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  わたなべ りやうじらうのメイル・マガジン「頂門の一針」 2621号
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 2012(平成24)年5月26日(土)



  誰も望まぬ大連立を危惧する:阿比留瑠比

  マインドコントロール:岩見隆夫

          
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第2621号
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誰も望まぬ大連立を危惧する
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    阿比留 瑠比

25日朝の日経新聞に、「小沢元代表と決別を 森元首相」というミニ・ニュースが載っていました。記事内容は、自民党の森喜朗元首相が24日夜のパーティーでのあいさつで、野田佳彦首相に民主党の小沢一郎元代表と決別して民主、自民両党による「大連立」を目指すよう求めた、というものでした。

……森氏に限らず、自民党の長老連中には同様の考えを持つ人が少なくないようですし、民主党側も仙谷由人政調会長代行をはじめ大連立を志向する人がけっこういるようです。

ですが、私はこれに明確に大反対です。だって、こんなの民意を全く無視した「あまりにふしだら」(安倍晋三元首相)な行為ではありませんか。前回衆院選で民主党を支持して政権交代を望んだ人も、逆に民主党は危ないとして自民党を支持した人も、いったい誰が民主と自民の野合、大連立を想定して投票したでしょうか。

民主党支持者も自民党支持者もその他の政党支持者も誰も望まない政体を、一部の議員の権力欲と利害損得でつくられてはたまりません。これこそ国民不在の政治そのものですね。

ただ、今の政治の流れはどうでしょうか。自民党は、何とか民主党政権に消費税増税法案を成立させたくて仕方がないようです。消費税増税のタイミングが本当に今かどうかではなく、面倒で国民に不人気なことは、できるだけ今の政権にやらせて後々、自分たちに矛先が向かないようにしたいというせこい打算だとしか言いようがありません。

そういう皮算用があるものだから、国会審議を見ていても自民の質問に相手を倒そうという「本気」は感じられず、むしろ、盛んに暗黙のシグナルを送っている様子がうかがえます。「俺の本音は分かっているよなっ、なっ……」と確認しているかのようで見苦しい。

一方の野田首相は、消費税増税法案に賛成してくれるなら、自民党側の対案や条件をすべて丸呑みせんばかりの勢いです。野田首相の著書には「政権交代に大義あり」とありますが、そんなものはどこにもないことを自ら証明しているようです。

まあ、仮にこの消費税増税法案が通らなければ、自ら繰り返し表明してきたように「政治生命」は終わりとなるでしょうし、あの有害無益の前任者2人以上に何もできなかった首相として歴史に名を残しかねませんからね。

野田首相としては、森氏の言うように小沢氏を本当に斬るにしろ、それとも小沢氏と妥協し、増税法案の採決を「自民党との修正協議」を大義名分にして秋以降に先送りするにしろ、とにかく衆院解散・総選挙だけは避けたいのでしょう。

口では解散権は封じられていないと強調しつつ、輿石東幹事長との間に「齟齬はない」と繰り返すのも、本音と建て前を使い分けているからかもしれません。

まあ、いま選挙をすれば、民主党は壊滅状態になるのは火を見るより明らかですし、野田首相は民主党崩壊の引き金をひいたと言われるでしょうから。

今後、解散を経ずに小沢氏を斬って、実は利害が一致している自民党に抱きついて増税法案を通すにしろ、9月の党代表戦で再選されて政策の正統性を上書きしてから増税法案を採決するにしろ、行き着く先には「大連立」が見えています。

ここまでまとまると、民主と自民に根本的な違いなどあまりないということになっているでしょうし、自民党側も、どうせ解散がないなら政権に入って権力のうまみを味わいたい人はたくさんいるはずです。

でも、民自大連立なんてぞっとします。自民党の長老連中と民主党の仙谷氏やアレなんかが手を組んでわいわいがやがや仲良くやっている姿を想像すると、寒気どころか吐き気すらします。

それで政局はほんの一瞬、安定するかに見えるでしょうが、どうせ来年夏には衆院議員の任期がきて選挙があるわけですから、すぐにそんな枠組みは音を立ててきしみ出すことだと思います。

そして結局、そのふしだらな行為のツケを払わされ、次期衆院選で民主も自民も大敗北を喫することでしょう。私は別に2大政党論者じゃないので、民主と自民が消えてなくなろうとかまいませんが、少なくとも大連立なんてろくなもんじゃないということは強調しておきたいと思います。

私は、民意がいつも正解を選ぶだなんて思っていませんが、それでも民意は大事です。民意を問うべきときに問わない政治なんて、いくら政治の安定だとか国民生活のためだとか何だとか言葉を飾っても、結局は国会議員の自己保身のためだとしか受け取ることができません。

http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/2699097/



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マインドコントロール
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    岩見 隆夫

国会の答弁席に座る野田佳彦首相の表情を、テレビを通じて世間が注視する時期になった。勝負どきが迫ったことを察しているからだ。隣の岡田克也副総理、その隣の安住淳財務相とは注目度が違う。

野田は喜怒哀楽がほとんど外に表れない。明るくないが、暗くもない。

「西郷隆盛に似ている」

と言われるが、一見したところドシンと構えているといったイメージだけで、西郷の実像をだれも見たことがない。

頼りになるような、ならないような。しかし、ここ数人の首相にくらべると安定感、信頼感があるのかもしれない。

野田自身、歴代首相を論評できる立場にない、と断りながら、次のようなオーラ論を書いている。

<自民党で昔秘書をやっていた方の話を聞くと、「三角大福中」までは、みんな個性は違うけれども、会合などで同席するような時に、オーラがあって緊張したという。しかし、それ以降はオーラを感じない。

注目すべきは、ここまでは世襲ではなく「創業者」が多いことだ。羽田孜さん以降、2世が増える。羽田さんから麻生(太郎)さんまでの9人のうち、世襲でないのは、村山富市さんと森喜朗さんだけだ。

やはり中曽根康弘さんあたりを最後に、トップに立つ人からオーラがなくなってしまったように感じられる>(「民主の敵??政権交代に大義あり」新潮新書・09年刊)

その後、世襲組に鳩山由紀夫、非世襲組に菅直人と野田が加わった。

オーラは風格、風圧、威圧感とか、にじみ出る一種の雰囲気で、指導者の品定めをするのに欠かせない要素の一つである。重大な決断、説得あるいは誘導をするのに、リーダーが醸し出す雰囲気は、時に決定的な意味を持つ。

野田の前には、いま消費増税法案の成否、衆院解散のタイミング、その後の政界再編問題などが待ち受けている。政治の大きな分岐点といっていい。

日増しに野田に対する圧力、批判が強まるだろう。なにしろ衆院当選5回、55歳だ。当選回数の先輩が与野党に96人、年長者が衆院だけで234人もいる。同じ54歳で首相に就いた田中角栄は、退陣の後だが、

「総理になった時は自民党議員の平均年齢以下だった。この若造め、と思った人もいただろう。まあ、よくも殺されなかったものだな」

と漏らし、苦笑いしたという。今の野田が同じ立場にいる。