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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成25(2013)年2月19日(火曜日)
通巻第3881号 <前日発行>
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中国遼寧省、瀋陽の北朝鮮領事館前で核実験に抗議
珍しや、「友好国」の武装に中国人ネット市民が自然発生的に
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2月16日午後、ネットで呼びかけられて北朝鮮の核実験に抗議する中国のネチズンらが集まった。瀋陽市和平区南四経街109番地の北朝鮮領事館前。「核実験に抗議し、国連は経済制裁のみならず軍事制裁も加えろ」と叫んだ。
「中国政府は一切の援助も止めろ」と主張したが、おりから旧正月で人通りは少なく、政治的効果は疑問である。だが、公安当局は、よくこの抗議活動を黙認したと、そのことのほうに寧ろ関心が集まった。
写真は下記サイト
http://www.peacehall.com/news/gb/china/2013/02/201302170008.shtml
抗議活動に加わったのは僅か七名。「爆核議抗」「裁制干呼」(干に口偏)などと手製のプラカードを掲げた彼らは誰に言われたわけじゃない「素人」。ネットの呼びかけで丹東、撫順などから集まったという。
抗議活動は十分間だけ認められ、以後は警備当局から阻止されたものの、「核実験で汚染された物質が飛んでくるのは遼寧省である。中国国民なら、だれもが北朝鮮の核実験に反対するべきであり、毛沢東の朝鮮戦争支援以後、どれほどの援助をなしてきたか。その恩を忘れた北朝鮮の行動は許せない」と叫んだ。
「抗議活動はこれからも行なう」として活動家ネチズンは意気揚々と引き上げた由。
先号でも紹介したように中国人一般の実直な反応は「若いくせに驚くほど傲慢な金正恩は中国の忍耐の限界に挑戦した」(華風新聞、2月15日号の見出し)というとらえ方をしている。
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樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 863回】
―――「神々は滅ぼそうとするものを先ず狂わせる」
『朝鮮戦争(上下)』(D・ハルバースタム 文春文庫 2012年)
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「けちな軍功歴しかないこの自信過剰の若造」と毛沢東が評したとされる金日成に率いられた「北朝鮮の大軍が三十八度線を突破した時期、マッカーサー将軍の関心はひたすら日本の政治的発展に注がれ」、「日本の変革と、きたるべき対日平和条約はマッカーサーの勤務日のほとんどすべてを吸い取っていた。かれは麾下のアメリカ軍――占領軍――に関心らしい関心を払っていなかった」。
その結果、「占領軍はそのころには太平洋で日本軍を打ち負かした強大な軍とは似て非なる存在になりさがっていた。定員割れし、装備は貧弱、訓練は不足するいっぽうの状態だったが、それでもマッカーサーの心配の種にはならない様子だった」。であればこそ、「韓国への関心はそれよりもさらに薄かった」ことも当然だろう。ならば朝鮮戦争の緒戦にみられた北朝鮮軍の快進撃も、予め予想されていたともいえるのではなかろうか。
著者は、中国大陸における毛沢東の勝利と?介石の敗北が朝鮮戦争の原因の1つだったと説く。それは、とりもなおさずアメリカが進めた積年の中国政策の失敗を意味しよう。
中国大陸における19世紀半ば以降のアメリカ人、ことに宣教師の活動を振り返りながら、著者は「多くのアメリカ人の心のなかに存在した中国は、アメリカとアメリカ人を愛し、何よりもアメリカ人のようでありたいと願う礼儀正しい従順な農民たちが満ちあふれる、幻想のなかの国だった。
・・・多くのアメリカ人は中国と中国人を愛し(理解し)ているだけでなく、中国人をアメリカ化するのが義務だと信じていた」。だが、「かわいい中国。勤勉で従順で信頼できるよきアジアの民が住む国。第二次大戦中、そう教えられた国(日本の場合はごく最近まで、ずるくて卑劣、信用ならない悪いアジア人が住んでいる国と考えられていた)が突然、共産主義者になったのだ」。
元来は「中国はアメリカのものであり」ながら、第二次大戦は共産党政権を誕生させてしまい、結果として、中国を「アメリカは失ったのである」。じつは「アメリカの失敗はアメリカのイメージのなかの中国、実現不可能な中国を創ろうとしたためだった」。その原因は、アメリカ流の大胆な指導力を求めた?介石が「アメリカの政策遂行の道具としてはほとんど使い物にならな」かったからであり、だから「わが国(アメリカ)の政策は詰まるところ、すでに死んだしまった政府への支援の継続であった」ことになる。ヤレヤレ。
かくして毛沢東は中国を手中に納めたわけだが、彼は金日成のみならずスターリンにも強い不信感を抱く一方で、「財政的にも、人的資源の面でも、厖大な犠牲を伴ったにもかかわらず」、敢えて朝鮮戦争への介入を決定した。それというのも、じつは「(朝鮮)戦争は中国人民をかれに結びつける手段だった」からだ。朝鮮戦争は、「自分は至高の洞察力を備えた偉大な指導者だと勝手に思い込んでいた毛沢東を、まさにそのようなものに祭り上げる結果になった」。
まさにアメリカの対中政策の失敗が毛沢東を生んでしまい、朝鮮戦争を誘発しただけでなく、朝鮮半島での死戦が毛沢東を「偉大な指導者」に「祭り上げ」、中国をして大躍進という「たぶん狂気に向かう最初の曲がり角」を曲がらせてしまったというのだ。
身勝手な幻想、正義の押売り、自己陶酔、盲目的使命感、ゴ都合主義――アメリカの対中政策が内包する病理こそが、朝鮮戦争を招き寄せてしまった。ならばアメリカ外交の病理が治癒されないかぎり、これからも東アジアの混乱が続くことを覚悟すべきだ。
《QED》
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS
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(読者の声1)前号の藤井さんの論文のなか、モンゴルと十字軍を同時代とされているので、一言もうしあげます。モンゴルと十字軍は同時代ではありません。つまり十字軍がパレスチナなど中東を疲弊させ広範囲にわたり人口を減少させてしまったのです。その人口減少、人口希薄地帯の存在がモンゴルの西進を呼んだ、または簡単にした理由の一つです。つまり十字軍がモンゴルの西域拡大を呼んだ理由の一つです。十字軍が中央アジアに人口希薄地帯を作りました。中央アジアのpower of balanceが崩れたことがモンゴル拡大の一要素と考えます。また人口がらみですが、ベトナムでは女児100人に対して男児111.9人と、新生児の男女比は男児が多く、男女比の開きは拡大しています。シナも同じで儒教の影響でしょう。将来、シベリア開発の労働力にでもなれば良いですが、軍人になって侵略をされては困ります。デモグラフィ(人口動態)は意外に重要と思っています。ところでテト(ベトナムの旧正月)になり、日本人の友人に宮崎先生の著書をすこし持ってきてもらいました。読むのが楽しみです。
(リーバー、在ハノイ)
(宮崎正弘のコメント)リーバーさんはハノイ在住の方ですか。四月下旬に高山正之、石平氏ら十数名で団体を組んでハノイからカンボジアへ行く予定です。
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(読者の声2)三島由紀夫研究会、次回「公開講座」は来月の3月23日(土曜日)です。講師に三浦小太郎氏(評論家)をお迎えします。氏に関しては、
http://www.youtube.com/watch?v=xVR7XCW1mG8
演題は「三島と吉本隆明、大江健三郎、そして神風連」です。
記
とき 3月23日 午後二時半(二時開場)


