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    『三橋貴明の「新」日本経済新聞』

     2014/03/21


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From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学


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●三橋貴明の無料Video「韓国経済の悲惨な現状」
http://www.youtube.com/watch?v=cJ5ZkH04hwE

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おっはようございま~す(^_^)/

メルマガを2週間に一度、書かせてもらうようになってから一年半近く経ちますが、ときどき思っていたことがあります。「今でも書きたいことはたくさんあるけど、民主党政権のときだったら、もっともっと書きたいことがあったのになあ」ということです。

民主党政権の悪夢の3年半、私は常にイライラ、ヒヤヒヤしていました。鳩山さんの政権ができて以来、外国人地方参政権や東アジア共同体構想、小沢さんの訪中、人権擁護法案、夫婦別姓論議、法務大臣や国家公安委員長への左翼色の強い政治家の就任などなど、よくもまあ次から次へと売国法案・政策を思いつくなあ、と半ば感心すると同時に、どっかで批判の声をあげねばと常に思っておりました。

しかし当時は、意見を発表させてもらえるところがあまりなく、思い余って2ちゃんに夜な夜な張り付き、「ヴォケが!」「ルーピーは今日も平壌運転(-_-;)トホホ…」などと書き散らす日々ですた…。(さすがにウソですd(*´∀`)b)

民主党政権が終わってホッとしたんですが、悲しいことに、ここ最近、安倍政権にも、「それ違うんじゃないの」と感じることがままあります。

特に、ここひと月ほど、「外国人労働者や移民の受け入れ」、「道州制法案の国会提出」、「法人税の引き下げ」、「配偶者控除の廃止」などの検討を開始するという報道を、ほぼ毎日見聞きし、よくもまあ次から次へと新自由主義路線炸裂の政策を出してくるなあと呆れております。

それに加えて、「国家戦略特区」の話。こちらもうんざりです。
3月中に、対象地域を発表するそうです。

「国家戦略特区、首相が月末に公表 経財相表明」(『日経新聞』2014年3月17日付)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1800B_Y4A310C1EB1000/

私の住む福岡市も「新たな企業と雇用を生み出すグローバル・スタートアップ国家戦略特区」という構想で応募しています。最近の報道によると、これ、決まりそうなんですよね。

「国家戦略特区」選定大詰め、福岡市が急浮上(『産経新聞』2014年3月5日付)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140305/plc14030510210005-n1.htm

福岡市が提案しているのはどういうものかというと、「解雇規制の緩和」「法人税の減免」「外国人の在留資格要件の緩和」などを通じて起業しやすい環境を福岡市に作ろう、というものです。

福岡市「新たな企業と雇用を生み出すグローバル・スタートアップ国家戦略特区」
(下記クリックすると、PDFファイルが開きます。3.68MB)
http://www.fukuoka-dc.jpn.com/wp-content/uploads/2013/09/3099cd651547784dbe7b7211b24a0739.pdf

国の「産業競争力会議」などで少し前に議論され、国民の反対が強かったため結局取り下げざるをえなかった「解雇規制の緩和」が盛り込まれていることからわかるように、まさに新自由主義路線そのものです。
(『NET IB NEWS』2014年3月5日付)
http://www.data-max.co.jp/2014/03/05/post_16456_dm1749_3.html

一昨日の東田剛さんの替え歌メルマガ(^o^)にもありましたが、労働者の不足やインフレで困っているならともかく、いまは賃金の低下や需要不足で悩んでいるデフレです。

「起業促進の規制緩和」を行っても、人々の購買意欲がないデフレの現状ではほとんど成功しないでしょうし、起業から5年間程度の期間を区切るといっても「解雇規制の緩和」をしたのでは、不安定な仕事が増えるだけでデフレ脱却にはむしろ逆効果でしょう。

だいたい「起業」こそが不況脱出の切り札!みたいな根本的前提が、すでに間違っているように思います。(繰り返しますが、特に今はデフレですし)。

福岡市の提案では、起業を増やすことについて具体的な数値目標が設定されています。

「開業率20%を目指す!」とのことです。

しかしこれ、なんか意味があるのでしょうか。ケンブリッジ大の経済学者ハジュン・チャン氏によると、「経済成長の原動力は起業家精神だ!」「起業家精神の欠如こそ、経済の停滞の原因だ!」というのは、ウソだそうです。(チャン『世界経済を破綻させる23の嘘』徳間書店、2010年)。

