【クリミヤと台湾、北方領土】台湾にとって他人事でないクリミア紛争
海原 創 (「連帯する日本」札幌幹事)
クリミヤ紛争と聞いても大多数の日本人はその場所すら知らないであろう。
きっと地球上の遠い地方の出来事で、この紛争が自分たちのごく身近な問題であると捉える人などごく少数であると思う。
ロシア政府(プーチン)は定石どうりクリミヤ自治区に居住するロシア系住民の保護を口実に軍を派遣しクリミヤをウクライナから切離し独立させる作戦に出た。そして世論の地固めを計るため先ずは友好国の習近平に電話して理解と支持を求める。しかし習氏の態度は予想外に冷ややかであった。プーチンの要請を額面どうりに解釈し、れっきとしたウクライナの一部であるクリミヤの独立を支持したりすれば、中国の一部と考える台湾や他の少数民族自治区の独立をも認めることに繋がりかねない。
三月六日、この問題が国連に持ち込まれ米国をはじめとする世界の主要国が一斉にロシア批判と経済制裁を叫びだすと、プーチンは国連でVETO(註)を有する中国だけはなんとか味方にしておかねばと新たな方策を試みる。その手とは、クリミヤの独立ではなく半島の全住民にロシアへの帰属を問う選挙を挙行するというものであった。今後国連での審議やウクライナ現地での状況がどこまで悪化するかは未知数であっても、もしこの選挙結果クリミヤがロシアに併合されることとなれば、たとえ台湾住民の八割が独立支持であるにせよ、将来中国が台湾住民に中国への帰属を選挙で問う論理的な根拠が与えられる可能性が生まれる。これを巡って国連でもし論戦となれば、ロシアを支持することは中国にとっては決して不都合ではないであろう。このように、台湾住民にとってクリミヤ問題は他人事ではなく明日のわが身となりかねないのである。
いま「台湾住民にとっては~」と述べたが、正確には「日本人にとっても~」と付言しなければならない。それはクリミヤを北方領土に置き換えれば鮮明である。北方四島には現在1万8千人のロシア人が不法に居住しておりわが国の返還運動に不安を抱きこれに反対しているが、もし彼らが安定した生活権や将来の保証をモスクワに要請すれば、プーチンは心にもなく人道的処置と称して四島のより確固たる支配を島民に約束するであろう。
ロシアはこれまでも住民保護の名目で数えきれないほど各地の紛争に介入し、軍を進め、領土を切り取りながら新たな帝国主義へと逆走してきた。この勢いは今後衰えることはないであろう。北方領土交渉とは背後に強大な武力と理不尽な領土的野心を抱く相手との戦いで、決して安倍・プーチンの個人的友好関係で平和的に進むようなお目出度い事柄ではないのである。
中国は台湾住民の現状意識からして即座に行動を起こすことはないであろうが、わが国の政治姿勢や日米同盟の緊密度など、時を睨んで台湾への軍事介入も辞さない決断を下すであろう。それは一日も早くユーラシア大陸に歴史的な大中華帝国を実現するという習近平の野望の中で、台湾統一が習氏の力量を問う大きな課題であるからだ。
クリミヤ問題はまさに台湾の問題であり北方領土の問題である。われわれはこの問題を台湾の人々としっかり共有し注視してゆかねばならない。
註:VETOとは拒否権のこと
『台湾の声』http://www.emaga.com/info/3407.html
2014.3.15 8:00
海原 創 (「連帯する日本」札幌幹事)
クリミヤ紛争と聞いても大多数の日本人はその場所すら知らないであろう。
きっと地球上の遠い地方の出来事で、この紛争が自分たちのごく身近な問題であると捉える人などごく少数であると思う。
ロシア政府(プーチン)は定石どうりクリミヤ自治区に居住するロシア系住民の保護を口実に軍を派遣しクリミヤをウクライナから切離し独立させる作戦に出た。そして世論の地固めを計るため先ずは友好国の習近平に電話して理解と支持を求める。しかし習氏の態度は予想外に冷ややかであった。プーチンの要請を額面どうりに解釈し、れっきとしたウクライナの一部であるクリミヤの独立を支持したりすれば、中国の一部と考える台湾や他の少数民族自治区の独立をも認めることに繋がりかねない。
三月六日、この問題が国連に持ち込まれ米国をはじめとする世界の主要国が一斉にロシア批判と経済制裁を叫びだすと、プーチンは国連でVETO(註)を有する中国だけはなんとか味方にしておかねばと新たな方策を試みる。その手とは、クリミヤの独立ではなく半島の全住民にロシアへの帰属を問う選挙を挙行するというものであった。今後国連での審議やウクライナ現地での状況がどこまで悪化するかは未知数であっても、もしこの選挙結果クリミヤがロシアに併合されることとなれば、たとえ台湾住民の八割が独立支持であるにせよ、将来中国が台湾住民に中国への帰属を選挙で問う論理的な根拠が与えられる可能性が生まれる。これを巡って国連でもし論戦となれば、ロシアを支持することは中国にとっては決して不都合ではないであろう。このように、台湾住民にとってクリミヤ問題は他人事ではなく明日のわが身となりかねないのである。
いま「台湾住民にとっては~」と述べたが、正確には「日本人にとっても~」と付言しなければならない。それはクリミヤを北方領土に置き換えれば鮮明である。北方四島には現在1万8千人のロシア人が不法に居住しておりわが国の返還運動に不安を抱きこれに反対しているが、もし彼らが安定した生活権や将来の保証をモスクワに要請すれば、プーチンは心にもなく人道的処置と称して四島のより確固たる支配を島民に約束するであろう。
ロシアはこれまでも住民保護の名目で数えきれないほど各地の紛争に介入し、軍を進め、領土を切り取りながら新たな帝国主義へと逆走してきた。この勢いは今後衰えることはないであろう。北方領土交渉とは背後に強大な武力と理不尽な領土的野心を抱く相手との戦いで、決して安倍・プーチンの個人的友好関係で平和的に進むようなお目出度い事柄ではないのである。
中国は台湾住民の現状意識からして即座に行動を起こすことはないであろうが、わが国の政治姿勢や日米同盟の緊密度など、時を睨んで台湾への軍事介入も辞さない決断を下すであろう。それは一日も早くユーラシア大陸に歴史的な大中華帝国を実現するという習近平の野望の中で、台湾統一が習氏の力量を問う大きな課題であるからだ。
クリミヤ問題はまさに台湾の問題であり北方領土の問題である。われわれはこの問題を台湾の人々としっかり共有し注視してゆかねばならない。
註:VETOとは拒否権のこと
『台湾の声』http://www.emaga.com/info/3407.html
2014.3.15 8:00