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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)1月7日(水曜日)
通巻第4434号
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ようやく本格化した日本企業の日本回帰
東芝もパナソニックも、日本に工場を新設し、生産拠点をもどす
****************************************
安倍首相は『週刊文春』新年号の櫻井よしこ氏との対談でアベノミクスや外交を語ったが、なかでも東芝を例に挙げて海外で生産してきた拠点の一部の日本回帰現象を強調した。
円高と中国の賃上げが主因だが、ほかにも日本回帰の要件がある。
国内に雇用が生まれることである。
2013年、中国での凄まじい「反日暴動」に嫌気をさして、日本企業の撤退が始まった。同年、日本企業の対中投資は47%の激減となった。
しかし当時はまだ「円高」の状況。それで『チャイナ・プラス・ワン』の標語の下、ベトナムとミャンマーなどアジアへの進出ブームが続いた。
ところが、ベトナムは親日とはいえ、一党独裁、賄賂まみれの国であり、規制が強い。とくに流通・サービス、金融関係ではなかなか条件をクリアできず、勢いがあるのはODA関連である。
新年早々も日本が支援したハノイ空港第二ターミナルとアジア最長と言われる吊り橋の落成式に太田国土交通大臣がテープカットに飛んだ。
ミャンマーも、やっとこさ自由化の波が押し寄せてはいるが、日本企業専用の工業団地は昨秋から工事がはじまったばかり、インフラ整備が遅れている。選別的進出分野は金融、不動産などである。
この状況に『円安』旋風が吹いた。
一ドル=80円台から、ドルは120円台となって、日本企業の企業業績も躍進した。
日本のように賃金が高くても、優秀なエンジニア、労働者が大量にいる国で生産した方が結局は生産効率が良い。
そのうえアベノミクスが掲げる『三本の矢』の中軸には「地方再生」がおかれ、地方に工場を建設し雇用する企業には減免措置が講じられる。
▼日本企業が生産拠点を日本にもどすのは自然の流れではないのか
パナソニックは中国で生産してきた家電製品を順次、国内に戻す。中国にあれだけ奉仕してきた同社も、すでに北京に保持してきた巨大ショールームを閉鎖している。パナソニックは電子レンジ生産を神戸工場に、洗濯機を袋井市工場に移す。
TDKはスマートフォン、自動車電子部品生産を日本に引き揚げる。
シャープもテレビなどの製品を栃木、八尾工場に引き上げる計画を発表した。ダイキンは家庭用エアコンの一部の生産を滋賀県に移転完了している。
戻り遅れは巨大な設備投資をして、下請け企業もろとも大規模に中国に進出し、生産がようやく中国で本格化した自動車、化学コンビナート、造船、鉄鋼などだが、中国に於ける設備拡大をもはや口にしなくなったきた。
日本株は新年に欧州を襲った通貨危機を切っ掛けに目先弱含みだが、米国の景気が意外に良く、外人ファンドの狼狽売りが一巡すると、回復する気配である。
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1182回】
――「我國萬世一統。所以冠萬國也」(日比野9)
「贅肬録」「没鼻筆語」(東方学術協会『文久二年上海日記』全国書房 昭和21年)
▽
日比野の体調は芳しくなく、時に清国軍の操練を見る機会を失した。そこで7万の軍隊を率いる華翼綸に戦法を尋ねると、確固たる命令系統の下で臨機応変に対応するのみ。
徒に既往の戦法の原理原則に縛られる必要はない。清国軍は西欧の兵器を使わず、重い旧式銃に槍・刀を使う、との答だった。そこで「ソノ意ヲ聞ク」と、華翼綸は次のように説く。
