【漁業権交渉を妨害する元凶】馬英九による日台分断外交
時局コメンタリー〈1413号〉 より転載
「台湾の声」編集長 林 建良(りん・けんりょう)
●日本を侮蔑したがる深刻な「反日病」
青年期に形成された人格や好き嫌いはその人の一生を影響し、その人の思想の中核になることが多い。馬英九も例外ではなく、彼の中に深く根付いた反日意識も青年期に固まった好悪の一つであろう。中国人の親を持つ馬英九に台湾人としての意識は皆無だが、中国人意識だけは人一倍強い。彼の日本に向ける目線も中国人そのものである。因みに、彼の父親である馬鶴凌は「抗日青年軍」に参加するほど筋金入りの反日運動家であった。
総統になる前までの馬英九は、自分の反日姿勢を隠すどころか台北市長の在任中にはそれを大いにアピールしていた。台湾は確かに親日国家ではある。だが、馬英九と同じような中国出身者の多い台北市は、「中国城」と言われるほど中国色に深く染まっている都市である。馬英九は自分の反日姿勢を売り物にして台北市長選挙の票集めにしたわけだ。
彼が台北市長の一期目の2002年1月、台北で買春した日本人観光客を逮捕し、パスポートに「淫虫」の判を押してやると脅して物議をかもした。
台湾では政令指定都市の首長は警察の指揮権を持っているが、よほどの事でなければ行使することはまずない。この逮捕が馬英九の指揮の下で事前に計画された狙い撃ちであることを台湾のマスコミが暴露している。買春事件で警察指揮権を使ってまで露骨に日本人を嫌がらせするのは、この反日姿勢が台北市では票につながるからなのだ。
総統就任後の馬英九は自分を「友日派」と主張し始めたのだが、日本を侮蔑したがる「反日病」はまったく治っていない。一つの例は駐日代表の人事である。馬政権の一期目の駐日代表馮寄台氏は小・中学の時に外交官の父親と5年間日本で過ごしたことがあったが、日本関連の仕事経験がなく、人脈もまったくなかった。この人事はあからさまな日本軽視の人事であったが、2011年に発生した東日本大震災の際に台湾人が日本に示した友情でその溝を埋めることができた。
日本を侮蔑して中国の歓心を買おうとする馬英九の企みは見事に打ち破られたが、彼は懲りずに馮代表以上の「日本音痴」を二期目の駐日代表に任命したのである。
●日台漁業権交渉を妨害する元凶
2012年に着任した駐日代表沈斯淳氏は外交官としてのキャリアは長いが、今までに日本との関わりはなく日本語もまったく喋れない。日本に疎い沈氏が当然日本人脈を持つはずもなく、それ以上に彼は一般的な台湾人よりも日本社会に無知だった。2013年1月14日付けの自由時報の記事によると、彼は代表処の幹部たちに向かって「台日関係が良好なのは、200億円(東日本大震災に対する台湾からの義捐金)のお蔭だ」と訓令しているそうだ。一体どのような意図でこの非常識の訓令をしたのであろうか。
外交業務を行わなくていいとでも言いたいのか、この一例から見ても中国人化教育にどっぷり浸かっていた沈氏は、日本に対する目線は馬英九とまったく同じである。
沈氏の外交官らしからぬ行動は「200億円発言」にとどまらない。彼は日本側との会合などにおいて必ず遅刻することも報道されている。実はこれも中国式外交で相手を焦らす常套手段の一つである。自分は上位だと相手を見下ろす場合には中国人はわざと遅刻するのだ。沈代表はこの中国人的思想が馬英九に気に入られて駐日代表に抜擢されたのかもしれない。
沈氏が駐日代表に着任するまで、彼は北米関係の仕事が中心であった。そのせいか、沈氏は政治家たちとの会合でも夫人同伴で出席している。日本語を知らない沈氏に通訳同伴は仕方がないが、夫人同伴とのスタイルは日本の政治家たちに欧米の教養を教えてやろうという意気込みなのだろうか。
このような駐日代表だから当然日台間の懸案も打開できるはずがない。代表処全体も士気が非常に低落しており、外交を行なうのではなく台湾からの高官の送迎や買い物のお供だけが業務になり、旅行社と成り下がっている。この有様は日本を侮蔑しようという馬英九の反日心理から出た結果ではなかろうか。
馬英九によって日台両国の国民が翻弄されている最たる例は、尖閣海域の漁業権交渉問題であろう。2012年春以来の尖閣騒動の尖兵は馬英九だと言っても良い。まず2012年8月15日の香港人運動家の尖閣上陸騒ぎを始め、2012年9月25日の台湾漁船大群の領海侵犯、漁業交渉をしている最中の2013年1月24日の中華保釣協会メンバーの領海侵犯など事件の後ろにいるのは常に馬英九であった。
懸案になっていた日台間漁業権交渉は尖閣諸島に巡る情勢の変化によってようやく双方に歩み寄りの姿勢を見せたが、馬英九は尖閣諸島を中華民国の主権である前提で交渉しろと外交官に指示している。内部情報によると馬英九は、尖閣諸島は係争地である一文を入れるようにと日本側に難題を突き付けている。これでは漁業権の交渉など到底できるはずがない。ここでも分るように、馬英九は最初から台湾国民の利益など考えてはいないのだ。中国一辺倒の馬英九こそが日台間の最大の障害物である。
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【2月27日・林建良講演会】「相手は中国、攻めの戦略も立てよ」
(転載歓迎)
要申し込み
講師/林 建良 「台湾の声」編集長
中国は、チャンスの国なのか、リスクの国なのか、この議論はいまだに続いている。中国を世界経済の救世主だと主張する政治家や研究家たちは今も大勢いる。彼らは短期的な利益に目を奪われて、中国の本質が見えなくなっているからだ。そんな中国の本質とは、自然を破壊し、少数民族を弾圧し、国境を接する国とはトラブルばかり。政府高官は不正蓄財に励み、競って海外へ逃げ出そうとしているのだ。
こういった中国と互恵関係になれるかと言えば、答えはノーだと林氏は言う。氏は、片田舎の医師でありながら、李登輝氏の知恵袋として活躍している。中国の本質を最もよく知る人物である。台湾は日本にとって重要なパートナーだ。台湾の戦略は日本の戦略でもあると語る林氏。ご期待下さい。
〔略歴〕(りん・けんりょう)1958年9月7日、台湾台中市生まれ。1987年、日本交流協会奨学生として来日。東京大学医学部博士課程修了。医学博士。
台湾団結聯盟日本代表、メールマガジン「台湾の声」編集長、台湾独立建国聯盟日本本部中央委員兼広報部長、日本李登輝友の会常務理事、在日台湾同郷会顧問。「正名運動」の名付け親。
著書 『中国ガン 台湾人医師の処方箋』(2012年、並木書房)、『日本よ、こんな中国とつきあえるか? 台湾人医師の直言』(2006年、並木書房)、『中国の狙いは民族絶滅チベット・ウイグル・モンゴル・台湾、自由への戦い』(2009年、まどか出版)等。
テーマ:相手は中国、攻めの戦略も立てよ
【日 時】 平成25年2月27日(水)PM4:00~5:30
【会 場】 衆議院第1議員会館 B1「第2会議室」
【住 所】 東京都千代田永田町2-1-2
【参加費】 4,000円
アジア会議へのお申込は、メール shinwakai@shirt.ocn.ne.jp または、時局心話會(03-5832-7231)渡邊里奈までご連絡ください。
【参考】「中国ガン・台湾人医師の処方箋」
『台湾の声』 http://www.emaga.com/info/3407.html


