω・´)キリッ

長々と失礼しますた…m(_ _)m

<お知らせ>
2月8日(日)に福岡のカフェで開催されるこじんまりとした勉強会の講師を務めます。「ホントは奥深い日本人の道徳意識」(仮題)というテーマで話します。
お近くの方はぜひ。
「『学ぶカフェ』のご案内~日本の文化と教育を学ぶ~」
日時:2月8日(日)午前11時30分から1時間半程度。
場所:R-style (アールスタイル) 福岡市中央区大名1-12-56 TheShops 2F
会費:1000円(お茶代別)
問い合わせ先:学ぶカフェ事務局
manabucafe@gmail.com
(お問い合わせ、お申し込みは上記のメールにて。定員になり次第締め切りますので、お申し込みはお早めに)。


PS
今日のメルマガで「外国人労働者問題」について改めて考えて下さり、三橋経済塾への入会を希望…

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