――「洋夷」の火器や軍艦は極めて便利ではあるが、我が清国においては何よりも「勇義」を尊ぶ。戦場で兵士が頼りとするのは兵器ではなく、じつに「勇義」。「勇義」を貫いて戦うのみだ。「洋夷」の兵器なんぞを使ったら、おのずから西洋の「俗」に化し、「勇戰」することを棄てて兵器に頼ってしまう。だから「洋夷」の兵器は「故ニモチヰズ」――
華翼綸の話を聞いて、日比野は次のように考える。
「コノ言實ニ確乎ヌクベカラザルナリ。我日本國ノゴトキ勇義宇内ニ冠タリ。豈辮髪輩ノ比較スルトコロナカランヤ。ソノ勇義ヲ以テ生氣ノアツマル槍刀ヲフルヘバ、宇内ソノ下ニナビク、言ヲマタザルナリ。然ルニ漢學ヲマナンデウブノ漢人トナリ、西土ヲ戀フテ我タフトキ國ヲイヤシミ、洋夷ノ器械ニ惑溺シ蠏字言語ヲマナビ、甚ダシキハソノ服ヲ用ヰ正朔ヲ奉ズルニ至ル。實ニ皇國ハ如何ナル國、勇義ハ如何ナル物ヲシラザルナリ」
――まことに至言というべきだ。「勇義」をいうなら、我が国は天下第一であり、辮髪輩(ちゅうごくじん)なんぞの遠く及ぶところではない。この「勇義」を五体に漲らせ、「生氣」が形となって現れた刀や槍を持って戦うなら、天下が我らに靡いてくることは疑いない。しかるに漢学を学んだ者は漢人もどきに成り果て、「西土(ちゅうごく)」を恋い慕う余りに尊ぶべき自らの祖国を賤しみ軽んじ、「洋夷」の兵器に迷って自らを忘れ、「蠏字言語(アルファベット)」を学ぶ。甚だしきに至っては異国の服装を身に着け、「正朔(こよみ)」までも有難がる始末。「皇國(にほん)」が如何なる国なのか、「勇義」の何たるかを知らない。不届き至極なことである――
それにしても、である。
文久2(1862)年の上海における日比野の「漢學ヲマナンデウブノ漢人トナリ、西土ヲ戀フテ我タフトキ國ヲイヤシミ、洋夷ノ器械ニ惑溺シ蠏字言語ヲマナビ、甚ダシキハソノ服ヲ用ヰ正朔ヲ奉ズルニ至ル」との警句は、以後も警句のままに一向に改められることなく、現在に至っているように思えてならない。
「我タフトキ國ヲイヤシ」むような「ウブノ漢人」や「ウブノ」西洋人を有り難がる愚を繰り返してはならない。「蠏字言語」の習得を否定しない。寧ろ大いに奨励したい。だが、先ず「蠏字言語ヲマナ」ぶ目的を学ぶべきだ。国語の時間を削り、小学生から生半可な「蠏字言語ヲマナ」ばせ、「我タフトキ國ヲイヤシ」と思わせる教育を施し、「蠏字言語」に「惑溺」された若者の粗製乱造を画策するなんぞは、愚行中の愚行としかいいようはない。
日比野は多くの中国人と知合い筆談によって肝胆相照らす仲間を作っていったようだが、「蓋シ交接スルトコロノ學生武弁畫工醫生皆上海ノ者ニアラズ。〔中略〕我國人ノ滬上ニアルヲ傳聞シ、遥カニ戀ヒ來タルナリ。故ニ上陸ノ初メハ格外ノ人物ナキモ、今ハ?友ニ富ム」とし、かくて「モシ一年モ滯留セバ、マタ寸志ヲ達スルノ一端モアルベキニ」と呟くものの、「歸帆近日ニセマル。却ツテ歎ズベキカ」
太平天国によって引き起こされたが社会の大混乱の中、多くの有為の若者が遠路をものともせず、「我國人ノ滬上ニアルヲ傳聞シ、遥カニ戀ヒ」て上海にやって来て日本人を訪ねる。
「交接」を重ねた「?友」の顔を思い浮かべ、せめて一年の上海滞在が許されれば、もっと多くの「?友」との「交接」から亡国の淵に喘ぐ清国の実態を学び、日本の新しい針路を指し示すことができるのに――こんな日比野の悔しさが伝わってくるようだ。
《QED》
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)名前を失念しましたが、或るエコノミストが原油価格が下降している最大年原因は、産油国が減産しないことではなく、中国の景気が悪くなって原油の輸入量が減っていることであり、それだからこそ事態はより深刻なのであると書いているのを読みました。
確かに減産しなければ価格維持ができないのであれば、需要が減っているといえます。
しかし中国の原油輸入が減少しているのは、景気低迷もあるとは思いますが、世界の需給に大きな影響を与えるほどの規模なら、景気低迷に加え国際市場以外からの輸入があるのではないのでしょうか。
例えば「イスラム国」(ISIS)から輸入するとか。もしそうなら、どこ経由で輸入しているのでしょうか。
