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    『三橋貴明の「新」日本経済新聞』

        2015/01/13




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From 藤井聡@京都大学大学院教授&内閣官房参与

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●月刊三橋最新号のテーマは「フランス経済」。

「ユーロという罠」に落ちた大国の選択とは?
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https://www.youtube.com/watch?v=eQUSqYvie2s


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「経済財政」を巡る議論の現状をご報告します。

年末から、プライマリーバランス(基礎的財政収支)目標を掲げていると経済が停滞してしまうこと、そしてそれを通してかえって財政が悪化してしまう事を、数理的に、また実証的に示しつつ、プライマリーバランス目標の問題の深刻さを論じて参りましたが、それに関する動きも、政府・与党の中で見られ始めました。

まず、官邸では・・・・

『安倍晋三首相は(12月)22日の経済財政諮問会議で、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を2020年度までに黒字化するとの政府目標について「(財政再建にあたって)この指標を勘案するだけでよいのか。複合的に見ていく必要がある」と述べ、別の目安も参考にすべきだとの認識を示した。』
http://mainichi.jp/select/news/20141223k0000m020148000c.html

我が国が「基礎的財政収支・PB」を巡る目標を掲げていることについて、柔軟な姿勢の可能性を示したこの発言の波紋は決して小さなものではありませんでした。

実際、その後これを皮切りとして・・・・
「政府・与党は今夏をメドにつくる新たな財政再建計画のとりまとめ作業を本格化する。経済財政諮問会議の下に、甘利明経済財政・再生相や諮問会議の民間議員で構成する検討チームを月内にも新設する。現行の財政健全化目標とは別に、経済成長を重視する新指標を設けることも視野に入れる。」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H1U_U5A100C1PE8000/?n_cid=TPRN0006

そして与党の中でも・・・・
「自民党も近く、稲田朋美政調会長の直轄組織を設け、財政健全化の議論を始める。」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H1U_U5A100C1PE8000/?n_cid=TPRN0006

一方で、こうした「財政再建」のためにも「成長」が不可欠となりますが、そのためには、「政府の投資」が不可欠である旨を何度も強調して参りましたが、それに関連するものとして次のような取り組みも進められつつあります。

「整備新幹線を前倒し開業…北陸3年、北海道5年」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150109-OYT1T50049.html

「「リニア大阪延伸」国費で調査 来年度予算初めて計上へ 経済効果など検討」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150104-00000022-san-bus_all

これらはいずれも小さな一歩かもしれませんが、日本国民にとって大変に喜ばしい方向の決定ではないかと考えます。

さらに、次のような動きもありました。

「国土強靱化「最大70兆円投資を」 自民総務会長、首相に提言」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS27H5O_X21C14A2PP8000/

この中で、二階氏は「基礎的財政収支を20年度までに黒字化する目標に縛られるべきではないと主張」した一方、これに対して首相からは「十分配慮する」と述べた旨が報道されています。

・・・・ところが・・・・

政府の投資にも関連するものとして、次年度の当初予算における公共事業関係費は、昨年度とほぼ同水準の6兆円以下となることが決まりました。
http://www.sankei.com/economy/news/150106/ecn1501060003-n1.html

そして次年度活用される補正予算の方は、総額で「3.1兆円」と閣議決定されました。
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150109-OYT1T50117.html

・・・・ということは、昨年の補正予算が5.5兆円であったことを考えれば、これは、

  「2兆円の歳出削減」

を意味しています。

が、この点については、本メルマガでも青木先生が指摘しておられましたが、
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/01/10/aoki-10/

それ以外では、こうした指摘はあまりなされていないようであります。

一方で・・・・

そんな「2兆円もの緊縮財政」を行うような余裕があるのかと言えば、そんな余裕は全くありません。

去年4月の消費税3%増税のせいで、国内の産業は凄まじいダメージを受けており、
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=608291609271786&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=1&theater

同時に、国民所得も大いに縮小しています。
http://news.mynavi.jp/news/2014/12/26/242/

そしてこれらを受けて、本年度は「マイナス成長」となってしまう見通しです。
http://www.47news.jp/CN/201501/CN2015010701001465.html

・・・・ということは、平成27年度の華々しい成長は、見通し難い状況となっているわけです。

もちろん・・・・

冒頭でご紹介した「プライマリーバランス目標の見直し」が果たせるなら、「デフレ脱却のために『必要不可欠』な財政政策」が可能となるますことから、そこにかすかな希望の光を見いだすこともできるのではないかとも考えられます。

・・・・が・・・・

その点については、次のようなご発言もありました。

『甘利氏は「まず(基礎的財政収支を)黒字に・・・・」と指摘。』
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS07H3X_X00C15A1PP8000/

『麻生太郎財務大臣は(12月)24日の閣議後の記者会見で・・・・、国と地方の基礎的財政収支の赤字を2015年度に10年度から半減する目標の達成に強い意欲を示した。』
http://www.sankei.com/politics/news/141224/plt1412240009-n1.html

「経済財政政策」の「経済」の方をご担当しておられる甘利大臣と「財政」の方をご担当しておられる麻生大臣のご両名のこうしたご発言は、大変に重たい意味を持つものであります。

そもそも冒頭でご紹介した総理のPBについての柔軟な姿勢を示唆するご発言があったわけですが、その後に両大臣からこうしたご発言があったということは、「プライマリーバランス(PB:基礎的財政収支)」の議論を起点とした今日の経済財政政策を巡る議論は、大変に、

「複雑」

な様相を呈している可能性を暗示しているものと、考えられるかもしれません。

・・・・さて・・・・

このように「議論が複雑化」してきた時に必要不可欠となるのが、

「真っ当な議論」

です。

そして筆者は、

(事実A) 現在の日本経済が、以下に8%増税によって深刻なダメージを受けているのか、という「事実」、

(事実B) プライマリーバランスを黒字化するという目標が我が国の財政と経済にどのような影響を及ぼしてきたのか、という「事実」

の二つをきちんと見据えながら、「真っ当な議論」が展開されれば、プライマリーバランスを巡る議論は「複雑化」することなく特定の結論に収斂していくのではないかと感じております。

ここに「真っ当な議論」とは、

『最終的な目標(この場合は、デフレの脱却)を共有』

し、かつ、

『それ以外の目標(特定組織や特定個人の利益を増進するといったもの)を排除』

した議論です。

したがって、もしもこの議論が「複雑化」するとするなら、それは、議論参加者の中に「デフレ脱却」以外の目標を携えた人物が混入している可能性を、大いに示唆することとなるわけですが……

いずれにしても……

冒頭でご紹介した、官邸や与党内部での検討チームや会議にて、こうした「真っ当な議論」が重ねられ、それを通して2017年の日本経済が成長し、財政が健全化され、それと同時に、全国で求められる投資が官民合わせて進められ、国民国家の安寧と安泰が実現する方向へと大きく動き出していくことを、心から祈念したいと思います。


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