「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成25(2013)年6月28日(金曜日)
通巻第3975号
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中国バブル崩壊、最悪のケースは米国債売却
金利急上昇、世界市場大混乱は必至。日本では中国進出企業の株が暴落
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刻一刻と爆発が迫った。
もはや中国バブル崩壊は不可避的で、残るのは時間の問題である。何時? どの程度の規模でそれが発生し、世界経済に与える悪影響はどれほど深甚か?
社会的にも暴動の激化、騒擾の日常化が考えられる。
すでに英国中央銀行は、「金利の急上昇に備える」かまえをみせている(ウォールストリート・ジャーナル、6月28日)。
米ニューズウィーク誌(日本語版、7月2日号)は全面が中国バブル崩壊シナリオ特集で、とくにシャドー・バンキングと不良債権の危険性を論じ、日本のメディアでも各紙、週刊誌、経済雑誌がおなじ特集をしている。
第一に中国の経済停滞は避けられないだろう。
GDP統計はもともと水増しの面妖データである。不動産投資にGDPの47%が集中しているから、銀行の不良債権はおそらく350兆円を越えている(昨年まで小誌は最悪270兆円と見積もってきたが、これを訂正します)。
ゼネコン、デベロッパー、不動産斡旋、住宅ローン、信託、くわえて建機、健材、インテリア関連から看板塗装にいたるまで、倒産が続出する事になるだろう。
第二に中国の金融システムは、一党独裁の結果、柔軟性が失われているため、暴落はかえって改革の糸口を産むかも知れない。銀行関連のトップに王岐山系列、背後に朱容基の人脈が登場しているのは、一縷の希望を抱かせる。
ともかく四大国有銀行(中国工商銀、建設銀、農業銀、中国銀行)ならびに招商、光大など大手銀行は国家がつぶさない。
すると残る手だては何か?
デノミさえも計算に入れた、通貨供給の増大、人民元を市中にまき散らす手段だろう。
第三に対外的に中国バブル崩壊は世界市場を揺らすことになるが、リーマンショックの場合と異なるのは、銀行が国有であること。潰れる懼れはないうえに中国はCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を販売していない。中国の国債は香港とロンドンで市場があるだけ、購入者は限られており、日本は6800億円だけ保有しているくらい。
▼中国が保有する米国債を売るに走ると世界経済に悪影響がでる
こうみてくると世界市場で激甚な悪影響がでる懸念はひとつだけ。それは手元資金確保のため中国が保有する米国債2兆ドル強を売却することである。
金利が急騰することは避けられず、金利相場は日本にも跳ね返るだろう。
第四にシャドー・バンキングはのっぴきならない窮地に追い込まれ、犠牲の山羊として、見せしめ裁判も行われるだろうが、人民元の暴落があれば輸出競争力の回復が臨まれるので製造業の再活性化という逆のシナリオも描ける。
第五に日本の受ける損害である。
せっかく回復した日本経済にチャイナリスクが加わって、上海株価が下落すると、ダイキン、コマツ、トヨタ、伊藤忠など過度な中国進出をなした日本企業の株価が連動して下落した。
日本政府が保有する人民元建て国債と通貨スワップ、中国株へ投資した個人投資家や中国株を組み入れた投資信託、ならびに香港のレッドチップ保有者は大きな損失を蒙るだろう。
他方、中国国家ファンド(CIC)系が保有する四兆円をこえる日本企業株がおそらく売却されるので、不気味な大株主をかかえるとして注目しされた各企業は株価が一時的下落に見舞われようとも、安心感を得られるメリットがある。
邦銀が貸し込んでいる3兆円強の融資は在中国日本企業であり、問題は少ない。
いずれにせよ、関係者はよくよく中国経済の推移を見守る必要があり、打てる対策は早めにすべて講じておくべきであろう。
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(休刊のお知らせ)小誌は明日6月29日から7月8日まで休刊となります
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◎ BOOKREVIEW ◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ☆
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神道を国際比較すれば不思議なほど自然ととけあう
バラモンからプロテスタントまでを総覧的に比較研究の集大成
♪
呉善花『日本人として学んでおきたい世界の宗教』(PHP研究所)
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呉善花さんの新作のテーマは、意外な分野へ飛んだ。おや、宗教学である。
