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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)1月15日(木曜日)
通巻第4442号
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イスラム過激派はなにを誤算したか
ついに日和見フランスが空母をシリア、イラクのIS空爆に派遣。
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パリの風刺漫画週刊誌「シャルリーエブド」編集部を襲ったイスラム過激派。「アラビア半島のアルカィーダ」が犯行声明を出した。
同調するイスラム過激グループは個別的にナイジェリアで、イエーメンで、ソマリアで残忍性を伴う自爆テロ、誘拐、破壊活動を拡大競争中だ。誘拐した女性等は性奴隷か、自爆テロ実行者に仕立てている。
フランスの反応は激越だった。
ナチス占領のパリ解放以来、フランスで100万人をこえるデモ行進や政治集会はなかった。テロ直後、フランス全土で合計370万人が抗議集会と行進に参加した。
フランス議会は97年ぶりに国歌を歌った。民族、宗教をこえてフランスが団結をみせようとしたのだ。ワインをのんで革命を語るサロン・マルキストを含めて。
オランド大統領は主力空母「シャルル・ドゴール」の艦上へおもむき、中東海域への空母の派遣を決める。IS(イスラム国)拠点への空爆強化である。
そしていま、フランスで大統領選挙が行われるとすれば、保守復調の波に乗ったサルコジ前大統領の復活・復権は難しくなり、マリーネ・ルペン率いる「国民戦線」が勝利するだろうと言われる。
ルペンは外国人労働者排斥、フランス愛国主義を訴える。
ドイツでも保守の新勢力が台頭した。予測外の事態である。
ドイツではナチスを連想する一切の図書も、宣伝も禁止されているため民族排外主義的な政治風土は育たないとされた。
ドレスデンに誕生したのは「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者」(PEGIDA)。日本のマスコミも、これを「ペギーダ」と伝えた。
毎週、ドレスデンで集会とデモを繰り返している。ペキーダは直截にイスラム教徒を攻撃せず「憎悪を拡大する宗教家」に反対していると訴えている。
そしてペギーダは、「私たちこそ国民だ」を唱える。
メルケル政権への揶揄である。(メルケルは東ドイツ出身で、当時の東独民主化運動は「私たちこそ国民だ」だった)。
911テロは米国をして「アフガニスタン」「イラク戦争」への引き金を引いた。アメリカ国民は熱狂的に復讐に燃えた。各地で星条旗が高々と掲げられた。
パリ編集部へのテロはフランスの空母派遣、国会での国歌斉唱という愛国への急傾斜をもたらした。欧州全土に保守政治運動の嵐が吹き始めた。オランダで、イタリアで、ハンガリーで。
中国の反日暴動は日本に安倍政権を奇跡的に誕生させた。政局を逆転させ、日本の街頭に日の丸が林立するようになった。朝日新聞は過去の出鱈目報道を謝罪した。
防衛力増強に反対の声はあがらず、戦後七十年忘れられてきた国民精神の復活への兆しが見られる。
南シナ海での中国の侵略的横暴は、アジア諸国を「反中」で団結させた。
こうした動への反動が、つぎの政治を想定外の方向へ走らせる。
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1186回】
――「我國萬世一統。所以冠萬國也」(日比野13)
「贅肬録」「没鼻筆語」(東方学術協会『文久二年上海日記』全国書房 昭和21年)
▽
学校制度、私塾での教育内容、官吏の職務規定、度量衡制度、関羽信仰の実態など多岐にわたって質問しているが、やはり最も強い関心を寄せていたのは太平天国の動向だった。
すでに英仏両国は共に5000人の兵を上海に駐屯させ、さらなる増強を目指していた。一問一答形式で筆談の概容を示す。なお原文では太平天国を「長毛」「賊」「長毛賊」と記しているが、ここでは一律に太平天国としておく。
●太平天国軍が恐れるのは英仏のどちらか⇒双方を恐れるが可動式の大砲を持つフランスをより恐れる。彼らは勇ましい宣伝をしているが、上海進攻は出来ない。彼らが悪逆非道をなせば、百姓(じんみん)は力を合わせて撃退する。