控えめにみても、「起業が多ければ多いほど、経済が成長し、好景気になる。国や地域が栄える」ということは、一概に言えそうもありません。

たとえば、起業する率が高いのは、経済の組織化が進んでいない発展途上国であり、先進国の場合はすでに経済の組織化が進んでいるため、むしろ起業する率は低いそうです。(上記のチャン氏の本によれば、「途上国の平均的国民が起業家になる確率は30% …先進国の平均的国民が起業家になる確率は12.8%」だそうです。)

実際、福岡市の「グローバル・スタートアップ構想」の案を作った事実上の市のシンクタンクである福岡都市研究所のHPにある資料を見ても、「起業活動率」が高い国は、上からチリ、タイ、中国、ブラジル、エストニア、スロバキアと、あまり先進国はありません。「起業活動率」が高くなっても、あまりうらやましくありません…
http://www.urc.or.jp/jigyou/jyouhousen/documents/FG07JPver1.0_000.pdf
(PDFが開きます。1.48MB。「起業活動率」のグラフは5頁に)。

福岡市が用いている指標である「開業率」(一定の期間中に新規開業した事業所数を、その期間の初めに存在していた総事業所数で割った比率)の国際比較は探し出せなかったのですが、都道府県別のデータは下記にありました。

『社会実情データ図録』(「都道府県別の開廃業率、失業率の相関」)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/7365.html

上記のサイトの説明によると興味深いのは、「開業率」の高い県は「廃業率」も高く、また「失業率」も高いそうです。

HPの主宰者(本川裕氏)は、「開業率」と「失業率」との相関関係が高い理由として、「失業率が高いということは求職者数に対して職場が少ないということであり、そうした地域では余り収入にならなくとも何もしないよりましなので店屋などを開業する人も多くなる」と述べています。(加えて、大都市でも、「自動車産業を中心に経済が好調で失業率も低い愛知県では開業率はそれほど高くない」と書かれています。)

福岡市は、「開業率20%にして全国ダントツ一位を目指す!」と言っているわけですが、失業率も高くするということなんでしょうかね。まあ、「解雇規制の緩和」を行うわけなので、案外、そうなのかもしれませんが…

「開業率」の高い社会とは、経済活動が「好調」「活発」というよりもむしろ「バタバタと落ち着きがなく不安定」といったほうが正確なようで、一般市民からすれば、特に目指すべきものでもないように思います。

福岡市は、「起業が多く、開業率が高いとなんとなくアメリカンドリームみたいでかっこええ」みたいなイメージだけで深く考えず語っている気がします。

そのほかにも、福岡市の「グローバル・スタートアップ国家戦略特区構想」には、望ましさがよくわからない提案がなされています。「外国人の在留資格要件の緩和」「クルーズ船内のカジノ営業の緩和」「外国人医師の診療行為の規制緩和」などを喜ぶ福岡市の一般市民はどの程度いるんでしょうか。少なくとも私は、もっと落ち着いた街にしてほしいと思いますが。

また、「学校教育法第1条規定の学校の国際バカロレア認定要件の緩和」も提案されていますが、これも私はどうかと思います。

福岡市の提案の狙いはよくわかりませんが、国家戦略特区に関するいくつかの本を読んだところ、国家戦略特区では、日本の学習指導要領から外れた外国人の駐在員向けの公立あるいは私学助成の対象としての私立の小中学校や高校(またはコース)を作ろうという提案が一部でなされているみたいですね。外国語が通じる医療機関の設置と同様、主に、外国企業の経営者や従業員の便宜のためのようです。

(もしくは、「英語・中国語・韓国語が通じる公立の外国人小学校、中学校、高校」を作るという提案もあるようです(参照、市川宏雄『山手線に新駅ができる本当の理由』メディアファクトリー新書、2012年)。この本では、東京の国家戦略特区に指定された地域ではそういうのが作れるようになるので、グローバルでいいだろ!と誇らしげに説明されています)。

私は、この国際バカ ロレア認定要件の緩和などの「学校教育のグローバル化」も、福岡の一般市民にとってよいのかどうか疑問に感じます。外国人、あるいは日本人の親が、そういう教育を自分の子に受けさせたいと思うのは自由ですが、その場合、自分たちで経済的、あるいはそのほかの負担をしてほしいと思います。日本の制度にフリーライドするのは止めてほしいですな。

または、もしそういうのが日本の一般国民にとって必要だというのなら、その必要性をきちんと説き、正々堂々と議論し、学習指導要領の改訂をめざしてほしいものです。

相変わらずだらだらと長くなってきました…

端的に結論をいいますと、(1)よく考えず、新自由主義とかグローバル化とかの流行の考えにすぐ乗ってしまう福岡市のカルい姿勢が気に食わん、(2)「解雇規制の緩和」のように、正面から国民の民主的審議にかけられず引っ込めたものを、…

[続きはコチラから]
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