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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26年(2014)9月26日(金曜日)
通巻第4348号
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李登輝総統、日本での視察日程すべてこなし、帰国
「安倍政権は『日台関係法』の制定を考慮するべき」と記者会見
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六度目の来日を果たした李登輝元台湾総統は「2014日本訪問の旅」を無事に終えられ、「台湾関係法の制定を日本は検討すべきだ。必要があれば何度でも来ますよ」と記者会見して、新千歳空港から直接、台湾へ帰国した。
李元総統は19日に大阪に入り、講演会、工場見学などハードな日程をこなしたあと、北海道入り、24日には一時体調を崩されたため小樽訪問を中止された。同日夜には体調を回復、李登輝総統の家族水入らずで札幌の寿司レストランへ行かれたとか。
今回の来日は大きく三つの目的があり、最先端の癌治療法、代替エネルギー、肉牛飼育の現状視察。これらの視察目的はつつがなくすべて終了された。
札幌市では同行記者団と会見し、「年はとったが必要があったら、また来たい」と再来日に意欲を示した。
また安倍首相が11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、中国の習近平国家主席との会談に意欲を示していることについて、「集団的自衛権の行使容認を決めたことで中国にプレッシャーがかかり、習近平主席の方が(安倍首相に)会う必要性が出てきている」との分析を示す一方、「日台間に外交関係がないため、経済や人的往来など関係強化の法的根拠となる『台湾関係法』制定の必要性」を改めて強調された。
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(休刊のお知らせ)小誌、書き下ろし作業が追い込みのため明日、明後日休刊します
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◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ◎BOOKREVIEW◆
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一番悪いのは米国の野望、覇権そして民族分断支配
イラク、リビア、イランの近代化を阻止したイスラム過激派の裏側
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高山正之『プーチンよ、悪は米国に学べ』(新潮社)
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辛口の世界情勢分析と批判の本、「変見自在」シリーズも本巻で第九弾となる。なにしろ『週刊新潮』を買うと最終ページの高山さんのコラムから読むという人が多い。
この本には世界史の裏でうごめく米国の野望、その表面的な報道の裏側に潜む覇権のいかがわしさなどがうんと詰め込まれている。イラン情勢にも詳しいのは、氏自身がテヘラン支局長の経験があるからだが、米国の訴訟事情に詳しいのも、ロサンジェルス支局長の経験による。
とくに面白かったのは、イランの宗教革命とかいう全体主義の体制は、第二世代に移行しており、まさに中国の太子党に酷似するというコラムだ。
だから中国の奥の院で「共青団」vs「太子党」の権力闘争があるようにイランでもいま、おなじ対立が先鋭化していると分析される。
しかし、近代化を急いだパーレビを打倒したイスラム革命の背後には欧米の工作があり、フランスはホメイニ師を匿っていた。
イスラム革命が成功すると、旧権力者と軍幹部を根こそぎ処刑し、宗教警察という秘密警察を敷いて国民を監視し、身動きのできない全体主義国家に陥れ、あげくに彼らは暴走して米国大使館を占拠した。のちに大統領となるアハマドネジャットは、当時、その暴走組の一人だったという。
イランが暴れては困るし、過激派の跳梁跋扈はおっかない。だからサウジなど王政の産油国は恐怖のあまり、米国の兵器にたよる。
おおきく歴史の展望を広げて植民地時代の原理原則を振り返れば、アジア各地で英国が何をしたか?
ミャンマー国王夫妻をインドへ強制移住させ、王女はインド兵にあたえ、王子たちは処刑した。旧ビルマから王制は消えた。
そのうえでムスリム(イスラム教徒)を60万人、ミャンマーへ移住させて、仏教のくにと対立するイスラムを入れ、北部のマンダレーには大量の華僑をいれ、少数民族を山からおろしてキリスト教徒に回収させ、要するに民族対立を常態化させて植民地支配を円滑化したのだ。
ベトナムでフランスが同じ事をやり、インドネシアでオランダがそれを真似、インドにも英国は民族の永続的対立の種をまいた。
つまり言語と宗教の対立をさらに根深いものとして意図的に残し、あるいは強化し、インド支配を永続化させようと狙った。インドの紙幣には十五もの言語の表現があり、統一のインド語のかわりに英語が共通語となった。
この箇所で評者は保管していたインド紙幣を取り出してみたが、たしかに十五の文字で表記されている(以前はたしか十六の言語表記だった記憶があるが、そのことは措く)。
飜って、こうした高山史観に立脚すれば、イスラム国(IS)が中東で大暴れし、ついに米国が空爆を始めるに至って背景も一貫して同じではないかと思った。
すなわちアルカイィーダというテロリストのお化けはなぜ生まれたのか。
冷戦時代のソ連のアフガニスタン侵攻で、ムジャヒデンという武装ゲリラの武器援助を続けたのはどこのどいつだったか? パキスタンを経由してステンガーミサイルなどの高度な武器が供与され、結果、ソ連の武装ヘリは追撃された。
やがてソ連軍は去り、かわってアフガニスタンを支配していたタリバンは、アルカィーダの秘密軍事基地を提供し、テロリストが世界に輸出された。タンザニアなどの米大使館がかれらに攻撃を受け、クリントン時代の米国はアフガニスタンのタリバン基地に50発のトマホークミサイルをお見舞いした。かれらはしかし生き残り2001年9月11日、NY貿易センタービルを破壊した。
この結果、ブッシュジュニア時代に『対テロ戦争』が開始され、イラクへ、アフガニスタンへ大量の兵士と武器が送られた。政権がオバマになるや、イラクから撤退し、アフガニスタンからも逃げる準備ができた。
こうした状況に過激派アルカイィーダは世界の主要拠点を築いて外国人戦闘員も養成し、そのアルカィーダ残党から分派してできたのが『イスラム国』(もとはISIL<イラクとレパントノイスラム圏>と名乗った)である。
かれらは混乱するシリアに拠点を構築し、銀行強盗、誘拐身代金強奪など残虐さと荒っぽさでたちまちにして肥大化した。フランケンシュタインのようなイスラム過激派のお化けを産んだのは、結局のところ、英国などの植民地支配の残滓、米国の無邪気ともいえる介入と無惨な敗退ではないか。
しかし、もっと大局的な文明観にたてば、欧米はキリスト教文明圏であり、イスラム文明圏が結束して対抗する勢力となることを警戒するのだ。
したがってシリアなども、イラクがそうであったように欧米が軍事介入すればするほどに紛争が悪質化するのだが、イスラム全体がまとまらず、恒常的に内訌と紛争を繰り返せば、それは欧米に裨益するからではないのか。
だからこそNATOの一員ではあってもEUからはじかれるイスラム世俗国家のトルコは産油国が加わっての「有志連合」の空爆には関与せず、シーア派のイランは形式的に空爆を非難した。
チェチェンなどイスラム過激派との内戦に痛い目にあっているロシアは静観し、中国も知らぬが仏という態度だが、どの紛争地域にも鵺的に武器供与を続けて死の商人ぶりを発揮している。
イスラム国にとって米国はサターンだが、イスラム同胞を弾圧し続ける中国の新彊ウィグル自治区のムスリムには深い同情を抱いており、いずれ彼らは攻撃目標に中国を加えるであろう。
いささか当該書籍からは逸脱した書評となった。
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(休刊予告)小誌は海外取材のため10月2日から7日が休刊となります。
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