穿った見方をすれば、イスラム国に自国が攻撃されないようにみかじめ料を払っている湾岸産油国が、イスラム国から原油を受け取り、それをバーゲン価格で中国に自国産原油として輸出しているのかもしれません。
如何お考えでしょうか。
(ST生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)イスラム国がイラク占領地の既存の油田から盗掘している原油はシリア、トルコ経由で密輸され、主に産油国が購入しているらしい。その先どこへ行くかは不明ですが、ともかく微量です。
♪
(読者の声2)貴誌「メルマガ・オブ・ザ・イヤー 2014 ,優秀賞」、誠におめでとうございます。
毎日、PCを開け、まずは最初に読ませていただいております。ご出張・講演旅行で休刊日は物足りない感じでその日が始まります。
5年位前に、ネット・サーフィンで木内信胤氏のコーナで貴誌を知り、それ以来のファンです。40年近く木内先生の謦咳に接したものとして色々なことを思い出させていただいております。
木内先生は10年ほど前にお亡くなりになりましたが、その一部の考え方を受け継がれておられるが宮崎さんと認識しております。
日本を変えるのに100人の仲間がいればできるのだ、と木内さんは良く言っていました。
安倍政権下、憲法改正を含めて変化の良いタイミングに、100人のトップを走っているように拝察しております。
『国の個性』の重要性を説かれておりました木内先生の考え方なども、近年の薄っぺらな「グローバリズム」や依然として米欧の「新説」を先を競って紹介する学者先生方が多い中、宮崎さんの言動は正しく、国士と呼ぶにふさわしいと確信しております。
時々、ご講演会場や懇親会などで謦咳に接するモノとしてますますのご活躍を切に期待する次第です。
((木内信胤信徒の一人)
(宮崎正弘のコメント)木内先生とは十年ほど、毎月一回勉強会があって、必ずおめにかかっていました。
松永安左右衛門氏がはじめた『産業計画会議』の末席を汚しておりましたので、木内先生の為替固定相場制度論など、一緒に協議して歴代総理に渡していたものでした。
その代表作『国の個性』(プレジデント社、絶版)は、小生、いまも時折、本棚から出して読んでいます。最後の最後までお元気でした。
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宮崎正弘の新刊予告 宮崎正弘の新刊予告
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平成27年(2015)1月7日(水曜日)
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ようやく本格化した日本企業の日本回帰
東芝もパナソニックも、日本に工場を新設し、生産拠点をもどす
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安倍首相は『週刊文春』新年号の櫻井よしこ氏との対談でアベノミクスや外交を語ったが、なかでも東芝を例に挙げて海外で生産してきた拠点の一部の日本回帰現象を強調した。
円高と中国の賃上げが主因だが、ほかにも日本回帰の要件がある。
国内に雇用が生まれることである。
2013年、中国での凄まじい「反日暴動」に嫌気をさして、日本企業の撤退が始まった。同年、日本企業の対中投資は47%の激減となった。
しかし当時はまだ「円高」の状況。それで『チャイナ・プラス・ワン』の標語の下、ベトナムとミャンマーなどアジアへの進出ブームが続いた。
ところが、ベトナムは親日とはいえ、一党独裁、賄賂まみれの国であり、規制が強い。とくに流通・サービス、金融関係ではなかなか条件をクリアできず、勢いがあるのはODA関連である。
新年早々も日本が支援したハノイ空港第二ターミナルとアジア最長と言われる吊り橋の落成式に太田国土交通大臣がテープカットに飛んだ。
