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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成24(2012)年8月7日(火曜日)
   通巻第3717号 
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 華為技術(電話・通信機器、システム設備)はスパイ機関か?
  特許世界一のマンモス企業の社長は人民解放軍出身の謎の人物
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 もともとはちっぽけな、誰も相手にしない通信機器の販売会社だった。華為技術有限公司は、1888年に深センで設立され、仲間7名ほど、資本金わずか5000米ドル。主として香港から電話交換機を輸入し、それを農村部へ売った。

 それがいまや世界中に拠点を拡げ140ヶ国に進出している。
たとえば英国ではサイバー攻撃防御装置を、英国情報機関のシステムに売却するほどに大躍進を遂げて、他のメーカーは戦々恐々となっている。2012年上半期の販売額は160億ドル、世界全体のネットシステムの16%占め、ノキア、アルカテル・ルーセント、シスコ・システム、ZTE社を凌駕するまでになった。

 アフリカ諸国の通信システムは殆どが華為技術。カナダ、ニュージーランドなど自由主義国家でも通信のインフラ建設に華為技術公司のシステムを使い、この三月に豪政府は、いちど契約寸前までいった同社システムを議会が拒否した。

 ハッカー攻撃に悩む米国は、華為のシステムを『スパイ』と警戒している。技術を盗み出されたという認識からである。

 創業者の任正非(レン・ゼンフェイ)は1944年生まれ、「太子党」ではなく党の幹部とのコネもなかった。任は重慶大学で工学を学んでから軍人として仕え、78年除隊後の十年間はどこで何をしていたか誰も知らない。本人も語らない。そればかりか当該企業のHPにさえ、顔写真がないのだ。

 伝えられる「伝説」は、苦労して辛酸をなめていた時代の愛唱歌が「北国の春」。千昌夫の哀愁に満ちて独特な田舎台詞に泣き、そして日本人の勤勉さに感動したというが、この話さえどことなく嘘くさい。

 突然、この華為技術はあたった。独創的な交換機「C&C08デジタル」を売り出し、中国の農村部から売り歩き、最終的に毛沢東のように「農村から都市へ」包囲網を拡げ、市場シェアを拡大した。
いまや欧米アジア、中東からアフリカまで、この分野では世界一のエリクソンにあと一歩と肉薄しており、ノキアの規模をとうに抜き去った。


 ▼すでに中国製通信器機、システム設備はノキアを抜き去っている

 強力な販売力は「圧強戦略」と呼ばれるが、あまりに苛酷な労働条件のため、人の移動が激しく、一年に10%の社員が辞め、同時に新しい技術者がやってくる。世界に社員は14万人。おもに特許を狙う技術畑のエンジニアが多く、R&D(研究開発費)に売り上げの10%をも注ぎ込むそうな。14万人の社員の44%が研究開発部門に在籍し、中国政府の補助金のつくプロジェクトの開発にも余念がないという。

 さて英米が懼れているのは、華為に盗まれたハイテク技術。ソフトウエアに暗号など。
 華為は中国人民解放軍の仕事が多く、こうなると技術スパイが疑われる。げんに欧米のいくつかの国では華為製品を政府が購入することを制限しているうえ、議会、シンクタンクで華為批判が渦を巻いている。

「もし、システム全体でなくとも、中枢部に華為技術の器機を使い、そこに『トロイの木馬』が仕掛けられていたとするなら、しかも、それが中国の通信戦略であるとすれば、世界の通信システムは一瞬にして無力となる」と警告する専門家が増えた(英誌『エコノミスト』、12年8月4日号)。

 スパイと技術盗用の疑念が晴れない限り、華為技術の北米市場への進出は難しいだろうが、日本にはすでに華為技術日本支社が大手町にある。
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◆ BOOKREVIEW ◆ 書評 ◇ しょひょう ◇ブックレビュー ★
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川村純彦『尖閣を獲りに来る中国海軍の実力』(小学館101新書)
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 まことに絶妙なタイミング、このテーマにまったくぴったりの筆者。
 元海軍パイロット、統幕学校副校長の経験がある川村さんは、あちこちの安全保障セミナーで顔を合わせる人だが、防衛問題のエキスパートで、最近は岡崎研究所の副理事長、日本戦略研究フォーラム幹事。
 本書はこういう風に書き出される。
 「中国が尖閣諸島を獲りに来る場合、現状では東南アジア諸国から島を掠め取ったように、領土紛争の延長線上での通常兵器による領域の奪取という形を取るはずである。ただし、中国が最初から尖閣諸島に正規軍を送り込むなどということは考えられない。それこそ国際的な批判を浴びることになる。フィリピンやベトナムとの領有権問題がそうであったように、まず偽装漁民に上陸させ、その後、恒久的な施設を建設して実効支配を進めていくという作戦をとるはずである。その状況では、日米安保条約を結んでいるとはいえ、当初、米軍は介入できない」
 最近、評者(宮崎)も出席した幾多のセミナーで、米軍の専門家やシンクタンクの論客等は一様に、「米国は『尖閣諸島の帰属にかんする議論』には介入しない」という立場である。
 だから日本が守れと突き放している。
 となると、中国海軍が我が領土を盗みにやってくるシナリオは日々可能性が高まるが、いったい日本国民に領土をまもる意思があるのか、ないのか。
 川村さんは本書の最後にシミュレーションを試みられ、「偽装漁民」の上陸から、正規軍の登場、海保の犠牲ののちに出動が命じられる自衛隊は、いかにして戦い、いかにして中国海軍を敗北させるかを描く。
 2010年9月、まさに「偽装漁民」の暴力船長が、わが海保巡視艇にぶち当たった。日本側の防御態勢、反応を測定したのである。次は漁民ばかりか、反日活動家に扮した軍人が、尖閣諸島への上陸を試みるだろう。
 決戦の日は近い?
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 元駐ミャンマー山口洋一大使の憤懣やり場なき映画評{the lady}
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アウン・サン・スー・チーの映画
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元駐ミャンマー大使 山口洋一

リュック・ベンソン監督の新作「The Ladyアウンサンスーチー引き裂かれた愛」という映画を観た。
リュック・ベンソン監督の映画と言えば、「レオン」など、なかなか見ごたえのある作品もあるので少しは期待していたが、なんたる駄作であることか。
あまりの事実歪曲にいたたまれず、途中で退席したくなったが、どうにか最後まで我慢した。「この映画はフィクションです」と断った上での娯楽映画であればまだしも、「事実に基いている」という触れ込みなのだからひどい。

事実歪曲は山ほどあるが、まず第一に、この映画の主題となっている「引き裂かれた愛」は嘘っぱちもいいとこである。
ミャンマーでは周知のことだが、彼女には「現地妻」ならぬ「現地夫」がいる。不倫の相手は医者で、その名前も知られている。敬虔な仏教徒であるミャンマー人たちは、釈尊の教えを重視し、在家信者も守るべき「仏の五戒」には誰でも従っている。その「五戒」の一つが「不邪淫(ふじゃいん)戒(かい)――つまり淫らな性行為をするなかれ」なのだから、夫婦以外の男女関係は極端に嫌われる。彼女とマイケル・アリスとの夫婦愛はとっくに破綻していたのである。マイケル・アリスが死期に臨んだ際、政府は彼女に英国行きを勧めたが、彼女は行きたくなかったので、「出国すれば戻れなくなる」などと口実をつくって応じなかったに過ぎない。