●太平天国の指導者とその性格は⇒忠王と英王の2人。前者の性格は「笑裡蔵刀」、後者は項羽のように「拙燥」。(ということは忠王の残忍冷血に対し、英王は短慮激情タイプといったところだろう)
●彼らの出自と混乱醸成の原因は⇒彼らの前身は「小醜(チンピラ)」で無礼者だ。食糧強奪を企てたが県知事に阻止されため、「蟻(無知蒙昧な輩)」を煽り、各所で火を放ち、悪事の限りを尽くした。各地の人民は大いに被害を被ったが、逃げ延びることができなかった人民は酷使され、少女は汚され、富める者は財産を巻き上がられた。中国は広く人民も多い。だから被害は広がった。(ここに示された太平天国の説明からして、なにやら太平天国が毛沢東の共産党に重なってくるようだ。であればこそ、共産党史観では太平天国は「乱」ではなく「農民革命」ということになるわけだ)
●指導者は明の末裔か⇒違う。広西の石炭鉱山の出身で「大明朱氏之苗裔」にあらず。
●賊の害には実に憎むべきものがある。彼らは人肉を喰らっているとのことだが、その罪は許し難い。
●賊は猖獗を極め十省にも及んでいる。上海から十里離れたら悉く賊といった情況にあるにもかかわらず、なぜ討伐の兵を出さないのか⇒我が「中土(ちゅうごく)」は武事(いくさごと)を廃してから久しい。
●「地廣人衆」だから「武将強卒激烈之人」がいないわけはないのに、賊の勢いが盛んだということは、適材を選べないからか⇒現下の役人の関心事は戦での論功ではなく、「財帛(カネ)」だ。文武両道の有為の士は退けられる。(ということは役人――現在でいうなら幹部の関心事が専ら「財帛」にあったとしても何らの不思議はないということになる。伝統だからだ)
●英仏の兵士を借りて太平天国軍を防ごうとする意図は⇒彼らと共に守るだけだ。
●太平天国の頭目は誰か⇒楊秀清と洪秀全で2人は天王を補翼している。逃亡者の言では2人の間に「太平天国天王之位」と書かれた神位が置かれ、7日に1回の礼拝がある。(太平天国のキリスト教と儒教を混ぜ合わせた教義に拠れば最高神は「天王」となり、週一回の礼拝となるわけだ。なお原文では楊秀清について「瞽目占卜の出身。すでに死亡。洪秀全の嫉妬から殺された」と注記)
●太平天国に奪われた地域の民は何をしているのか⇒太平天国の勢力圏と貿易をする際は、フランス兵に守ってもらう。上海人の場合も、また同じだ。
●最も安全な地方は⇒広東・四川・雲南だが、最も安全は東洋で親友の5家族も去年移住した。東洋には唐人会館があり,我が国貿易関係者の多い。英国人も出掛けて行っているし、東洋という地名は憧れだ。(東洋とは、日本)
《QED》
▽
(宮崎正弘のコメント)この資料は初めて読みますが、じつに迫真の記録で貴重ですね。結局、「太平天国」は英国の傭兵の火力で鎮圧され、曽国藩は、内乱鎮圧将軍として評価されていますが、あれもご都合主義解釈の結果でしょう。
ちなみに天草四郎の反乱も、徳川軍の初動では動きが鈍く、司令官は戦死。逆に切支丹伴天連側にやられ(天草から熊本にかけて失業した武士が伴天連側に混入したため戦闘のプロが多かったからだが)、選手交代で乗り込んだ松平定信のしっかりした戦術と、最後は外国船の洋上からの砲撃で幕府軍が戦捷への突破口を開いた。
南京の「故旧」を覗くと、洪秀全の巨大なレリーフ、銅像、そして玉座が飾られ、共産党が農民暴動という評価を改竄し、革命前段階の「英雄」扱いですね。
広州市郊外・花都の生誕地にも立派な洪秀全記念館が建っていました。
宮崎の「洪秀全記念館訪問紀」は下記に。
http://miyazaki.xii.jp/travels/index.html(「広州」をクリック。後段に)
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)一葉落ちて天下の秋を知る。一葉堕ちて(=原油価格急落)、天下の秋を知る=円高の到来(限りなく100円/ドルに向かう)と、とらえたい。
年末、年始の新聞を含めて多くの経済紙の為替絡みの予測は円安が主流のようだ。『日経ビジネス』の最新号の広告を見る限り150円の環境到来を想定しての特集記事のようだ。
日経新聞の恒例の一月3日付けの株価、為替の予想のページを見ても、110~125円の範囲が実業人の予測。
敢えて真逆の予測をしたい。
シェールガス・オイルとサウジアラビアを中心とする産油国側のせめぎあい。年間の国家予算の約5年分位の外貨準備高を有するサウジアラビアが減産しない方針で(原油価格のダウンを覚悟の上で)シェール陣営に対抗。2年位前からかアメリカのシェールガス・オイル関連の開発中。中小の企業規模でも産業分野のよう。
