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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成24(2012)年10月16日(火曜日)
   通巻第3790号  
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 CSISのアジアの軍拡報告書は中国の脅威に晒されて
  日本、インド、韓国、台湾が防衛予算を二倍にしたとレポート
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 2012年10月15日にCSIS(国際安全保障研究センター、本部ワシントン)が発表した報告書は「中国の軍拡に対応するためアジア諸国は防衛予算を拡充し、過去数年間に二倍になっている」とした(ワシントンタイムズ、10月15日付け)。

 ちなみに米国の2011年度の国防費は6700億ドル。オバマ政権は、アフガニスタンからの撤退が完了すれば、この予算は劇的に削減されるとしている。

対して中国は899億ドル、日本は582億ドル、インドが370億ドル。合計して(中国を含む)、アジア諸国の国防予算は2240億ドルに達した、とした。

 CSISは米国の超党派のシンクタンクで著名な学者が揃う。政権への提言、発言力には定評があり、日本人スタッフもいる。
本部がワシントンKストリートにあるところから「ウォールストリート」vs「Kストリート」と比喩されるシンクタンク群のなかでもトップクラス。

 しかしCSISの中国国防費はあまりにも過小評価で、実際の中国のそれは2000億ドル以上、宇宙開発やミサイルのR&Dが他の予算に転化されて国防部の予算に参入されていないからである。

 もっとも中国では国防費より国家安全部、公安部系列の治安対策費用のほうが多い。対外防備より国内の反乱に備える費用が多いことに留意しておく必要があるだろう。
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 樋泉克夫のコラム  樋泉克夫のコラム  樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 816回】         
 ――もう“寝言”は聞き飽きた


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10月13日の「産経新聞」一面左上に置かれた大阪大学の坂元一哉教授の「中国を『好ましい方向』に」(「世界のかたち、日本のかたち」)には苦笑を禁じえなかった。この“提言”によって高圧的な態度をエスカレートさせる一方の「中国を『好ましい方向』に」転換させることが出来たら、誰も苦労はしないだろう。

先ず坂元は昭和26(1951年)年の朝日新聞記者の「中共(中国共産党政府)の問題をどうごらんになりますか」という質問に対し、吉田茂が「中国国民全体の生活を経済的によくすることによって、また中国における民主主義、自由主義の復興が計られることになって、この国全体が国民の気持ちを通じてわれわれの好ましい方向に傾いて来るようなことを考えている」と応えたことを掲げ、「これからの日本の中国政策は、引用した吉田の発言のなかにもある、自由主義や民主主義といった普遍的価値の大切さを、あらゆる機会を通して中国国民に訴える。そういうものであるべきだと思う。とくに日中両国民が『自由』という価値観を共有することは、長い目で見て、経済発展がもたらす日中の摩擦を緩和し、『国民の気持ちを通じて』、中国を日本に『好ましい方向』に変えるための必要不可欠な条件になるだろう」とする。 

さらに「中国にもっと言論や報道の自由があれば」、日本批判は「かえって増すかもしれない」が、「中国国民が政府とは異なる見解に自由に接し、事実関係を知ることができれば、中国政府もいまのような品位を欠く、危険な言動には、さすがにブレーキをかけざるをえなくなるのではなかろうか」と結んでいる。

坂元は自らの主張の論拠に「吉田は戦前、外交官として長く中国に勤務した。その経験から」としているが、吉田の見解は明らかに間違いだ。「中国における民主主義、自由主義の復興が計られることになって」というが、歴史的・客観的に見て中国に「復興」といえるほどの「民主主義、自由主義」が、かつて存在しただろうか。因みに『岩波 国語辞典』は「復興」を「一度衰えた(こわれた)ものが、再び盛んに、また整った状態になることをいう。またそうすること」としている。もっとも台湾に逃れた後の蒋介石政権は「自由中国」を標榜していたが、その「自由中国」には自由も民主主義も皆無だったはずだ。

やはり現時点で考えるべきは、吉田の発言云々ではなく、なにが北京をして「いまのような品位を欠く、危険な言動」を繰り返させるのか、であろう。その根本を不問にしたままで、「自由主義や民主主義といった普遍的価値の大切さを、あらゆる機会を通して中国国民に」対して百万回訴えようと、糠に釘、のれんに腕押しでしかない。

大統領当時のカーターだったように思うが、かつて「普遍的な価値」として人権を訴えた時、当時の最高実力者の?小平が「中国の人権は人民にメシをたらふく食べさせることだ」と傲然と言い放ったことを思い出すがいいだろう。「普遍的価値」は中国人を従わせるための錦の御旗でもなんでもないということを、深刻に知るべきだ。

彼らはアヘン戦争惨敗以来の屈辱を晴らし、その時から希求し続けてきた“富強の中国”を手にしたとの自信を持った。日本が単独で「中国を『好ましい方向』に」導こうとする力は、残念ながら現時点では持っていない。もしあるとするなら、経済関係を根本的に見直すことだろう。対中大戦略と臥薪嘗胆という覚悟が、いまこそ求められている。
《QED》
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 読者の声  READER‘S OPINIONS  読者之声
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(読者の声1)ソフトバンクがスプリントの発行株式の7割を約201億ドル(約1兆5700億円)で購入することを発表したことはご存じと思います。非常に危険な投資でありますが、ビジネスには危険がつきものであり第三者の私がとやかく言うべきものでもありません。私が気にしているのは以下の二点です。
1.三菱地所がロックフェラーセンターを買収したときの妬みを含んだ反応ではなく、なぜこんなバカなことをするのかというのが、米国マスメディアの反応です。ABCラジオを聞いていたら、孫正義氏をギャンブラーと呼び、この買収でスプリントが必要としていた金が入ったため株価が上がり、ソフトバンクの株価は下がったと、言っていました。これが、大方の見方でしょう。
 大損であった三菱地所のロックフェラーセンター買収をねたんだ米国マスコミが逆に小ばかにしているのが好対照です。だからこそこれは成功するという気はありませんが。
2.三菱東京UFJ銀行をはじめ日本の大手金融機関がソフトバンクに買収資金を提供していること。大方の予想とは逆に大成功する可能性もありますが、提供できるまともな抵当があるとも思えないソフトバンクに、本来ギャンブラーである投資家や証券会社ではなく、預金者保護という観点からこのような貸付には慎重であるべき普通銀行がこのような多額の金を貸し付けるのは狂気の沙汰です。
全額パーになっても三菱東京UFJ銀行が倒産するとは思いませんが、ずいぶん値の張る学習塾です。
 奇蹟が起きて大成功してNTTが泡沫会社に成り下がっても、ソフトバンクがその創業者とともにビジネス界から消え去るにしても、日本の実業界の大きな終わりの始まりの端緒となるような気がします。
   (ST生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)ソニーとパナソニックがハリウッド映画を買収したとき、三菱がロックフェラーセンターをかったときに見せた反応とは異なって、カンカンに怒り出しました。