コラム:IMF総会で千載一遇のチャンス逸したホスト国日本 2012年 10月
11日 18:48 JST
http://jp.reuters.com/article/jp_IMF/idJPTYE89A05P20121011
[東京 11日 ロイター] 48年ぶりに東京で開催されている国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会は、ホスト国・日本の存在感が薄いという印象を払しょくできない。
20年間も低迷してきた日本経済の経験をもとに、世界経済危機の回避に向けた「日本からのメッセージ」がないからではないか。“場所貸し"に甘んじ、日本独自の主張を展開する機会をみすみす逸しようとしているのは残念だ。
もし、時計の針を年次総会開催前に戻せるなら、政策手段が残り少なくなってきたマクロ経済政策に依存せず、「民間のイノベーション」を起点に成長性を高めていく政策手法の可能性について、広く議論を展開していくという提案ができたはずだ、と考える。
<指摘された米欧経済の問題点>
今回の年次総会では、関連した複数のセミナーにラガルドIMF専務理事やイエレン米連邦準備理事会(FRB)副議長らが出席し、欧州や米国はじめ世界経済が直面している問題点について、率直な意見が交換された。世界が直面している欧州債務危機や「財政の崖」が迫る米国経済の動向など、世界経済が直面している問題点が整理され、危機が深刻化しないための政策手段や選択すべき政策の方向性について、多様な見解が表明された。
しかし、10日のコラム「世界経済危機に処方せんなし、IMFセミナーで判明した米欧のブリッジ政策」[ID:nTK0526373]でも指摘したように、今の危機から脱出するための「明快な答え」は提示されていない。欧州中銀(ECB)の債券買い入れプログラム(OMT)やFRBの量的緩和第3弾(QE3)は称賛されたが、それで直ちに危機の出口に導かれることはない、ということもはっきりした。
イタリア中銀のビスコ総裁は、ユーロ圏各国やECBの対応はブリッジ政策に過ぎないと述べたが、私の目からは、欧州だけでなくQE3を含めた米国の対応も、ブリッジ政策の色彩が濃いと映る。
<財政再建の源泉、民間のイノベーション>
http://jp.reuters.com/article/jp_IMF/idJPTYE89A05P20121011?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0
すでに20年の長期経済低迷から抜け出せない日本は、“先行"して経験している様々な現象について体系的に説明し、米欧が遅れて実行しようとしている非伝統的な金融政策の効果が、なかなか出てきていない点について、大胆な「日本の仮説」を展開し、米欧はじめ世界の関係者に、その当否を問うことで活発な議論を誘導すべきだったと考える。
私は、1000兆円を超える公的債務を抱えた日本の現状は、スペインやイタリアだけでなく、欧州全体の財政の未来を考える上で、貴重な材料になると指摘したい。積み上がった債務を返済するには、原資が必要だ。それには新たな富の蓄積が不可欠であり、その源泉は民間におけるイノベーションではないか。この大元のパワーが枯渇したままでは、増税や歳出削減を継続しても、財政再建は達成が困難になるばかりだろう。
イノベーションを民間に起こすには、政府の大胆な規制緩和が不可欠の政策手段と言える。効果的な規制緩和手段は、どういう内容になるのかという「テーマ」を日本の主導で設定し、成長力を高める具体的なアプローチを検討する支えにすれば、もっと実りのある年次総会になったのではないか。
<聞きたかった「イノベーションとマクロ政策の複合」の議論>
実際、米国ではシェールガスやシェールオイルの掘削が本格的に開始され、将来は中東に依存せずに安価なエネルギー源を確保できる道が見えてきている。米国での「エネルギー革命」の展開は、米国内の成長力を高め、債務返済の能力を大幅に高めていくに違いない。
こうした民間のイノベーションの議論と、世界の中銀に先駆けて導入した日銀の非伝統的な金融政策の手段に関する考察、繰り返し実施された財政出動の効果の低さなどの経験に裏打ちされた見解がかみ合い、「イノベーションとマクロ政策の複合」のような議論が実際に展開されれば、かなり興味深いイベントになったと予想する。
<千載一遇のチャンスを逸した日本>
http://jp.reuters.com/article/jp_IMF/idJPTYE89A05P20121011?pageNumber=3&virtualBrandChannel=0
また、世界の先頭を切って直面している高齢化に対するため、社会保障制度を中心にした社会システムをどのように改革していくか、ということもアジェンダとして設定すれば、日本の貢献は相当に大きくなり、国際的な存在感を十二分に発揮できたと指摘したい。
だが、現実に戻ると、11日に行われた日米欧財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、いつにもなく会議の時間が短縮され、世界経済の今後の方向性について、市場に強いメッセージを示すことはできなかった。
ホスト国の財務相は、直前に実施された野田佳彦首相の決断による内閣改造で交代し、各国の財務相とは初対面の挨拶から始まるということになった。エジプトから日本に変更されたホスト国の座を利用し、日本の主導権で世界経済の将来に一石を投じることが可能であったこうした情勢の下で、千載一遇のチャンスを日本政府は逸したと言っていいだろう。
__________ Information from ESET NOD32 Antivirus, version of virus signature database 7577 (20121012) __________
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11日 18:48 JST
