「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年10月1日(月曜日)
通巻第3771号
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奇々怪々の殺人事件もうやむやに、薄煕来失脚が本決まり
ようやく中国共産党は18回党大会の日程を一ヶ月延期で決着
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9月28日に中国共産党は政治局会議を開催した。周永康だけが欠席した。
政治局会議は17全中会を11月1日からと決定した上で、第十八回党大会を11月8日から開催すると発表した。
予測された日程は10月8日からだったから、一ヶ月延期されたことになる。
だが、これで党内に燻っていた諸問題、とりわけ薄煕来(前重慶書記、政治局員)の処分が決まったと言うことであり、党籍剥奪、裁判の実施が決まった。党内闘争の決着が付いた。不満派を代表する周永康(政治局常務委員、序列9位)は欠席することによって反対を示したことになる。
薄煕来と谷開来夫人との間に生まれた一人息子の薄瓜瓜は、米国ハーバード大学を七月に卒業した。
谷夫人は英国人殺害容疑で起訴され、八月に「死刑、執行猶予二年」の判決がでた。
薄夫妻のどら息子、薄瓜瓜は、そのまま所在不明だが、9月30日までにウォールストリートジャーナルの質問に答え、「母の裁判は出鱈目であり、父はまじめな政治家であって、やましい点はまったくなく、報道されている内容は、自分が知っている事実とあまりもかけ離れている」と回答した。
また同紙は薄瓜瓜が米国に政治亡命を申請した事実がないと伝えた。
過日の「反日暴動」に毛沢東の肖像を掲げて党主流派を批判した勢力は、薄復活による党内ポスト維持を狙ったが、当面、かれらの野心は達成されなかったことにもなる。
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(1)「中国権力闘争の中味」(『北国新聞』コラム北風抄、10月1日付け)
(2)「もっとも効果的な中国制裁は通貨直接取引の停止だ」(『正論』11月号、本日発売)
(3)「反日暴動の背後にある権力闘争」(『WILL』11月号。発売中)
(4)「山本美香はアレッポで死んだ」(『月刊日本』10月号、発売中)
(5)「民主主義の基幹を論ず」(拓殖大学日本文化研究所『新日本学』、秋号)
(6)「日中国交回復四十年 周恩来、トウ小平、江沢民列伝」(『臨時増刊 正論エクストラ18』、発売中)
(7)「中国の軍艦が尖閣にやってくる」(『撃論』十一月号、発売中)
(8)「遼寧省紀行 大連、丹東、瀋陽」(『エルネオス』10月号、本日発売)
(9)「中国バブル破裂地帯をゆく」(『新潮45』、11月号、10月18日発売予定)
(10)「習近平のチャイナ」(『夕刊フジ』、本日から10月5日まで連載)
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読者の声 どくしゃのこえ READER‘S OPINIONS
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(読者の声1)樋泉克夫さんの書評『失敗したアメリカの中国政策』(バーバラ・タックマン 朝日新聞社 1996年)は実にいい本です。
出版されたその当時に読みました。なんでアメリカと日本が戦争になったのか、私は昔から素朴に疑問に思い続けていました。この本もそのような問題意識の下に読んだものです。
そのような問題意識の延長上に、私はラルフ・タウンゼントの『暗黒大陸中国の真実』を発見したのです。またその延長上に、フレデリック・ヴィンセント・ウィリアムズ『中国の戦争宣伝の内幕』も発見しました。日米戦争の多面的な面を知らせてくれるいい本でした。朝日新聞社発行なので危惧しましたが、訳者の人が立派な人であったようでした。
(HZ生)
(宮崎正弘のコメント)朝日のなかにも隠れた保守がいます。
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(読者の声2)一昨日・昨日、所謂「女性宮家」創設をめぐる典範改悪問題で報道(朝日、NHK)がありました。7・8月の官房長官記者会見で予告されていた「有識者ヒアリング」とりまとめの発表が近づいた模様です。
予想されていたことですが、法案素案というレベルの提示はないようで、おおまかに言って論点整理ですが、なるべく素案に近い選択肢に纏め上げるという苦心の跡も見えるようです。
二つの報道、「女性宮家」創設案とその皇位継承問題に及ぼす影響から慎重論が根深いことを報ずるのは同じですが、他の部分の報道ではニュアンスが異なります。
対案(保守派系陳述者の主張)の「尊称」案が、女性皇族が降嫁後一般国民となるので国民の法の下での平等に違反するとの判断が示されているというところまでは同じですが、その対応上の必要が典範の更なる改正を要するとする(朝日)、公務員として勤務する(NHK)と異なります(公務員云々は、ヒアリングで述べられた宮内庁参与や皇室御用掛のことと思われます)。
また今後の見通しについては、結論先送り・次の政権に引継ぎ(朝日)、国民の意見を聞いて来年の通常国会に提出したい(NHK)と報道のニュアンスが反対です。これは朝日の報道が官邸上部、NHKは内閣官房実務サイドの見方を元に取材している為ではないかと思われます。結果的には前者の可能性が強いでしょうが、実務方は後者の方向をめざしてコツコツ政策を練るという風に考えるべきでしょう。
改悪反対の観点からは、「女性宮家」創設の対案として「尊称案」が大きく取り上げられたことは評価できますが、典範の法体系上の位置付け(日本国憲法の下位法)からくる改正フリー(皇室の伝統の尊重も単なる選択肢の一つであり、皇室の在り方は何でも国会で決められる)の状況に前向きな政府の志向は一向に後退していません。野田政権中枢とは別に、七年前の典範改悪騒動以来、一貫して日本国憲法の機関としての皇室という在り方(彼らの言う「象徴天皇制度」)を根付かせていこうという官僚機構内部の一連の人脈の策動については今後も一貫した監視・告発が必要でしょう。
とりあえず近日中に予想される政府による取りまとめの正式発表を注視しつつ、状況に応じた対応を準備すべきと思います(小田内陽太)
(以下引用、下線・小田内)
女性宮家創設賛否、2案併記へ 来月公表、結論は先送り
(9月28日「朝日新聞」)
野田政権は皇室典範の見直しに向けた論点整理を10月上旬にも公表する。女性皇族の結婚後も皇籍にとどまる「女性宮家創設案」と皇籍を離れて尊称で活動を続ける「尊称案」の2案を併記。女系天皇誕生につながることへの懸念が強いため、女性宮家創設の是非については結論を出さない。
皇室典範では、女性皇族が皇族でない男性と結婚すれば皇籍を離れると定めている。現在の皇室では未婚の女性皇族8人のうち6人が成人したため、結婚によって皇族が減り、皇室活動が先細りする恐れがある。野田政権は昨年11月に女性宮家創設の検討に着手。
皇位継承権に踏み込まない前提で、今年2月から計6回にわたって12人の有識者からヒアリングをした。
論点整理は、このヒアリング結果を踏まえた。
「女性宮家創設案」は、結婚した女性皇族を当主とする新たな宮家を創設する内容。子も皇籍に入ると女系の宮家後継者となって皇位継承権に触れかねないとの指摘も相次ぎ、夫と子を皇籍に入れる案と、入れない案の両論を明記する。
「尊称案」は、女性宮家創設への反発に配慮した。結婚したら皇籍を離れた元女性皇族が「尊称」を使って皇室活動を続ける内容。


