【書評】世界の人々は中国に巣くう癌と如何に闘うべきか?-林建良著『中国ガン』
作者: 多田 恵(大学講師)
かつてガンの宣告は死を意味した。この書名は、中国、もしくは中国人には救いがないと、死を宣告するものであろうか?
実際に同書を紐解いて感じるのは、著者のクリスチャン医師としての慈愛であり、わずかな希望に賭ける信仰である。医師であるからこそ、キリストに習うものであるからこそ、癌に立ち向かおうとし、その病についての啓蒙を行っているのである。
地球という生命のシステムにおいて、中国という部位に癌が生じた。まず筆者は、生命システムに危害を与える癌細胞であることを論証する。そして、それをどのように克服し、治癒させることが出来るかという対策を提案している。
第一章では、中国が起こしている問題が、癌と同様の性質を持っていることを、大気汚染、放射能問題、河川への汚染、土壌汚染、土地の強制収用問題、手抜き工事問題、人権を踏みにじる地獄絵図、政府の対応、その思想的背景などから立証。
第二章では、この癌が世界中に転移する性質を持っていること。
第三章では、この癌の克服することが中国人のためにもよいことであること。
第四章では、この癌への対処法。「医者」による誤った診断・対処法に警鐘を鳴らし、中国内外に存在する「免疫細胞」、すなわち、法輪功・天安門事件被害者家族・地下教会・政府に批判的な知識層・民主運動家・香港市民・抑圧された諸民族(ウイグル・モンゴル・チベット人)が救いであるという指摘。
第五章では、その癌の転移を防ぎ、押さえ込むために日本が果たせる役割について述べている。
つまり、環境・原発問題、人権・言論の自由・民族問題、中国文化論、資源買占め問題、領土問題、対外思想工作などさまざまな観点から中国の真の姿に迫り、エチゼンクラゲや黄砂、中国の領土拡張主義の影響を直接に受ける日本へ、対処法の提案を行っている。
若い台湾人読者にとっては、中国国民党が持つ問題点がこの「中国ガン」そのものであることが印象深いであろう。また、その免疫細胞の最大のひとつである法輪功の組織についての筆者の観察は、台湾独立運動に資する見解も含まれているように思う。
中国に対して、不気味さを感じている人々、中国との狭間で答えを見出せずにいる人々、中国の問題への対処法について確信を持てないでいる人々、そして、中国を光の方向へ導こうとする人々にお薦めする、現代中国論の名作である。
書誌情報:
中国ガン - 台湾人医師の処方箋
著者:林 建良(りん・けんりょう)
発行:並木書房 2012年12月25日発行
ISBN: 978-4-89063-300-5
定価:1500円+税
並木書房
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