アメリカの金融緩和の環境で運用先に困っていたマネーが大量に流入していたらしい。
乱開発=歩留りの悪い投資=ジャンク債的なものが大分あるらしい。顕在化した一例が住友商事の1500億円の損金計上。潜在的なジャンク債を抱えている会社もかなりある筈。
ひとたびジャンク債が破綻するとそのマイナス波及効果はミニ規模のリーマン・ショックを起こしかねない。一バーレル=45ドルを切るところまで来た今、その可能性がますます現実味をおびている。
「予測をさせてみよ、その結果を検証すれば、その人の考え方の正否がわかる」と木内信胤先生は言っておりました。
赤っ恥を覚悟のうえで敢えてこの時点で真逆の予測をした。
本年の為替の成り行きを見ながら、自分の見方の正否を検証する場として貴メルマガのこの場を使わせて頂きたい。
なお昨年前半のシェール・ガスブームの時に宮崎さんは一貫して最初から疑問を提しておりましたが、その読みかた、その背景についてお聞かせ頂ければ幸いです。
(木内信胤信徒の一人)
(宮崎正弘のコメント)ブームにはかならず背後に演出家がいるはずで、シェールガスの場合はシカゴに群がる商品ファンドと、ウォール街のファンド筋でしょうね。
住友の投資失敗は聞いておりましたが、ほかにもやけどしたファンドが続出していると思われます。
為替予測ですが、90年代前後には小生も時折やっていたのですが、というもの経済原則からいえば、為替は(1)当該国の経常収支(2)金利(3)貿易外収支のバランスなどで決まるはずですが、日米の場合は貿易摩擦による政治要因が予期せぬ突発的レート変更をもたらし、また実質貿易の百倍ものカネが「商品」と化したドル、ユーロ、円などの通貨取引に投機されている現状を目撃すると、原則や理論からおおきく逸脱しており、レート予測は誰にも無理なのではありませんか。
その昔、『円安時代が来る』(世界文化社、絶版)という本を書いて、あのときは当たりましたが、いまは予測要素の激変があり、したがって小生、為替予測はしないことにしております。
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通巻第4442号
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イスラム過激派はなにを誤算したか
ついに日和見フランスが空母をシリア、イラクのIS空爆に派遣。
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パリの風刺漫画週刊誌「シャルリーエブド」編集部を襲ったイスラム過激派。「アラビア半島のアルカィーダ」が犯行声明を出した。
同調するイスラム過激グループは個別的にナイジェリアで、イエーメンで、ソマリアで残忍性を伴う自爆テロ、誘拐、破壊活動を拡大競争中だ。誘拐した女性等は性奴隷か、自爆テロ実行者に仕立てている。
フランスの反応は激越だった。
ナチス占領のパリ解放以来、フランスで100万人をこえるデモ行進や政治集会はなかった。テロ直後、フランス全土で合計370万人が抗議集会と行進に参加した。
フランス議会は97年ぶりに国歌を歌った。民族、宗教をこえてフランスが団結をみせようとしたのだ。ワインをのんで革命を語るサロン・マルキストを含めて。
オランド大統領は主力空母「シャルル・ドゴール」の艦上へおもむき、中東海域への空母の派遣を決める。IS(イスラム国)拠点への空爆強化である。
そしていま、フランスで大統領選挙が行われるとすれば、保守復調の波に乗ったサルコジ前大統領の復活・復権は難しくなり、マリーネ・ルペン率いる「国民戦線」が勝利するだろうと言われる。
ルペンは外国人労働者排斥、フランス愛国主義を訴える。
ドイツでも保守の新勢力が台頭した。予測外の事態である。
ドイツではナチスを連想する一切の図書も、宣伝も禁止されているため民族排外主義的な政治風土は育たないとされた。
ドレスデンに誕生したのは「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者」(PEGIDA)。日本のマスコミも、これを「ペギーダ」と伝えた。
毎週、ドレスデンで集会とデモを繰り返している。ペキーダは直截にイスラム教徒を攻撃せず「憎悪を拡大する宗教家」に反対していると訴えている。
