◎ BOOKREVIEW ◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ☆
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 庶民の台所から姿勢の風俗までのぞいた往時の外交官
  シナ通の軍人や満鉄調査部の分析より現場主義の記録が拓大記念事業として刊行

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荒井金造『荒井金造著作集 支那雑観』(拓殖大学)
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『荒井金造著作集』は往時の熱血の外交官にして、鋭敏な行動力と鋭い観察眼で、あの時代の中国の都会から辺境、奥地を視察し、そのシナ人のシナ人的生き方、その具体的な生態、食事作法、風俗習慣を克明に調べたルポルタージュのような随想が挿入されている。
滅法面白い。なかでも風俗点描が小説家の風景描写のような迫力があるのは、当時の淫売宿、売春楼、高級技楼、その客層の違いや中での作法、女たちの紀律、人生観、金銭感覚。その人生などにも事細かな記述がある。
北京の日本大使館にいる大使以下の職員は、この本を読んだ方が良い。

当時の政治家を概観するにも、毛沢東登場以前だが、張作霖などに会いにきたがる日本の政治かがごろごろ居た事実など、まさに今日と変わらない体たらくも刮目に値するページだ。
荒井は大正十五年にこう書き残しているのである。
「本邦人のシナに遊歴するものがますます多く、殊に近年は、学生までが長期の休暇を利用して、多岐にシナへ旅行するようになったのは、ともかくも結構な次第だ。せっかくシナまで出かけるのであるから、一つでも多くの事物を見聞したいという欲求は、強ちに無理とは言わぬが、ただし各遊歴者に通用の、面白くない一癖を見受ける。それは、何の縁故も用事もない人々が、むやみやたらと大官に面会したがることである。以前においては、洛陽にいけば呉凧浮に、張家口に行けば、憑玉翔に面会を求め今日では、奉天にいく者は張作霖に、南京へ行く者は孫傳芳に面会するのが、殆ど通例とさるる様だ。地方でも督弁とか省長とかいう大吏に面会したがり、失意引退の境遇にある段棋瑞とか梁士治というような人物に面会せむという者は少ない」

これはいまの日本の政治家もしかり。なんのようもないのに「訪中したから挨拶に」と旅先まで追いかけて江沢民にあった首相経験者も居たが、軽量級を相手するに、三流の江沢民と雖も疲れただろうなぁ。
この本は拓殖大学百周年記念事業の一環として限定出版であり、残念ながら一般読者には入手困難である。
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 読者の声 どくしゃのこえ READER‘S OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)以前、貴誌でもちょっと触れておられたが、先月21日に北京を襲った豪雨で犠牲者が77名あって、市長が突如辞任を申し出たというニュースがありましたが、『大紀元』などは死者は1000名、犠牲者の数を北京市当局はごまかしていると報道しています。真相はどうなのでしょう?
    (JJヤング)


(宮崎正弘のコメント)77名というのは惨事にしてはへんてこな数字で、その後、79名に修正したようです。新幹線事故は死者40名、負傷200名余と発表され、これも「犠牲が少なすぎる」と疑問の声が多く、ネットやツィッターで飛び交っていました。
 しかし犠牲数をごまかしても、それほどの政治的意味はなく。天安門事件と事故や天災は感覚が異なるでしょう。
 四川省地震の犠牲者も、秘密軍事都市の被害模様は一切報じられませんでしたが、概算の犠牲者は公表されました。



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(読者の声2)李明博大統領竹島不法侵入に対し民主党政権は厳正な対策をとるとは言っている。
そのひとつとして国際司法裁判所へ提訴するといっているが、それも韓国が応じなければ何の実効性もない。そしてそれ以外に有効な対策がないという。
それならば経済制裁すればいいではないか。三橋貴明氏によれば対韓国輸出の対GDP比は1.12%、輸入が0.68%、貿易黒字が0.45%程度。
果たしてこれが領土問題という国益を害してまで守らなければならない「経済」なのでしょうか? と。
先ずサムソンの通信機器など韓国製品の不買運動を展開したらどうだろうか。
2年前の尖閣中国漁船衝突事件時中国はレアアースの輸出制限をして日本に経済圧力を掛けてきた。その結果日本は残念ながら狼狽した経緯もある。
外交上、有効な方策ない以上、次は韓国に対する経済制裁こそ一つの有効な対策ではないか。宮崎さんは如何お考えでしょうか。 
(SF生、岡山)


(宮崎正弘のコメント)経済制裁は一国が発動してもほとんど効果がありません。これまでもアメリカの恣意で行われた制裁は、多国間の協力があり、しかも長きにわたって断固実行されれば、キューバ、旧ソ連と効き目もあった。しかし対ミャンマーへの経済制裁は中国を利し、対イラン制裁は中国、露西亜を利してしまった。
 日本が一国で対韓国経済制裁をやると、一番得するのは中国と、三角貿易で稼げる香港あたりでしょうね。
 韓国がいま一番いやがる効果は韓流ドラマを巧妙に番組からはずし、テレビで見られないようにすること、入国審査を厳しくすること、不法在留者の強制送還など、いろいろあります。
 


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(読者の声3)貴誌前号、香港の反日活動家たちの背後にある香港政界と財界の腹黒い動きの分析、なるほどと何度も膝を打つほどに感心させられました。
 なにしろ、主要メディアではお目にかかれない分析ですから貴誌を欠かせません。徳間書店からシリーズででている西尾幹二先生/