「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年5月28日(月曜日)弐
通巻第3664号
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台湾最大野党=民進党党首に蘇貞昌(元首相、元台北県知事)が復活
理知派学者女性から「肝っ玉母さん」が代理主席、そしてベテラン政治家へ
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5月27日、台湾の240ヶ所の投票所でおこなわれた民進党主席選挙で、下馬評通り、蘇貞昌が過半数を獲得し、党主席に選ばれた。「一強四弱」と言われる党首選挙だった。
蘇貞昌は50・47%(163、808票)を獲得し、他の四人の候補をまったく寄せつけなかった。
二位は蘇換智(元台南県知事)で21・02%、三位は呉栄義(元副首相)で14・73%、四位は蔡同栄(前立法委員)で11・28%、最下位は許信良(元党主席)で2・49%だった。
これで三月総統選敗北の責任をとって党主席を辞任した蔡英文の後、臨時主席となったのは黄菊(高雄市市長)。蔡英文は新台北市の票を固めていたが、次の次に備えるためか、立候補を見送った。
蘇貞昌は台北大学ラグビー部出身で独立運動家らの弁護士として活躍した。近年は総統選挙への野心満々で、党をこれから如何にまとめるか政治力量が試されるが、中国問題で明確な姿勢を示しておらず、それが党内から批判の的になっている。
2014年に五大市長(台北、新台北、台中、台南、高雄)の選挙、ここで現状の3vs2を、4vs1へと逆転できれば、蘇貞昌が2016年におこなわれる総統選挙の最有力候補となる。だが、国民党の牙城である台北、新台北を民進党が奪回するには、まだまだ距離がある。
馬英九総統は5月20日、再任された総統式典で演説し、中台の「新たな協力分野」に言及した。「両岸には『民主、人権、法治』をめぐる対立が横たわり」、そのために「引き続き平和を強固にし、繁栄を拡大し、相互信頼を深める」と主張したに過ぎない。もっぱら現状維持。「統一せず、独立せず、武力行使せず」の「三不」原則が国民党の近年の対中姿勢だ。
馬総統は、北京の用語を巧妙に援用して、中台共通の基盤は「中華民族」であり、その血縁、歴史、文化を共有する」と指摘した。加えて「『国父』とする孫文の『天下為公』と『自由、民主、均富(公平)』の理念は決して忘れてはならない」などと訴え、台湾国民の認識と大きな隔たりが歴然となっている。国父記念館には訪れる人も少なく、毛沢東や江沢民が好んだ「中華民族」と「台湾人」は異なるという認識が、近年の台湾の世論調査から伺える。
馬総統は蘇貞昌に祝意を送り、両者会談を提案したが、蘇は返事を保留した。また中国は、こんかいの野党のトップを選ぶ政党内選挙に対して殆ど関心を示さなかった。
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読者の声 どくしゃのこえ 読者之声
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(読者の声1)ベトナムの商都・ホーチミン市(旧サイゴン)の地下鉄1号線の高架土木工事を住友商事が受注しました。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000000726.html
