「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年11月13日(火曜日)
通巻第3811号
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だから「一寸先は闇」だ。明日閉幕の党大会土壇場
胡錦涛の完全引退説が急浮上した理由は太子党との人事取引?
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12日から北京を駆けめぐった胡錦涛の軍事委員会主任からも引退説。
情報源は共産党高官で、香港メディアが第一報を流した。ニューヨークタイムズが追跡記事(電子版12日付け)を掲げて曰く。「もし引退となれば、政治常務委員会は7名のうち、5名が太子党(上海派と重複多数)となり、バランスが取れず、李克強が軍事委員会副主任入りする可能性が残る」などと伝えた。
胡錦涛はもとより政治的野心が淡泊であり、夫人が強く完全引退を望んでいた。しかし、団派の領袖でもある胡錦涛が、太子党と人事取引をしないで引退する筈はなく、多数のメディア取材に応じる高官の何人かは「胡錦涛はしばし軍事委に残る」と予測するようだ。
「或いは胡錦涛が軍事委主任も引退する取引として、政治局常務委員会に「はずれ」そうな李源潮、王洋、劉延東のうちの二人を入れて、上海派とされる劉雲山、張高麗、愈正声のうちから二人を出す、というバーター説まで、まことしやかに囁かれているという。
そうすれば団派4 vs 太子党 3となり、軍事委員会主任を習近平に譲ってもバランスがほどよい、となるが、この説は均衡にこだわるだけの理論で、政局というのは最後は勢いであり、一寸先の闇を見通すことはできないだろう。
軍事委員会の新メンバーはすでに小誌でも既報のようにあらかたが確定し、国防相に常万全が就任し、海軍司令員は呉勝利が留任の模様である。四大総部は決定、第二砲兵は異例の魏風和中将の昇格が決定的の情勢である。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)「石原新党参入と次期衆院総選挙の争点-消費税増税、原発政策、TPP参加」
石原慎太郎氏が、10月下旬に東京都知事を辞職し新党を結成する事を表明した。来るべき次期総選挙では、自民党が比較第一党となり民主党が大敗するだろう事はほぼ既定路線だが、石原新党の参入により、乱立する小党間でどう第3極が形成され、どんな枠組みの連立政権(自民党大勝が無い限り)が出来上がるか一層混沌の度合いを増してきた。
内政、外交で重要課題は山積しているが、来るべき総選挙で争点となるのは、差別化の容易さ等の点で、消費税増税、原発政策、TPP参加問題の3点となり、これらを巡って総選挙前、総選挙後の合従連衡が行われると思われる。
このため、国民監視の下、これらについて政党間でより明確で深い議論が激しく行われる必要がある。
自身の頭の整理も兼ね、以下に筆者の考えを記す。
◆消費税増税◆
消費税増税は、デフレ脱却と無駄削減を果たすまでは行うべきではない。GDP名目4%、実質2%成長を最低2年以上連続達成し、成長構造を造り日本経済を軌道に乗せると共に、行政改革により冗費を削り、それでも足りない分の増税について、国民に信を問うべきである。会社経営に例えれば、赤字続きの時に経営者が先ず行うべきは、営業努力と新規製品開発等で付加価値を高め売上数量増を図ると共に、役員・社員の給与カットを含め冗費を削る事である。この事無しに値上げを行えば、客離れによって売上高は更に落ち込むし、もし営業努力や新規製品開発と並行して行ったとしても、安易な値上げは企業内の努力を妨げ目標の未達に終わるだろう。
これを国家経営に当て嵌めれば、経済政策によって経済成長を果たすと共に、冗費を削り、それでもし足りない分が有れば、初めて増税を国民に問うべきである。よく、国家経営と会社経営は違うと言われるが、GDP(国内総生産)は民間会社の利益や個人の収入、その他を集計したものなのだから、基本は同じである。経団連会長である住友化学の米倉会長はじめ海外展開する大企業経営者は消費税増税に賛成だが、これは輸出戻し税によって消費税が実質免除となっているため、法人税増税の回避とバーターでそうしているし、マスコミが賛成するのは、記者クラブ制度と放送電波割り当て等で官僚と一蓮托生の既得権側だからである。
政府・日銀が行うべき事は、特別会計見直し等の行政改革により冗費を削ると共に、国民と国際社会に向かってデフレ脱却の説得力ある具体的なシナリオを示し実行する事である。国民に嘘をついてマニフェストに無い消費増税法案を通した民主党は論外として、自民党も、増税論者の石破茂氏を破った安倍晋三氏が総裁選で「デフレ脱却しない限り消費増税はしない」と明言した事自体は一応天晴れだが、一方でデフレ脱却を増税の必要条件としない消費増税法案には賛成しているのだから、その担保と覚悟は薄弱と言わざるを得ない。
また、日本維新の会の橋下徹代表は、消費税を地方税化した上での11%への増税という曲球を打ち出したが、政府民主党の打ち出した消費増税に賛成する石原慎太郎氏との連携を考えたものであり、消費増税分に見合う法人税・所得税の減税を謳っていない事から見ても、基本的にトータルな増税論者であり実質的に地方税化する前の増税にも妥協して容認すると見てよいだろう。
社会保障目的という建前はともかく、お金に色は着いていないのだから、全体の奉仕者たる国地方の公務員の給与を民間レベルに合わせる事も無く、官僚組織の餌と天下りの原資に回る安易な消費増税に結果的に賛成するのなら、既に彼らは官僚組織の掌の上にあり、幾ら勇ましく「官僚支配からの脱却」を謳っても、単なるお題目に帰さざるを得まい。
◆原発政策◆
信無くば立たず、原発政策もまた然り。少なくとも即時原発全廃が現実的でない以上、先ず福島第一原発事故の徹底した反省に基づき具体的な安全運営体制を確立する事が不可欠である。また、今回の事故で明らかになったように電力会社は過酷事故時の当事者能力と賠償能力が無いのだから、原発は全て国営化すべきだろう。