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[東京 11日 ロイター] 48年ぶりに東京で開催されている国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会は、ホスト国・日本の存在感が薄いという印象を払しょくできない。
20年間も低迷してきた日本経済の経験をもとに、世界経済危機の回避に向けた「日本からのメッセージ」がないからではないか。“場所貸し"に甘んじ、日本独自の主張を展開する機会をみすみす逸しようとしているのは残念だ。
もし、時計の針を年次総会開催前に戻せるなら、政策手段が残り少なくなってきたマクロ経済政策に依存せず、「民間のイノベーション」を起点に成長性を高めていく政策手法の可能性について、広く議論を展開していくという提案ができたはずだ、と考える。
<指摘された米欧経済の問題点>
今回の年次総会では、関連した複数のセミナーにラガルドIMF専務理事やイエレン米連邦準備理事会(FRB)副議長らが出席し、欧州や米国はじめ世界経済が直面している問題点について、率直な意見が交換された。世界が直面している欧州債務危機や「財政の崖」が迫る米国経済の動向など、世界経済が直面している問題点が整理され、危機が深刻化しないための政策手段や選択すべき政策の方向性について、多様な見解が表明された。
しかし、10日のコラム「世界経済危機に処方せんなし、IMFセミナーで判明した米欧のブリッジ政策」[ID:nTK0526373]でも指摘したように、今の危機から脱出するための「明快な答え」は提示されていない。欧州中銀(ECB)の債券買い入れプログラム(OMT)やFRBの量的緩和第3弾(QE3)は称賛されたが、それで直ちに危機の出口に導かれることはない、ということもはっきりした。
イタリア中銀のビスコ総裁は、ユーロ圏各国やECBの対応はブリッジ政策に過ぎないと述べたが、私の目からは、欧州だけでなくQE3を含めた米国の対応も、ブリッジ政策の色彩が濃いと映る。
<財政再建の源泉、民間のイノベーション>
http://jp.reuters.com/article/jp_IMF/idJPTYE89A05P20121011?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0
すでに20年の長期経済低迷から抜け出せない日本は、“先行"して経験している様々な現象について体系的に説明し、米欧が遅れて実行しようとしている非伝統的な金融政策の効果が、なかなか出てきていない点について、大胆な「日本の仮説」を展開し、米欧はじめ世界の関係者に、その当否を問うことで活発な議論を誘導すべきだったと考える。
私は、1000兆円を超える公的債務を抱えた日本の現状は、スペインやイタリアだけでなく、欧州全体の財政の未来を考える上で、貴重な材料になると指摘したい。積み上がった債務を返済するには、原資が必要だ。それには新たな富の蓄積が不可欠であり、その源泉は民間におけるイノベーションではないか。この大元のパワーが枯渇したままでは、増税や歳出削減を継続しても、財政再建は達成が困難になるばかりだろう。
イノベーションを民間に起こすには、政府の大胆な規制緩和が不可欠の政策手段と言える。効果的な規制緩和手段は、どういう内容になるのかという「テーマ」を日本の主導で設定し、成長力を高める具体的なアプローチを検討する支えにすれば、もっと実りのある年次総会になったのではないか。
<聞きたかった「イノベーションとマクロ政策の複合」の議論>
実際、米国ではシェールガスやシェールオイルの掘削が本格的に開始され、将来は中東に依存せずに安価なエネルギー源を確保できる道が見えてきている。米国での「エネルギー革命」の展開は、米国内の成長力を高め、債務返済の能力を大幅に高めていくに違いない。
こうした民間のイノベーションの議論と、世界の中銀に先駆けて導入した日銀の非伝統的な金融政策の手段に関する考察、繰り返し実施された財政出動の効果の低さなどの経験に裏打ちされた見解がかみ合い、「イノベーションとマクロ政策の複合」のような議論が実際に展開されれば、かなり興味深いイベントになったと予想する。
<千載一遇のチャンスを逸した日本>
http://jp.reuters.com/article/jp_IMF/idJPTYE89A05P20121011?pageNumber=3&virtualBrandChannel=0
また、世界の先頭を切って直面している高齢化に対するため、社会保障制度を中心にした社会システムをどのように改革していくか、ということもアジェンダとして設定すれば、日本の貢献は相当に大きくなり、国際的な存在感を十二分に発揮できたと指摘したい。
だが、現実に戻ると、11日に行われた日米欧財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、いつにもなく会議の時間が短縮され、世界経済の今後の方向性について、市場に強いメッセージを示すことはできなかった。
ホスト国の財務相は、直前に実施された野田佳彦首相の決断による内閣改造で交代し、各国の財務相とは初対面の挨拶から始まるということになった。エジプトから日本に変更されたホスト国の座を利用し、日本の主導権で世界経済の将来に一石を投じることが可能であったこうした情勢の下で、千載一遇のチャンスを日本政府は逸したと言っていいだろう。
__________ Information from ESET NOD32 Antivirus, version of virus signature database 7577 (20121012) __________
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