神道の研究をされていたのは知っていたけど、世界の宗教概論も大学で講義されていたとは知らなかった。
ソ連崩壊直後だったが、アエロフロートでイルクーツクからモスクワ行きに乗り換えたとき、偶然となりに座った若い男は典型のロシア系の風貌、ロシア語の通訳を間に入れてお喋りをしたら、「ところであなたの信仰する宗教は何か」と聞かれたので、日本人は大概が「無神論」に近いと答えた。
すると「神を信じないで、いったいどうゆう人生をおくるのか」と驚いた表情をみせた。ちなみに彼はアルメニア人だった。信仰はアルメニア正教(東方正教会の流れ)。聖都はエレバン。
日本人は正月に神社へお参りに行き、結婚は耶蘇教の教会でおこなうのが流行で、葬式は仏教というパターン。これじゃ外国人からみれば多重人格、いや人格破綻か、発狂したかと誤解されかねないだろう。評者(宮崎)は英語でならなんとか説明できるがロシア語通訳氏、いったいどう訳したのか、その後もアルメニア人の疑い深い風貌は変わらなかった。
さて呉さん、新作では世界四大宗教、キリスト、ユダヤ、イスラム、仏教を総合比較しながら、それぞれの由来と分裂、宗派の差違、教義の差違など簡潔に述べられているが、バラモンからヒンズー、そして仏教への道筋はわかるにしても、中東から中央アジアに発達したゾロアスター教への言及がないのは残念と思った。
ニーチェが注目した「ツアラツゥストラ」はゾロアスターのドイツ発音である。だが、本書は大学の講義録であり、詳細な各論は専門書にあたれば良いことで、学生や若者に知って欲しい宗教のポイントを網羅しつつ、白眉は日本の宗教、とりわけ神道の特質をのべている箇所である。
「神の感じ方」として、こう言われる。
「中国や朝鮮半島では、神仏への信仰を排する儒教の倫理道徳を政治や社会の中心部におくようになって、伝統的な神のイメージは文化の周縁部に追いやられ」た。
しかし「日本が不思議なところは」(中略)「逆に文化の中心部にまで入り込んで発展してきた」。
それゆえ「日本人の神の感じ方の特徴は、必ず何らかの現象や物の姿・形を通して神を感じるところにあります。それらの現象や物は、風であることも木々であることも、太陽であるころも月であることも(中略)自然力の根源をなす普遍的な力と考えられた」のである。
以下は各論に当たっていただくとして、評者は、このほかに印象深い記述を「イエズス会」の解釈にみる。
本書で呉教授は「イエズス会」は「戦闘的布教を目的とする『戦闘部隊』という意味でカンパニアと称されました。総会長の上に教皇が絶対の首長となり、会士はその命令に絶対に服従しなければならない」
イエズス会は各地でプロテスタントと対抗したが、スペインがフィリピンまで植民地化した頃、ポルトガルはアジアを次々と抑え、マカオの次ぎに日本を狙っていた。侵略の手先がイエズス会であり、ザビエルにくわえ、中国にはマテオ・リッチが派遣された。
それを見抜いた秀吉は日本侵略への予防先制攻撃を開始し、朝鮮半島へ渡海したのである。むろん、本書は宗教概論であるため、そこまでは書いていないが、
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平成25(2013)年6月28日(金曜日)
通巻第3975号
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中国バブル崩壊、最悪のケースは米国債売却
金利急上昇、世界市場大混乱は必至。日本では中国進出企業の株が暴落
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刻一刻と爆発が迫った。
もはや中国バブル崩壊は不可避的で、残るのは時間の問題である。何時? どの程度の規模でそれが発生し、世界経済に与える悪影響はどれほど深甚か?
社会的にも暴動の激化、騒擾の日常化が考えられる。
すでに英国中央銀行は、「金利の急上昇に備える」かまえをみせている(ウォールストリート・ジャーナル、6月28日)。
米ニューズウィーク誌(日本語版、7月2日号)は全面が中国バブル崩壊シナリオ特集で、とくにシャドー・バンキングと不良債権の危険性を論じ、日本のメディアでも各紙、週刊誌、経済雑誌がおなじ特集をしている。
第一に中国の経済停滞は避けられないだろう。
GDP統計はもともと水増しの面妖データである。不動産投資にGDPの47%が集中しているから、銀行の不良債権はおそらく350兆円を越えている(昨年まで小誌は最悪270兆円と見積もってきたが、これを訂正します)。
ゼネコン、デベロッパー、不動産斡旋、住宅ローン、信託、くわえて建機、健材、インテリア関連から看板塗装にいたるまで、倒産が続出する事になるだろう。
第二に中国の金融システムは、一党独裁の結果、柔軟性が失われているため、暴落はかえって改革の糸口を産むかも知れない。銀行関連のトップに王岐山系列、背後に朱容基の人脈が登場しているのは、一縷の希望を抱かせる。
ともかく四大国有銀行(中国工商銀、建設銀、農業銀、中国銀行)ならびに招商、光大など大手銀行は国家がつぶさない。
すると残る手だては何か?
