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『三橋貴明の「新」日本経済新聞』
2014/12/09
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From 藤井聡@京都大学大学院教授&内閣官房参与
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この週末、東日本大震災で最も激甚な被害を受けた地域の一つである石巻に二日間、行って参りました。
滞在中、現在の復興の状況を視察させていただきつつ、様々な状況についてお伺いしました。
現時点で、仮設住宅にお住まいの方は1万3千人以上。
その方々の内、復興公営住宅に入居希望をしておられる3千戸以上の方々の住宅は、平成28年までに整備完了予定とのことですが、実際に入居が完了している戸数が未だたった「4.5%」にしか過ぎません──。
また、集団移転を希望しておられる地区の方々の、集団移転が完了するのが、平成32年、すなわち、今から6年後とのことですが、移転が完了した地区は未だありません──。
https://www.city.ishinomaki.lg.jp/cont/10181000/8235/06-2.torikumi.pdf
そして、津波被害を受けた地域には、津波被害を受けた家屋が、未だにいくつかそのまま残されていたことに象徴されるように、「復興」の道のりは遙か遠いのです──。
一方、津波被害を免れた地区では、人々は既に「普通の暮らし」をしておられるように見受けられました。そして郊外の超巨大なショッピングモールがあり、そこは、繁盛している様子でした。
しかし、街中の商店街はいわゆる「シャッター街」。つまり、街中の商店には、ほとんどお客さんは集まっていないようです。
つまり、郊外の超大型ショッピングモールに、街中の商店街は顧客を完全に奪われ、その結果として、商店街は、壊滅的な打撃を受けている、という次第です。
いわば、沿岸部は自然災害による「天災」を、都心部は、規制緩和によって誕生した大資本による自由なショッピングモール投資による人為的激甚被害という「人災」を受けている、という次第です。
ただし、これだけの人災、天災に苛まれている石巻は、さらなる災いにも苛まれています。
前政権時代、「コンクリートから人へ」というスローガンの下、政府の公共事業関係費は7.1兆円から5兆円にまで、実に30%以上もカットされてしまいました。
一方で、石巻周辺の市民総生産に占める公共事業関係費の割合はおおよそ10%。ただし、乗数効果(つまり、公共事業を受注した業者が、そこで得た利益/所得を使って消費・投資をする分まで考えた場合の、経済拡大効果)まで考えれば、おおよそ公共事業が支えている石巻経済の割合は、おおよそ15~20%となります。
。。。。ということは、当時の安住財務元大臣(ちなみに、彼は石巻出身です)を中心とした方々のご判断で、公共事業を大幅に削減したことで、石巻経済は約4.5~6%(=15~20%×30%)、つまり、大まかにいって5%程度も低迷してしまった、という事になります。
その後、現政権下で、公共事業関係費の「当初予算」は幾分回復しましたが、その回復額は、前政権によって失われてしまった分の極々一部にしか過ぎないのが実態です。
この事はつまり、建設関係者のみならず、全ての石巻市民の所得が「5%」も、前党政権下での公共事業関係費の削減によって冷え込み、それが未だ継続してしまっている意味しています。
ただでさえ、98年以降、日本全国はデフレで苦しい状況にあったところ、先に触れた天災、人災に加えて、さらなる「追加」的ダメージとして、それだけの被害を毎年受け続けている状況に石巻の方々はおかれているわけです。
しかも、公共投資が経済に占める割合は、地方において特に高いわけですから、この「コンクリートから人へ不況」は、地方においてより重いのです。したがってそれは、都市と地方の格差を拡大させ続けているものでもあります。
この様に考えますと、石巻は、
<1>1998年からの「デフレ不況」という「人災」
<2>「コンクリートから人へ」不況という「人災」
<3>大型ショッピングセンターに関する規制緩和という「人災」
<4>大津波という「天災」
という四つの災難に苛まれており、それらはいずれもまだ、「復興への道は遙か遠し」、というものばかりであり、かつ、それらの中には「現実的な解決の糸口さえ見え出せていない」ものもある状況です。
しかし、もしも本当に、
「震災復興」
を遂げねばならぬと言うのならば、<4>のみならず、<1>、<2>、<3>の全てに対処すべきではないかと筆者は考えます。
そしてもしも本当に、
「地方の再生」
を果たそうとするのならば、同じく、これら<1>~<4>まで全てに対処せねばならないのではないかと思います。
そしてさらには、
「地域の強靱化」
を遂げんとするのならば、やはり、これら<1>~<4>の全てに対処することが不可欠だと言うことができるのではないかと思います。
今回の総選挙後にどのような政治が展開されていくようになるのかは、選挙結果に依存するところでありますが、少なくとも筆者は、石巻をはじめとした東北の被災地を苛み続けている四つの災いの一つ一つの問題構造とその構造を論理的に理解できる「知力」を持ち、かつ、それらの一つ一つを全力で解消してみせんとする「胆力」を持つ人物こそが、国権の最高機関たる国会で議論するにふさわしい人物なのではないかと、考えます。
一般の有権者は、そういう理想の候補者がおられる選挙区においては、全力でそういう候補者を応援することが必要なのではないかと思います。
しかし....そうでないケースおいては、少しでもそういう理想に近い政策が選択される可能性を最大化出来る候補者を選択していくことが、次善の策となるのだろうと....思います。
最悪の状況の中でも、可能な限り最善の結果に結びつきうる「賢明」なる国民の審判が下されますこと、心から祈念したいと思います。
PS
政治は、本当に難しいですね。でもどんな状況であろうと、その基本は永遠に変わりません。
http://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784792604950
PPS
土木チャンネル、の最終回。もしまだご覧になってない方は是非ご覧ください!
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