ホーチミン市中心部の Ben Thanh から市北東部に位置する Suoi Tien に延びる総延長19.7キロメートル(地下鉄および高架鉄道)の1号線建設計画のうち、17.2キロメートルの高架土木(11駅の建設を含む)および車両基地(約21ヘクタール)の建設工事で、車両については日立が交渉中。バンコクの地下鉄は日本のODAで建設されながら肝心の部分はジーメンスにさらわれてしまいました。その反省からか「1号線の建設は、他のパッケージ(車両システム、地下土木工事)を含め日本政府からベトナム政府へ供与される本邦技術活用(STEP)条件付き円借款を用いて実施されます」とあります。要するに紐付き援助ですが、日本国民の税金を使うからには当然でしょう。この地下鉄1号線の始発駅となるベンタン、現在ではファングーラオ通りの北側に公園が整備されていますが、元々はベンタン市場のすぐ西に旧サイゴン駅があったものが1970年代に廃止された跡地、旧サイゴン駅に隣接してサイゴン~ハノイ~フランス勢力圏の広東へと伸びる鉄道まで管轄するフランスの鉄道管理局が置かれていたといいます。
戦前の本を読むと、日本軍の北部仏印進駐後もハノイ~広東ルートによる国民党支援物資の輸送はフランス当局に黙認されていたようです。そんな歴史のある旧サイゴン駅、鉄道好きとしては旧駅舎や蒸気機関車の一輌くらい残しておいて欲しかったところですが、ハノイ政府はフランス帝国主義の残滓とでも考えたのか、それともサイゴン市民に対する力の誇示なのかあっさりと取り壊してしまいました。こんなことをするからハノイ政府はよけい嫌われる。フエでもダナンでもコンサン(共産党)は大嫌いという人が多かった。もちろんサイゴンでも。現在のサイゴン駅(ガー・サイゴン)は大通りから一本裏手の寂れた雰囲気の場所ですから余計に残念でなりません。
台湾では台北駅を通る線路を1989年に地下化しましたが、地上には立派な駅舎が建てられ、戦前の機関車の写真が展示されていたり、大通りにもかつて列車が走っていたことを示す案内板があったりで日本統治時代を正当に評価していることがわかります。ベトナムに話は戻りますが、現在は公園となっている旧サイゴン駅跡地、朝夕は市民の憩いの場所。バドミントンにセパタクロー、ジョギングの男女、アメリカ流の激しい曲に合わせてのエクササイズ、バンコクではめったに見ることのない愛玩犬のお散歩。蓮池のほとりでは鳥籠の小鳥がさえずる。バイクの騒音とクラクションの響きがなければ実にいい雰囲気なのです。ところが、そんな公園も夜は違います。女性が次から次へと声をかけてくる。さらに以前は見かけなかったオカマさん(レディ・ボーイ)、バンコク同様に超ミニにハイヒール、バンコクより劣るもののマニラのオカマよりはずっと美人。オカマさんが堂々と歩けるようになっただけでもたいしたもの。ベトナム人の体型はタイ人と似ていてイカリ肩、肩幅と腰の幅がほぼ同じ、Tシャツでの後ろ姿は男女の区別がつけにくい。ウエストは細いので糸巻き型体型とでもいえるかもしれません。一番違うのが骨格レベルでの胸の厚さ。ベトナム人は胸が薄く、マンガの絵のような二次元的雰囲気。タイ人はクメール人ほどではないものの胸板が厚く鳩胸が多い。そのせいかタイ人女優がドラマでアオザイを着ても似合わない。南ベトナムが戦争に負け、多くのベトナム人がタイにも流れ込みました。彼らはその後、フランスやアメリカへと渡りましたが、タイでレストラン事業を成功させベトナムに戻った人もいる。バンコクのショッピングモールに出店するアジアン料理の店は日本食以外ではベトナム料理くらい。新宿のタイ料理店の女性、タイ人なのにベトナム人の雰囲気があり、聞いたところタイ・ベトナムのハーフでした。両国は間にカンボジアを挟むため領土問題もなく、多くの面でベトナムの先を行くタイにとってはビジネス・チャンスに恵まれた国。エアアジアなど格安航空が後押ししているのかタイ人観光客も目立ちます。ベトナムの人口は約9千万人とドイツ以上、タイが6千5百万前後でフランス並、ベトナムのGDPはタイの半分以下、一人当たりでは1/4以下。サイゴン駅~ハノイまでの列車は1700km以上の距離を約30時間で結びます(時速60km弱)。コンテナ貨物では72時間(時速25km程度)。危険な橋梁が多数あり、日本のODAでの改修が済めば所要時間を5時間程度短縮、それでも時速70km程度。単線としては頑張っている方かもしれませんが動脈というには細すぎます。