ミャンマーも、やっとこさ自由化の波が押し寄せてはいるが、日本企業専用の工業団地は昨秋から工事がはじまったばかり、インフラ整備が遅れている。選別的進出分野は金融、不動産などである。
この状況に『円安』旋風が吹いた。
一ドル=80円台から、ドルは120円台となって、日本企業の企業業績も躍進した。
日本のように賃金が高くても、優秀なエンジニア、労働者が大量にいる国で生産した方が結局は生産効率が良い。
そのうえアベノミクスが掲げる『三本の矢』の中軸には「地方再生」がおかれ、地方に工場を建設し雇用する企業には減免措置が講じられる。
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パナソニックは中国で生産してきた家電製品を順次、国内に戻す。中国にあれだけ奉仕してきた同社も、すでに北京に保持してきた巨大ショールームを閉鎖している。パナソニックは電子レンジ生産を神戸工場に、洗濯機を袋井市工場に移す。
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シャープもテレビなどの製品を栃木、八尾工場に引き上げる計画を発表した。ダイキンは家庭用エアコンの一部の生産を滋賀県に移転完了している。
戻り遅れは巨大な設備投資をして、下請け企業もろとも大規模に中国に進出し、生産がようやく中国で本格化した自動車、化学コンビナート、造船、鉄鋼などだが、中国に於ける設備拡大をもはや口にしなくなったきた。
日本株は新年に欧州を襲った通貨危機を切っ掛けに目先弱含みだが、米国の景気が意外に良く、外人ファンドの狼狽売りが一巡すると、回復する気配である。
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――「我國萬世一統。所以冠萬國也」(日比野9)
「贅肬録」「没鼻筆語」(東方学術協会『文久二年上海日記』全国書房 昭和21年)
▽
日比野の体調は芳しくなく、時に清国軍の操練を見る機会を失した。そこで7万の軍隊を率いる華翼綸に戦法を尋ねると、確固たる命令系統の下で臨機応変に対応するのみ。
徒に既往の戦法の原理原則に縛られる必要はない。清国軍は西欧の兵器を使わず、重い旧式銃に槍・刀を使う、との答だった。そこで「ソノ意ヲ聞ク」と、華翼綸は次のように説く。
――「洋夷」の火器や軍艦は極めて便利ではあるが、我が清国においては何よりも「勇義」を尊ぶ。戦場で兵士が頼りとするのは兵器ではなく、じつに「勇義」。「勇義」を貫いて戦うのみだ。「洋夷」の兵器なんぞを使ったら、おのずから西洋の「俗」に化し、「勇戰」することを棄てて兵器に頼ってしまう。だから「洋夷」の兵器は「故ニモチヰズ」――
華翼綸の話を聞いて、日比野は次のように考える。
「コノ言實ニ確乎ヌクベカラザルナリ。我日本國ノゴトキ勇義宇内ニ冠タリ。豈辮髪輩ノ比較スルトコロナカランヤ。ソノ勇義ヲ以テ生氣ノアツマル槍刀ヲフルヘバ、宇内ソノ下ニナビク、言ヲマタザルナリ。然ルニ漢學ヲマナンデウブノ漢人トナリ、西土ヲ戀フテ我タフトキ國ヲイヤシミ、洋夷ノ器械ニ惑溺シ蠏字言語ヲマナビ、甚ダシキハソノ服ヲ用ヰ正朔ヲ奉ズルニ至ル。實ニ皇國ハ如何ナル國、勇義ハ如何ナル物ヲシラザルナリ」
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それにしても、である。
文久2(1862)年の上海における日比野の「漢學ヲマナンデウブノ漢人トナリ、西土ヲ戀フテ我タフトキ國ヲイヤシミ、洋夷ノ器械ニ惑溺シ蠏字言語ヲマナビ、甚ダシキハソノ服ヲ用ヰ正朔ヲ奉ズルニ至ル」との警句は、以後も警句のままに一向に改められることなく、現在に至っているように思えてならない。
「我タフトキ國ヲイヤシ」むような「ウブノ漢人」や「ウブノ」西洋人を有り難がる愚を繰り返してはならない。「蠏字言語」の習得を否定しない。寧ろ大いに奨励したい。だが、先ず「蠏字言語ヲマナ」ぶ目的を学ぶべきだ。国語の時間を削り、小学生から生半可な「蠏字言語ヲマナ」ばせ、「我タフトキ國ヲイヤシ」と思わせる教育を施し、「蠏字言語」に「惑溺」された若者の粗製乱造を画策するなんぞは、愚行中の愚行としかいいようはない。
