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 『三橋貴明の「新」日本経済新聞』

      2013/09/20


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From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学



おはようございます(^_^)/

2020年の東京オリンピック開催が決まったのはよろこばしいことだと思うんですが、やはり少し懸念もあります。

9月11日付の東田剛さんのメルマガ記事「東京五輪を素直に喜べない理由」にもあったように、「オリンピックだから」というのを言い訳にして、新自由主義的な政策がドサクサに紛れて進められそうな気もします。

http://www.mitsuhashitakaaki.net/2013/09/18/korekiyo-62/

直接に新自由主義的政策というわけではないですが、グローバル化対応という意味では、下記のように、小学生への英語教育強化の政策も、ドサクサに紛れて持ち込まれそうです。

「おもてなし」へ小学校で英語教育強化 義家文科政務官インタビュー(産経ニュース 9月14日付)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130914/plc13091407390005-n1.htm

このリンク先の産経記事では、「義家弘介文部科学政務官が…、東京開催が決まった2020年夏季五輪に向けて『おもてなし』の精神を醸成するため、小学校での英語教育の強化に取り組む考えを示した」とあります。

じゃあ、英語国であるアメリカとかイギリス、オーストラリアとかは、すでに「おもてなし」精神にあふれまくってるのか~、などと、ちょっとズレたツッコミをいれたくなります…
f(^_^;)

個人的には、小学校の英語教育には反対です。日常生活が日本語だけで済む恵まれた日本に住んでいる限り、週に一、二度、小学校で英語の歌をみんなで歌ったぐらいで、英語がうまくなるわけはありません。

もし、これを拡充して週に三、四度にしたところであまりかわらないでしょうし、それに、国語をはじめとした他の教科がおろそかになるでしょう。

それよりも、国語の時間を拡充して、日本語の感覚を磨いてほしいと感じます。よく言われるように、母語である日本語を通じて得られた言語感覚こそが、英語などの外国語を含めたすべての学習活動の基礎になると思いますので。

それに、政治との関連でいえば、日本語をしっかり学び、日本語から得られる各種の感覚を共有することが、日本人としての連帯意識(仲間意識)の基礎になるはずです。たびたびこのメルマガにも書いてますが、グローバル化が叫ばれる現在だからこそ、国民の連帯意識の維持や育成はとても大切です。

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震災などの災害でも頼りになるのは、国民の助け合いですし、福祉も結局は国民の間の相互扶助を基盤としています。
民主主義的な話し合いだって、仲間意識がないところでは、なかなか成り立ちません。
(`・ω・´)

日本で最初の近代的な国語辞典『言海』(げんかい)をほぼ独力で作り上げた国語学者・大槻文彦(おおつき・ふみひこ)(1847-1928)は、国語の意義を次のように説いています。

「一国の国語は、外に対しては、一民族たるを証し、内にしては、同胞一体なる公義感覚を団結せしむるものにて、即ち、国語の統一は、独立たる基礎にして、独立たる標識なり」(『広日本文典序論』)。

国語は、海外に対しては一つの民族(ネイション)であることを宣言し証明するもので、国内的には、国民の連帯意識や団結心を育むものだということですよね。

現在、小学校の英語教育の強化や、はたまた幼児からの英語教育の必要性まで主張する人が結構います。最近、街中で『英語幼稚園』なるものの看板も見ました。

母語である日本語もまだほとんど身に付いていない幼児や小学生の段階で英語教育に時間を割いてしまったら、日本語の感覚や、それを基礎とする日本人同士の連帯意識や、社会に対する愛着が、子供達にしっかりと備わらないんじゃないかと少々心配になります。
(´-`;)

ところで、少々脱線ですが、大槻文彦が1891年(明治24年)に出版した『言海』という辞書、なかなか面白いです。語釈が秀逸で、まさに、「一人の著者に統率された、味のある、引き締まった文体。しばしばことばの急所を言いあて、あるいはうねるように説き進み、ユーモアすら醸し出す書き方」(ちくま学芸文庫版『言海』の解説)という感じです。

たとえば、「猫」の項目はこうなっています。

「ねこ(名)猫。人家に畜(か)う小さき獣、人の知る所なり。温柔にして馴れ易く、又よく鼠を捕ふれば畜う。しかれども、窃盗の性あり。形、虎に似て、二尺に足らず。性、ねむりを好み、寒をおそる。毛色、白、黒、黄、ぶち等、種々なり。その瞳、朝は円く、次第に縮みて、正午は針の如く、午後また次第にひろがりて、晩は再び玉の如し、陰処にては常に円し。」

この猫についての語釈、「窃盗の性あり」というのがいいですね(笑)。猫はきっと、「そんなことないよ!」と怒るでしょうけど。
(=^x^=)

「猫」のついでに「犬」も。

「いぬ(名)犬、狗。家に畜(か)う獣の名、人のよく知る所なり。最も人に馴れ易く、怜悧にして愛情あり。走ること早く、狩りに用い、夜を守らすなど、用少なからず。種類多く、近年、舶来の種ありて、いよいよ一ならず。」

犬は、「怜悧にして愛情あり」となっています。大槻文彦は、犬派だったのかな。
∪・ω・∪

もう一つだけ。昨夜(9月19日)は、中秋の名月でした。福岡はとてもよく晴れていて、大きな満月がよく見えました。

『言海』で「中秋」の項をみると、「十五夜」の項をみよ、となっています。
「十五夜」は次のように書かれていました。

「じふごや(名)十五夜。もっぱら、陰暦8月15日の夜に、満月の光を賞する称。秋の半ばにして、暑からず、寒からず、天澄みて、月色甚だ明なれば、特に明月と称し、中秋の月などいひ、一年の観月の節とし、宴など開く。」

名文だと思います。「秋の半ばにして、暑からず、寒からず、天澄みて、月色甚だ明なれば…」というのは、まさに昨晩でした。

話が脱線しまくりました。
英語教育の話をしていたのでした。

言語学者の大津由紀雄氏は、小学校での英語教育に反対し、かわりに「母語である日本語を使って、ことばに対する意識を育成する」ための言語教育の導入を提言しています(大津由紀雄編著『日本の英語教育に必要なこと』(慶應義塾大学出版会))。

(ネット上では、下記の最近のインタビューに、同様の趣旨が掲載されています)
大学のTOEIC、TOEFL重視 小学校英語の教科化… 破綻に向かう英語教育
「英語教育、迫り来る破綻」 大津由紀雄氏インタビュー
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3095?page=1

大津氏の述べるように、母語である日本語を用いて、日本語の感覚を磨くとともに、将来の外国語学習の基盤ともなる言語感覚一般を鍛えていく。現在の英語活動のかわりに、そういう「ことばの力を鍛える活動」を小学校時代に行うのも、一つの手かなと思います。

いつも以上にまとまりのない文章で失礼しますた


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PPS
昨晩は十五夜でしたが、こちらは闇夜に決められてしまいそう…
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