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鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
第141号(3月31日)
*新しい形態の核実験

 北朝鮮が国連安保理の報道談話に反発し、「新しい形態の核実験」の実施を示唆した。核爆弾にはプルトニウム型とウラニウム型の2種類あり、長崎に投下されたのが前者、広島に投下されたのが後者である。
 北朝鮮が今まで実験してきたのはプルトニウム型であるから、「新しい形態の核実験」とはウラニウム型を指すと見ていいであろう。一般的に言ってプルトニウム型は小型化が容易であり、ウラニウム型は小型化が困難とされる。
 核弾頭をミサイルに搭載して、より遠距離に飛ばすには、より小型化が必要となるから、北朝鮮は日本や米国に届く核ミサイルの完成を目指してプルトニウム型の実験を繰り返してきたと見られる。

 さてそうなると、今回ウラニウム型の開発を示唆したのは、日本や米国より北朝鮮に近い国を標的にしていることになる。北朝鮮に近接している国々とは、言うまでもなく中国、ロシア、韓国である。
 この中で中国は「北朝鮮に最も大きな影響力」を持つ国とされてきた。現に25日にオランダのハーグで開かれた安倍、オバマ、朴の日米韓首脳会談でも、北朝鮮問題が主要な議題であったが、「中国の北朝鮮への影響力」が重視されていたという。
 ところがその中国と北朝鮮の関係が最近、極めて変なのである。昨年12月に中国とのパイプ役であった北朝鮮ナンバー2の張成沢が処刑され、1月には北朝鮮内の親中派が摘発され、3月4日には中国民航機のルート近くで事前通告なしに射撃演習を実施した。

 中国が北朝鮮に影響力を持つと言われる所以は、中国が北朝鮮に多大な経済支援を行っているからである。世の常識では経済支援を受ける国は経済支援を施す国の言う事を聞くものだ。
 だが北朝鮮はこの常識に従わない。プルトニウム型核爆弾は小型化が容易だが原料のプルトニウムを得るには原子炉を稼働させなくてはならず、稼働させれば衛星監視ですぐにばれるから、稼働させるわけにはいかない。
 つまり現状もっている核爆弾は10発程度と見積もられるが、その数を増やせない。しかしウラニウム型だと原料のウラニウムを得るには遠心分離機を回すだけでよく、衛星監視では認識できない。

 従って安定した電力さえあれば、その数を秘密裏に増やしていくことができる。現在既に40発以上の核爆弾製造可能なウラニウムを蓄積していると見積もられている。これでミサイル搭載可能な核弾頭を製造すると弾頭重量は約1トン。
 重すぎて東京には届かないが、ムスダンに搭載すれば北京は完全に射程に入る。もとより国境を接しているから長射程のミサイルでなくても、ミグ23で軍事施設を核攻撃できる。もしウラニウム型核爆弾の保有が明確になれば、中国はただちに40発以上の核兵器を脇の下に突き付けられていることになる。
「そんな状況が嫌なら、もっと経済支援をよこせ」と言う所であろうか。


軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
主著:「領土の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321212000089
「国防の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201203000167
「戦争の常識」(文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166604265
「エシュロンと情報戦争」(文春新書、絶版)
共著:「総図解よくわかる第二次世界大戦」(新人物往来社)など
監修:「超図解でよくわかる!現代のミサイル」(綜合ムック)

国防・防人チャンネルで「よくわかる!ミサイル白書」配信中
http://ch.nicovideo.jp/kokubo-sakimori


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