日比野は多くの中国人と知合い筆談によって肝胆相照らす仲間を作っていったようだが、「蓋シ交接スルトコロノ學生武弁畫工醫生皆上海ノ者ニアラズ。〔中略〕我國人ノ滬上ニアルヲ傳聞シ、遥カニ戀ヒ來タルナリ。故ニ上陸ノ初メハ格外ノ人物ナキモ、今ハ?友ニ富ム」とし、かくて「モシ一年モ滯留セバ、マタ寸志ヲ達スルノ一端モアルベキニ」と呟くものの、「歸帆近日ニセマル。却ツテ歎ズベキカ」
太平天国によって引き起こされたが社会の大混乱の中、多くの有為の若者が遠路をものともせず、「我國人ノ滬上ニアルヲ傳聞シ、遥カニ戀ヒ」て上海にやって来て日本人を訪ねる。
「交接」を重ねた「?友」の顔を思い浮かべ、せめて一年の上海滞在が許されれば、もっと多くの「?友」との「交接」から亡国の淵に喘ぐ清国の実態を学び、日本の新しい針路を指し示すことができるのに――こんな日比野の悔しさが伝わってくるようだ。
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(読者の声1)名前を失念しましたが、或るエコノミストが原油価格が下降している最大年原因は、産油国が減産しないことではなく、中国の景気が悪くなって原油の輸入量が減っていることであり、それだからこそ事態はより深刻なのであると書いているのを読みました。
確かに減産しなければ価格維持ができないのであれば、需要が減っているといえます。
しかし中国の原油輸入が減少しているのは、景気低迷もあるとは思いますが、世界の需給に大きな影響を与えるほどの規模なら、景気低迷に加え国際市場以外からの輸入があるのではないのでしょうか。
例えば「イスラム国」(ISIS)から輸入するとか。もしそうなら、どこ経由で輸入しているのでしょうか。
穿った見方をすれば、イスラム国に自国が攻撃されないようにみかじめ料を払っている湾岸産油国が、イスラム国から原油を受け取り、それをバーゲン価格で中国に自国産原油として輸出しているのかもしれません。
如何お考えでしょうか。
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(宮崎正弘のコメント)イスラム国がイラク占領地の既存の油田から盗掘している原油はシリア、トルコ経由で密輸され、主に産油国が購入しているらしい。その先どこへ行くかは不明ですが、ともかく微量です。
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5年位前に、ネット・サーフィンで木内信胤氏のコーナで貴誌を知り、それ以来のファンです。40年近く木内先生の謦咳に接したものとして色々なことを思い出させていただいております。
木内先生は10年ほど前にお亡くなりになりましたが、その一部の考え方を受け継がれておられるが宮崎さんと認識しております。
日本を変えるのに100人の仲間がいればできるのだ、と木内さんは良く言っていました。
安倍政権下、憲法改正を含めて変化の良いタイミングに、100人のトップを走っているように拝察しております。
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時々、ご講演会場や懇親会などで謦咳に接するモノとしてますますのご活躍を切に期待する次第です。
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(宮崎正弘のコメント)木内先生とは十年ほど、毎月一回勉強会があって、必ずおめにかかっていました。
松永安左右衛門氏がはじめた『産業計画会議』の末席を汚しておりましたので、木内先生の為替固定相場制度論など、一緒に協議して歴代総理に渡していたものでした。
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