そしてペギーダは、「私たちこそ国民だ」を唱える。
メルケル政権への揶揄である。(メルケルは東ドイツ出身で、当時の東独民主化運動は「私たちこそ国民だ」だった)。
911テロは米国をして「アフガニスタン」「イラク戦争」への引き金を引いた。アメリカ国民は熱狂的に復讐に燃えた。各地で星条旗が高々と掲げられた。
パリ編集部へのテロはフランスの空母派遣、国会での国歌斉唱という愛国への急傾斜をもたらした。欧州全土に保守政治運動の嵐が吹き始めた。オランダで、イタリアで、ハンガリーで。
中国の反日暴動は日本に安倍政権を奇跡的に誕生させた。政局を逆転させ、日本の街頭に日の丸が林立するようになった。朝日新聞は過去の出鱈目報道を謝罪した。
防衛力増強に反対の声はあがらず、戦後七十年忘れられてきた国民精神の復活への兆しが見られる。
南シナ海での中国の侵略的横暴は、アジア諸国を「反中」で団結させた。
こうした動への反動が、つぎの政治を想定外の方向へ走らせる。
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――「我國萬世一統。所以冠萬國也」(日比野13)
「贅肬録」「没鼻筆語」(東方学術協会『文久二年上海日記』全国書房 昭和21年)
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学校制度、私塾での教育内容、官吏の職務規定、度量衡制度、関羽信仰の実態など多岐にわたって質問しているが、やはり最も強い関心を寄せていたのは太平天国の動向だった。
すでに英仏両国は共に5000人の兵を上海に駐屯させ、さらなる増強を目指していた。一問一答形式で筆談の概容を示す。なお原文では太平天国を「長毛」「賊」「長毛賊」と記しているが、ここでは一律に太平天国としておく。
●太平天国軍が恐れるのは英仏のどちらか⇒双方を恐れるが可動式の大砲を持つフランスをより恐れる。彼らは勇ましい宣伝をしているが、上海進攻は出来ない。彼らが悪逆非道をなせば、百姓(じんみん)は力を合わせて撃退する。
●太平天国の指導者とその性格は⇒忠王と英王の2人。前者の性格は「笑裡蔵刀」、後者は項羽のように「拙燥」。(ということは忠王の残忍冷血に対し、英王は短慮激情タイプといったところだろう)
●彼らの出自と混乱醸成の原因は⇒彼らの前身は「小醜(チンピラ)」で無礼者だ。食糧強奪を企てたが県知事に阻止されため、「蟻(無知蒙昧な輩)」を煽り、各所で火を放ち、悪事の限りを尽くした。各地の人民は大いに被害を被ったが、逃げ延びることができなかった人民は酷使され、少女は汚され、富める者は財産を巻き上がられた。中国は広く人民も多い。だから被害は広がった。(ここに示された太平天国の説明からして、なにやら太平天国が毛沢東の共産党に重なってくるようだ。であればこそ、共産党史観では太平天国は「乱」ではなく「農民革命」ということになるわけだ)
●指導者は明の末裔か⇒違う。広西の石炭鉱山の出身で「大明朱氏之苗裔」にあらず。
●賊の害には実に憎むべきものがある。彼らは人肉を喰らっているとのことだが、その罪は許し難い。
●賊は猖獗を極め十省にも及んでいる。上海から十里離れたら悉く賊といった情況にあるにもかかわらず、なぜ討伐の兵を出さないのか⇒我が「中土(ちゅうごく)」は武事(いくさごと)を廃してから久しい。
●「地廣人衆」だから「武将強卒激烈之人」がいないわけはないのに、賊の勢いが盛んだということは、適材を選べないからか⇒現下の役人の関心事は戦での論功ではなく、「財帛(カネ)」だ。文武両道の有為の士は退けられる。(ということは役人――現在でいうなら幹部の関心事が専ら「財帛」にあったとしても何らの不思議はないということになる。伝統だからだ)
●英仏の兵士を借りて太平天国軍を防ごうとする意図は⇒彼らと共に守るだけだ。
●太平天国の頭目は誰か⇒楊秀清と洪秀全で2人は天王を補翼している。逃亡者の言では2人の間に「太平天国天王之位」と書かれた神位が置かれ、7日に1回の礼拝がある。(太平天国のキリスト教と儒教を混ぜ合わせた教義に拠れば最高神は「天王」となり、週一回の礼拝となるわけだ。なお原文では楊秀清について「瞽目占卜の出身。すでに死亡。洪秀全の嫉妬から殺された」と注記)
●太平天国に奪われた地域の民は何をしているのか⇒太平天国の勢力圏と貿易をする際は、フランス兵に守ってもらう。上海人の場合も、また同じだ。