デノミさえも計算に入れた、通貨供給の増大、人民元を市中にまき散らす手段だろう。
第三に対外的に中国バブル崩壊は世界市場を揺らすことになるが、リーマンショックの場合と異なるのは、銀行が国有であること。潰れる懼れはないうえに中国はCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を販売していない。中国の国債は香港とロンドンで市場があるだけ、購入者は限られており、日本は6800億円だけ保有しているくらい。
▼中国が保有する米国債を売るに走ると世界経済に悪影響がでる
こうみてくると世界市場で激甚な悪影響がでる懸念はひとつだけ。それは手元資金確保のため中国が保有する米国債2兆ドル強を売却することである。
金利が急騰することは避けられず、金利相場は日本にも跳ね返るだろう。
第四にシャドー・バンキングはのっぴきならない窮地に追い込まれ、犠牲の山羊として、見せしめ裁判も行われるだろうが、人民元の暴落があれば輸出競争力の回復が臨まれるので製造業の再活性化という逆のシナリオも描ける。
第五に日本の受ける損害である。
せっかく回復した日本経済にチャイナリスクが加わって、上海株価が下落すると、ダイキン、コマツ、トヨタ、伊藤忠など過度な中国進出をなした日本企業の株価が連動して下落した。
日本政府が保有する人民元建て国債と通貨スワップ、中国株へ投資した個人投資家や中国株を組み入れた投資信託、ならびに香港のレッドチップ保有者は大きな損失を蒙るだろう。
他方、中国国家ファンド(CIC)系が保有する四兆円をこえる日本企業株がおそらく売却されるので、不気味な大株主をかかえるとして注目しされた各企業は株価が一時的下落に見舞われようとも、安心感を得られるメリットがある。
邦銀が貸し込んでいる3兆円強の融資は在中国日本企業であり、問題は少ない。
いずれにせよ、関係者はよくよく中国経済の推移を見守る必要があり、打てる対策は早めにすべて講じておくべきであろう。
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(休刊のお知らせ)小誌は明日6月29日から7月8日まで休刊となります
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◎ BOOKREVIEW ◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ☆
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神道を国際比較すれば不思議なほど自然ととけあう
バラモンからプロテスタントまでを総覧的に比較研究の集大成
♪
呉善花『日本人として学んでおきたい世界の宗教』(PHP研究所)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
呉善花さんの新作のテーマは、意外な分野へ飛んだ。おや、宗教学である。
神道の研究をされていたのは知っていたけど、世界の宗教概論も大学で講義されていたとは知らなかった。
ソ連崩壊直後だったが、アエロフロートでイルクーツクからモスクワ行きに乗り換えたとき、偶然となりに座った若い男は典型のロシア系の風貌、ロシア語の通訳を間に入れてお喋りをしたら、「ところであなたの信仰する宗教は何か」と聞かれたので、日本人は大概が「無神論」に近いと答えた。
すると「神を信じないで、いったいどうゆう人生をおくるのか」と驚いた表情をみせた。ちなみに彼はアルメニア人だった。信仰はアルメニア正教(東方正教会の流れ)。聖都はエレバン。
日本人は正月に神社へお参りに行き、結婚は耶蘇教の教会でおこなうのが流行で、葬式は仏教というパターン。これじゃ外国人からみれば多重人格、いや人格破綻か、発狂したかと誤解されかねないだろう。評者(宮崎)は英語でならなんとか説明できるがロシア語通訳氏、いったいどう訳したのか、その後もアルメニア人の疑い深い風貌は変わらなかった。
さて呉さん、新作では世界四大宗教、キリスト、ユダヤ、イスラム、仏教を総合比較しながら、それぞれの由来と分裂、宗派の差違、教義の差違など簡潔に述べられているが、バラモンからヒンズー、そして仏教への道筋はわかるにしても、中東から中央アジアに発達したゾロアスター教への言及がないのは残念と思った。
ニーチェが注目した「ツアラツゥストラ」はゾロアスターのドイツ発音である。だが、本書は大学の講義録であり、詳細な各論は専門書にあたれば良いことで、学生や若者に知って欲しい宗教のポイントを網羅しつつ、白眉は日本の宗教、とりわけ神道の特質をのべている箇所である。
「神の感じ方」として、こう言われる。
「中国や朝鮮半島では、神仏への信仰を排する儒教の倫理道徳を政治や社会の中心部におくようになって、伝統的な神のイメージは文化の周縁部に追いやられ」た。
しかし「日本が不思議なところは」(中略)「逆に文化の中心部にまで入り込んで発展してきた」。
それゆえ「日本人の神の感じ方の特徴は、必ず何らかの現象や物の姿・形を通して神を感じるところにあります。それらの現象や物は、風であることも木々であることも、太陽であるころも月であることも(中略)自然力の根源をなす普遍的な力と考えられた」のである。
以下は各論に当たっていただくとして、評者は、このほかに印象深い記述を「イエズス会」の解釈にみる。
本書で呉教授は「イエズス会」は「戦闘的布教を目的とする『戦闘部隊』という意味でカンパニアと称されました。総会長の上に教皇が絶対の首長となり、会士はその命令に絶対に服従しなければならない」
イエズス会は各地でプロテスタントと対抗したが、スペインがフィリピンまで植民地化した頃、ポルトガルはアジアを次々と抑え、マカオの次ぎに日本を狙っていた。侵略の手先がイエズス会であり、ザビエルにくわえ、中国にはマテオ・リッチが派遣された。
それを見抜いた秀吉は日本侵略への予防先制攻撃を開始し、朝鮮半島へ渡海したのである。むろん、本書は宗教概論であるため、そこまでは書いていないが、
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