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国柄探訪: 近大マグロ ~ クロマグロ完全養殖までの32年
32年かけて世界初のクロマグロ完全養殖に成功した「魚飼い」たちの執念。
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■1.グランフロント大阪の「近畿大学水産研究所」
JR大阪駅の北側は、大阪の中心街に隣接しながら、かつては巨大な、しかし人寂しい操車場だった。それが今や賑やかな巨大ショッピング・モール、「グランフロント大阪」に生まれ変わっている。
その一角に「近畿大学水産研究所」がある。名前からすると研究オフィスかと思ってしまうが、実際はカウンター席やテーブル席で100人近くも入れそうな小洒落た居酒屋風の店である。
午後5時ちょっと過ぎに行ってみたら、もう店内は満席で、入り口の前の通路にはロープが張ってあって、数十人が並んで待っている。ここは世界で初めて完全養殖に成功したマグロを食べさせてくれる店なのだ。
カウンター席が空いたので、そこに座り、早速、赤身、中トロ、大トロのマグロ3種盛りを頼んだ。醤油をつけて舌の上にのせると、とろけるような旨みが広がる。
テーブルの上にはタブレットが置いてあって、32年にわたる完全養殖に成功するまでの経過を一覧することができる。それからさらに12年を経て、独自店舗を出しても成り立つ商業化の段階に到達したということだろう。
■2.「魚飼い」たちの実学
マグロ完全養殖研究の中心人物、熊井英水(ひでみ)が近畿大学臨海実験所副手として採用されたのは、昭和33(1958)年7月1日のことだった。
この実験所の前身は、戦後の食糧不足の中にあって、近畿大学初代総長・世耕弘一(せこう・こういち)によって、「日本人全員の食料を確保するには、陸上の作物だけでは不十分である。海を耕し、海産物を豊かにしよう」という志で設立されていた。
この志から、実験所には世の中に役立つ実学を追究するという姿勢を抱き、自分たちを羊飼いならぬ「魚飼い」と考えていた。
ちょうどその頃、ハマチの養殖に成功し、大阪の中央卸売市場に売り出した。自分たちが育てた魚の市場価値を確かめるという意味もあるが、大学本部からの乏しい研究予算を補う、という目的もあった。今でいう大学発ベンチャー企業である。
市場では海が時化(しけ)たときに値段が上がるので、こういう時を狙って、養殖場から朝の4時に水槽車で大阪に届ける。近大のハマチは、色や形、身の付き具合もよく市場評価も上々だった。
熊井が副手となった昭和33(1958)年には9千尾を出荷し、4百万円もの売上げがあり、これで実験施設を充実させた。昭和40(1965)年には世界初のヒラメの完全養殖に成功、その後、ヘダイ、イシダイ、ブリと完全養殖の魚種を広げていった。
また完全養殖が可能になった魚種を、品種改良でより養殖しやすい品種にする研究も同時に行われた。たとえばマダイは天然のものだと1kgに成長するのに3年を要するが、成長の早い個体を選択し掛け合わせたところ1年半ほどで成長する品種が育った。
こうした品種は、全国の養殖業者の評価が高く、マダイの稚魚出荷量は平成元(1989)年には一千万尾に達し研究所の運営基盤を固める事に大いに貢献した。
■3.クロマグロへの挑戦
取り上げる魚種に関して、研究所内では「最後はクロマグロだな」という思いが共有化されていた。クロマグロは、マグロの中の最高級種で、「海のダイヤ」との異名を持つ。需要が増大している一方で、漁獲量が頭打ちになっており、規制強化の流れがあった。
クロマグロは、地中海沿岸などを中心に、捕獲した天然マグロを直径30m~90mの巨大な生け簀(いけす)で数ヶ月飼育して、成長させてから出荷する「畜養」が行われていた。
しかし、それ以外のマグロの生態については、ほとんど知られておらず、完全養殖のためには、産卵、孵化、仔稚魚の餌付け育成、幼魚から成魚への育成と、ほとんどのプロセスで研究開発の必要があった。
昭和45(1970)年、水産庁は「獲る漁業から、作り育てる漁業」をマグロにも適用するために3年間の「マグロ類養殖技術開発企業化試験」を開始し、全国5ヵ所の施設に研究委託をした。近畿大学もその一つとなった。
■4.「そんなもん絶対に無理!」
研究は、まずクロマグロの幼魚ヨコワを獲り、生け簀で育てるプロセスから始めた。太平洋におけるクロマグロは日本南方からフィリピン沖で孵化した後、黒潮に乗って北上し、夏から秋にかけて10~20センチ程度のヨコワとなって日本沿岸にやってくる。
熊井は黒潮に洗われる本州の最南端、和歌山県串本周辺の漁師にヨコワを獲れるか、と聞いてみたが、みな異口同音に「そんなもん絶対に無理! ヨコワは手で触っただけでもすぐに死んでしまう」と答えた。鱗が弱くわずかの傷でも腐って死んでしまう、という。
昭和45(1970)年8月10日、近大所有の2隻の漁船で漁を行い、25尾を生け簀に収容したが、9月1日時点で生きていたのは、わずか8尾。釣り上げる際に身体を傷つけてしまったのが、原因だった。さらに生き残ったヨコワも、ある日、全滅していた。
調べてみると、餌の食べ残しが海底に沈んで、好気性のバクテリアが発生し、そのために海中の酸素が減って、ヨコワが酸欠に陥って、死んでしまったと判明した。ハマチが酸欠で死ぬことはなかったが、ヨコワは酸欠にも非常に弱かったのである。
再度、捕獲したが、今度は台風の大波で生け簀の網が一方に吹き寄せられ、ヨコワの身体が網で損傷して全滅という事態になった。
こういう試行錯誤を繰り返しているうちに研究委託の3年は終わってしまい、予算は打ち切られた。他の研究施設も結果を残せずに撤退した。しかし近大水産研究所はハマチなどで稼いだ資金を投入して「完全養殖を必ず成功させる」と諦めようとはしなかった。
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