▼量的緩和の問題点・日銀総裁の人事

量的緩和として大量の紙幣を刷るそうつもりだそうですが、これを実行するに当っては、“通貨の番人"たる日銀総裁が、きちっとしたマネタリストの論理を理解した上で行わないと、コントロール不能となってしまいます。ですので、誰か日銀総裁に就任するのか?が、非常に重要な問題となります。


▼量的緩和の問題点・市中におカネが回らない。

実は、既に小泉内閣おいて、「量的緩和」自体は行なっています。しかし、そのやり方に問題があり、例えば、消費者ローンや、商工ローン企業を無闇に潰してしまい、また、銀行の傘下にしてしまうなど、明らかに“銀行びいき"と言える政策を取りました。

消費者金融業者や商工ローン企業をスケープゴートにしてしまったかのようですが、果たして、本当にそれで良かったのでしょうか?

これまでも指摘されていることですが、日本では、資金を調達する際には、邦銀の“担保主義"の貸出手法しかなく、人物本位での貸出はほとんど行われません。不動産などを基礎にした、担保主義のままです。

リーマン・ショックなど世界の金融危機の際に、表面的には、日本の銀行は巻き込まれてなかったように見えますが、実のところは、邦銀は、「新しい金融商品を危険だ」などと見極めた上で手を出さなかった、というわけではなく、日本は金融ガラパゴスであり、それまで勉強している金融マンは邦銀にはいなかった・・・というのが実情だったりするのです。実際に、邦銀から世界に発売する金融商品はありませんし、証券の分野をみても、世界に売れるような投資信託はありません。

銀行が中小企業に貸出を行なって、はじめて市中におカネが回るものなのですが、現状では、邦銀は貸出を行わず、国債を買うだけという運用を続けるでしょう。これでは、継続的な経済発展はちょっと考えられません。いくらお札を刷りまくっても、市中におカネが出回らないのです。

せめて新しい貸出ルールをつくり、貸出ノンバンクを増やすさないと経済成長路線などすぐ壁にぶつかることでしょう。

先日行われた、民法の大幅改正に挑む法制審議会では、中小企業への融資に求められてきた個人保証をなくすという改正案が浮上しています。

これは、企業が借入を行う際に、銀行が社長の個人補償を求めるのは、やめさせるべきではないかという議論です。この点も日本が致命的に遅れている点です。

欧米だけでなく、台湾や韓国ですら、銀行は、融資に際して、社長の個人保証は過度に要求しません。その代わりに、企業のビジネスモデルや市場、社長のビジョンを、銀行の調査/分析、つまり、その“目利き力"で判断して貸出するものです。

▼海外との所得格差はまだ大きい

日本人の所得は下がったとはいえ、国際的にはまだまだ高い水準にあります。企業が拠点を海外に増設、移転する理由は、為替の問題ももちろんですが、低賃金の労働者がいるかどうか?ということが大きなポイントです。

世界には日本の賃金の1/4以下のレベルの国や地域がたくさんあります。もはや、いくら円安になっても、企業がコストの削減を狙って、国際化を進めることは避けられないでしょう。
そして、今後、日本人労働者の賃金が上昇はむずかしいだけではなく、論理的な帰結としては、賃金も「世界水準」に限りなく近づくと思われます。

日本の人口は減少し続けていますが、これは、労働人口の減少ということでもありますし、消費者市場としての魅力も、どんどんと失われています。これでは、日本企業が海外の拠点を増すということは、経済的には合理的で、当然の流れです。

▼エネルギー価格の上昇にみる構造の問題

更に、原発稼働停止の影響で、電気代、燃料費のコストが上昇しているので、海外の工場が日本に戻ってくるということもありません。

家でガスヒーターを使っている人は今年のガス代は高いですよね。LNGの価格は、シェールガス革命で世界的にだいぶ安くなりました。そんな状況にもかかわらず、日本は、米国の7倍もの価格でLNGを買っています。これは、原発稼働停止という日本状況をみて、供給元の国々から“足元を見られている"ということでもあります。


「アベノミクス」による円安状態で、石油価格が上昇した結果、一般の人にとっては、経済効果どころか、単なる燃料費の上昇になってしまっています。

エネルギー流通構造や国際取引そのものを抜本的に見直さないと、、国際価格の変動によるメリットが消費者への還元されないという構造上の問題はいつまでたっても解決されません。

▼「消費税増税」は禁じ手

最後に一点指摘しておきたいのですが、現在のように株価が上昇しているなどの少々の経済数値が上昇すれば、政府は、増税を行うと予想されます。

しかし、消費税の増税は、過去の例からも明らかなように、かなりの確立で不況化に繋がるでしょう。

-:-:-:-:-:-:-:-

読者の皆さんも既にご存知のとおリ、日米首脳会談のために訪米した安倍首相は

「日本が帰ってきた(Japan is back)」

と言いました。

今回の訪米の大きな狙いは、日米の安全保障体制の強化を念頭に置き、その“地ならし"の意味合いとしての「TPP参加表明」でもありました。

いわゆる「アベノミクス」といわれる経済対策で、現在のところ「口先介入だけで円安誘導」となりました。そして、その効果として、国際競争力が回復し、輸出関連株の株価が上昇しました。

麻生太郎財務大臣は、G20の席上で、「アベノミクスは円安誘導策でなく、デフレ脱却である」というメッセージを世界に伝えました。

通貨安戦争を煽ってはいけない、という配慮からですが、「デフレ脱却」策ということで、その矛先を巧みにかわしました。安倍首相も選挙時には、デフレ脱却を連呼していましたから、まずは、いい外交であったと言ってもよいのではないでしょうか。

私自身は、安倍内閣を支持するという立場ですが、「TPP」への参加において、国内問題をどう認識し、アメリカと交渉するのか?という認識が一番の問題である、と考えています。

これまでの日本の政治家には、海外との交渉において、自国に有利になるように交渉を進めることが出来るタフネゴシエーターがいませんでした。

・「安全保障」分野においては中国と北朝鮮からの危機
・「経済」分野においてはTPP交渉

この二つが目下のポイントです。アジアの危険度を考えると先延ばしできないとお考えの人は、現在の政治家に託すしかないのです。
ここに注目して、今後の安倍内閣を見守ってゆきたいと思います。

自分の理想と考える政策がすべて一致する政治家はそうはいません。

創価学会員に対する公明党や、赤旗読者に対する共産党のように、自分の希望とすべて合致する政治家はいないのではないでしょうか?

自由社会である日本において、国民みんなの価値観が違うわけでしょう。では、どこで判断するべきか?

その点は、「戦略の階層」で考えていただきたい。自分の「戦略の階層」と近い「階層」をもつ政治家は誰か?上位概念は合致するか?そしてその政治家の実行力はどうか?その点から考えていただきたい。


(共同管理人 和田 )

□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

あなたには、自分が理想と考える政策がすべて一致するそんな政治家はいるだろうか?

公明党に対する創価学会員や、共産党に対する赤旗読者以外には、正直なところ、なかなかいないというのが実…

[続きはコチラから]
https://mypage.mobile.mag2.com/WebLeading.do?id=7GjdN7eJSUQ&position=4500#position
◎日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信のバックナンバー・配信停止はこちら
⇒ http://bn.mobile.mag2.com/bodyView.do?magId=0000110606