●最も安全な地方は⇒広東・四川・雲南だが、最も安全は東洋で親友の5家族も去年移住した。東洋には唐人会館があり,我が国貿易関係者の多い。英国人も出掛けて行っているし、東洋という地名は憧れだ。(東洋とは、日本)
《QED》
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(宮崎正弘のコメント)この資料は初めて読みますが、じつに迫真の記録で貴重ですね。結局、「太平天国」は英国の傭兵の火力で鎮圧され、曽国藩は、内乱鎮圧将軍として評価されていますが、あれもご都合主義解釈の結果でしょう。
ちなみに天草四郎の反乱も、徳川軍の初動では動きが鈍く、司令官は戦死。逆に切支丹伴天連側にやられ(天草から熊本にかけて失業した武士が伴天連側に混入したため戦闘のプロが多かったからだが)、選手交代で乗り込んだ松平定信のしっかりした戦術と、最後は外国船の洋上からの砲撃で幕府軍が戦捷への突破口を開いた。
南京の「故旧」を覗くと、洪秀全の巨大なレリーフ、銅像、そして玉座が飾られ、共産党が農民暴動という評価を改竄し、革命前段階の「英雄」扱いですね。
広州市郊外・花都の生誕地にも立派な洪秀全記念館が建っていました。
宮崎の「洪秀全記念館訪問紀」は下記に。
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(読者の声1)一葉落ちて天下の秋を知る。一葉堕ちて(=原油価格急落)、天下の秋を知る=円高の到来(限りなく100円/ドルに向かう)と、とらえたい。
年末、年始の新聞を含めて多くの経済紙の為替絡みの予測は円安が主流のようだ。『日経ビジネス』の最新号の広告を見る限り150円の環境到来を想定しての特集記事のようだ。
日経新聞の恒例の一月3日付けの株価、為替の予想のページを見ても、110~125円の範囲が実業人の予測。
敢えて真逆の予測をしたい。
シェールガス・オイルとサウジアラビアを中心とする産油国側のせめぎあい。年間の国家予算の約5年分位の外貨準備高を有するサウジアラビアが減産しない方針で(原油価格のダウンを覚悟の上で)シェール陣営に対抗。2年位前からかアメリカのシェールガス・オイル関連の開発中。中小の企業規模でも産業分野のよう。
アメリカの金融緩和の環境で運用先に困っていたマネーが大量に流入していたらしい。
乱開発=歩留りの悪い投資=ジャンク債的なものが大分あるらしい。顕在化した一例が住友商事の1500億円の損金計上。潜在的なジャンク債を抱えている会社もかなりある筈。
ひとたびジャンク債が破綻するとそのマイナス波及効果はミニ規模のリーマン・ショックを起こしかねない。一バーレル=45ドルを切るところまで来た今、その可能性がますます現実味をおびている。
「予測をさせてみよ、その結果を検証すれば、その人の考え方の正否がわかる」と木内信胤先生は言っておりました。
赤っ恥を覚悟のうえで敢えてこの時点で真逆の予測をした。
本年の為替の成り行きを見ながら、自分の見方の正否を検証する場として貴メルマガのこの場を使わせて頂きたい。
なお昨年前半のシェール・ガスブームの時に宮崎さんは一貫して最初から疑問を提しておりましたが、その読みかた、その背景についてお聞かせ頂ければ幸いです。
(木内信胤信徒の一人)
(宮崎正弘のコメント)ブームにはかならず背後に演出家がいるはずで、シェールガスの場合はシカゴに群がる商品ファンドと、ウォール街のファンド筋でしょうね。
住友の投資失敗は聞いておりましたが、ほかにもやけどしたファンドが続出していると思われます。
為替予測ですが、90年代前後には小生も時折やっていたのですが、というもの経済原則からいえば、為替は(1)当該国の経常収支(2)金利(3)貿易外収支のバランスなどで決まるはずですが、日米の場合は貿易摩擦による政治要因が予期せぬ突発的レート変更をもたらし、また実質貿易の百倍ものカネが「商品」と化したドル、ユーロ、円などの通貨取引に投機されている現状を目撃すると、原則や理論からおおきく逸脱しており、レート予測は誰にも無理なのではありませんか。
その昔、『円安時代が来る』(世界文化社、絶版)という本を書いて、あのときは当たりましたが、いまは予測要素の激変があり、したがって小生、為替予測はしないことにしております。
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