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『三橋貴明の「新」日本経済新聞』
2012/11/30
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From 施 光恒@九州大学
こんにちは。施 光恒(せ・てるひさ)です。九大で、政治学を担当してます。
変わった姓ですが、祖父が台湾出身でしたので、そっち系の苗字です。
このメルマガ読者諸氏になじみ深いナカ…、いえ東田氏は、よく私が自己紹介すると「右のカン・サンジュンを目指しているセさんです~」と茶々を入れてくれるんですが、そんなものは目標としておりませんので、ご安心のほどを。
わたしの場合、経済は専門ではないので、「新・経済新聞」に書かせてもらってもいいのかな(-_-;)、と思ったのですが、経済新聞にも政治面や文化面もあるからまっいいかと考えさせていただくことにしました。
今週から、隔週の金曜日に当メルマガにお邪魔いたします。
政治ネタ、文化ネタ、暇ネタが多くなるかと思いますが、どうぞよろしくお付き合いくださいませ。<(_ _)>
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では本題に。
少し前になりますが、こんな記事がありました。
「就職有利・不安…ほぼ全講義を英語化する国立大」
(『ヨミウリ・オンライン』2012年11月14日付)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121113-OYT1T00678.htm?from=popin
山梨大が、2016年度をメドに、すべての講義のテキストを英語にし、講義自体も英語でするぞ!と、学長や理事、各学部長などで構成する「グローバル化推進会議」で決めた、というニュースです。
楽天やユニクロの社内英語公用語化論の大学版みたいなものです。
こういうの、山梨大だけではないんですよね。
京大や九大なども、数年後に、日本人の新入生の3分の1から4分の1ぐらいを、英語だけで授業を受けて卒業するコースに入れるようにするという計画を(まだ議論の段階のようですが)進めています。
ホント、いまの大学の幹部世代(だいたい団塊世代ぐらい)って、こういう「グローバル化」推進路線、大好きですよね。
経済でもそうですが、こういう他の領域でも同じみたいです。
でも、こうした動きが進むと、日本の国力、めちゃくちゃ落ちちゃうんじゃないかと思います。そこも、経済と同じことがいえるようです。
いくつも理由は指摘できますが、一点だけ。
たとえば、講義や講義テキストの英語化を進めてしまうと、日本語の専門書が書かれなくなってしまう恐れがあります。
外国の専門書の邦訳も出版されにくくなるでしょう。
いま、ただでさえ出版不況で、自分で書くものにしろ、翻訳にしろ、専門書を出版してもらうのって大変です。
出版社に専門書の出版をお願いするとき、私は、たとえば、だいたいこんな感じで泣きつきます。
「来年、大教室の授業、三つ持ってます。全部の授業でテキストにします、ハイ。必ず受講者に買ってもらうようにしますおー。
ワタシの分野、もう大人気! 他の大学でも多くの先生がたが、たくさんテキストや参考書として採用してくれるはずデース。学生に薦めてくれマース。
絶対、学生マスト・バイ! だからお願い。出版シテクダサイ。コノトオリデス。ゴショー
それでやっと専門書や、英語の専門書の翻訳をホソボソと出版してもらっています(もちろん、著者にはほとんど儲けなどありません。
むしろ各方面への献本で赤字です)。
大学の授業テキストの英語化とか、講義自体の英語化がすすむと、この種のセールス・トークも使えなくなります。
つまり、大学の授業という専門書の唯一といってもいい大口の需要先がなくなってしまうわけです。
出版社も商売ですので、合理的に判断します。日本語の専門書(原著も、邦訳も)の出版を徐々に控えるようになるでしょう。
こうなると、大学の教員も、出版してもらいにくいし、授業で使うこともできないので、日本語で専門的な本や論文を書くことをやめてしまうはずです。
その結果として、ごく近い将来、日本語は、高度な学問の言葉ではなくなってしまうでしょう。
そして日本語は、各分野の専門的な語彙を失うこととなってしまいます。知的な思考や議論が、日本語で行えなくなってしまうわけです。
で、結局、少し前に、小説家の水村美苗さんが『日本語が亡びるとき』(筑摩書房)で、指摘した事態に陥ります。
つまり、日本語が、さまざまな専門的で知的な事柄を論じられる「国語」ではなくなり、旧植民地諸国の未発達の生活の言葉にすぎない「現地語」にまで堕落してしまうという事態です。
藤井さん、中野さんは、『日本破滅論』(文春新書)で、
「結局、いわゆる現在のグローバル化とは、アメリカ化を目指して、その実、フィリピン化してしまうことだ」と書いています。
まさに慧眼。
そのとおりの事態が、大学の「グローバル化」の先にもありそうですorz….。
いったい何で好き好んで、日本のような先進国が、国力の源泉である「国語」を捨てて、わざわざ自ら「フィリピン化」する必要があるんでしょうかね。
┐(-。ー;)┌ヤレヤレ
戦争に負けた卑屈さからくるんですかね。
やっぱり先の大戦は勝っておくべきでした。
戦争に勝って、日本が戦後世界の大覇権国になっていれば、アメリカの大学も、おバカなインテリが主導して、自発的に日本語を「グローバル・スタンダード」な普遍語として取り入れようとしてくれたんでしょう。
アメリカの大学で、アメリカ人同士が、日本語で授業をしたり、研究活動をしたりしてくれれば、ますます日本の覇権は確立し、ゆるぎないものになります。
日本語ですべての高等教育を受けたようなアメリカ人には、日本人は、創造性という点でも、議論の場でも、よほどのことがない限り負けませんもんね。
かつて手ごわかったアメリカの牙を抜くことができ、覇権国・日本にとってはシメシメというわけです。
Ψ( `▽´ )Ψケケケケ♪
あーあ、やっぱ、勝負事は勝っておくべきでした…。
PS
このメルマガでもお馴染みの東田氏とは無関係ですが、中野剛氏と一緒に、こんな本を書いています。
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