「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成24(2012)年5月11日(金曜日)
    通巻第3644号 
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 薄煕来の最大胴元、利権ビジネスの主役企業が倒産
   大連、重慶で薄ファミリーの利権ネットワーク、ほぼ壊滅へ
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 徐明(大連実徳集団董事長)が薄スキャンダル関連で逮捕拘束されたのは3月15日前後と推定される。
 徐明は薄ファミリーの利権ネットワークのなかで最大の胴元、どら息子のオックスフォード、ハーバード大学院の留学費用、豪遊費用の全ては徐明がまかなったとされる。そもそも薄煕来の公式のサラリーは月給12万4000円程度、どうやって海外留学費用を捻出できるだろう?
 
3月15日、薄は重慶市書記を解任され、4月10日、政治局委員の職務停止。そして4月23日、大連実徳集団は倒産した。

徐明は2002年に『フォーブス』(中国語版)の財閥ランキングに顔を出して以来、「フォーブスが選ぶ中国民間企業家十傑」にランキング入り、最高位はフォーブス第十一位だった。

徐明が保有する、2億元を投じた自家用飛行機は時速850キロ、航続距離4200キロを誇る「チャレンジャー850」(カナダのボンバルディア製)。この飛行機のインテリアはオバマ大統領の乗る「エアフォース・ワン」に似せて、執務室、バア、応接室、フィットネス施設あり、最大50名前後を載せて空中パーティも開けるという豪華ジェット機だが、徐明は、これを「特殊接待」に(インドネシアで事故を起こし、50名が死亡した、かのロシア機<ビジネスジェット機>は、この猿まね)使った。

「紅楼」の空中盤では有名女優、女子大生、看護婦、女優の卵などを侍らせ、高官らを特別接待。
或る中国のブログによれば、「百名の女性を徐明は薄煕来とも“共有”した間柄だ。その上、拘束される直前に徐明はシンガポールから香港経由、北京へ入り、陪席させて某有名女優に850万元を支払った」そうな(博訊新聞網、5月9日より引用)。

薄煕来の権力を嵩にしての利権で太った同社は、すでに徐明社長が3月15日の薄失脚と同時に拘束され、尋問を受けていたことはわかっていたが、社業は運転資金が続かずに突如、停滞、各地のプロジェクトが頓挫しており、五週間後に倒産していたわけだ。

 薄ファミリーの汚職、破廉恥な殺人事件か如などの陰に隠れたが、最大の政敵だった温家宝にも悪い噂がまとわりついて、最新情報に寄れば息子の温雲松(ノースウエスタン大学院でMBA)が「中国衛生通信」の社長に就任したことが判明、同社の株価は50%以上跳ね上がった。

 温家宝を強力に首相に推挽したのは朱容基前総理だが、その息子レビン朱は「中国国際キャピタル」のCEOに就任していたことも判明した。これで李鵬のどら息子や娘の水利系、土木企業トップや、胡錦涛の息子のセキュリティ企業トップなど、あまた共産党高官の、ほぼ全員が「太子党」利権のネットワークのなかで利権を享受している。
だからTIME(2012年5月14日号)が書いた。
 「社会主義を標榜する中国共産党は、中国資本家官僚党と言うべきだろう」と。


 ▼江蘇省揚州に江沢民ゆかりの飛行場が開港したのだが。。。。。

 さて権力闘争で「優勢」が伝えられた共青団だが、江沢民派の巻き返しも凄まじい。
 江蘇省揚州で「揚州泰山空港」がオープンした(揚州といえば、中国人は江沢民、しかし日本人は鑑真和尚を連想する)。

この地に飛行場が必要かどうかの議論もなく、小さな田舎の空港だが、開幕式には錚々たるメンバーが集合したのである。

 江蘇省書記の羅志軍、省長の李学勇。この列に当該担当「中国民生航空局」からは李家祥局長、そして軍から総参謀部陳丙徳・参謀総長の代理として作戦副部長の孟国丙が参加して「祝辞」を述べた。

 何故にこれほどのローカル空港の開港式に大げさなメンバーが集まったかと言えば、じつは揚州は江沢民の故郷である。「上皇」を誇示する江沢民が「揚州泰山飛行場」と命名した経緯もあり、軍の代表も参加したジェスチャーをしめることで「上皇様がまだ軍部をおさえているのですヨ」と無言の示威行動を取ったのである。
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   読者の声 どくしゃのこえ 読者之声
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(読者の声1)宮崎先生が書評欄で取り上げられた『古代日本「謎」の時代を解き明かす』の著者長浜浩明氏の4年前の著作『文系ウソ社会の研究』を丁度読了したところで、今回の先生の書評を目にしました。先生はひょっとして4年前にもこの本の書評を発表されているかどうか分かりませんが、未読でしたら是非取り上げて頂きたいと考えています。新鮮さが命の時事ジャーナリストとしてはやや旧聞に属する著作かも知れませんが、紹介するだけの価値はある筈です。さて、戦後の日本人が「B層」と化した原因を単に戦後現象としてではなく、戦前から続くマスメディア、特に新聞(朝日新聞)と放送(NHK)のウソ報道にあるとし、ウソを平気で流し続ける文系支配社会の虚構を告発しています。工学博士・一級建築士の著者は宮崎先生の仰る通り実証的・工学的アプローチにより文系馴れ合い学会からは決して明かされない歴史の真実が説得力をもって解き明かされます。是非、御一読をお薦めします(ちゅん)


(宮崎正弘のコメント)ご指摘の書籍もたぶん書評をしている筈ですが、ちょっと記憶が戻りません(苦笑)。むしろ貴兄の読後感などをお寄せ下さい。



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(読者の声2)「橋下ツイッター「ネット経済論壇」の論点整理 -規制緩和、公共事業、TPP他-」
 橋下徹(大阪市長)のツイッター上で、池田信夫(アゴラ社長・経済評論家)が絡み、高橋洋一(元財務官僚・経済学者)がこれを牽制し、中野剛志(経産省官僚・京大準教授)が喧嘩を売られる等、当該ツイッターは、現在いわば「ネット経済論壇」の様相を呈している。
 風雲児、橋下は大阪維新を率いて国政進出を狙っており、これらのツイッター上のやり取りが日本経済に大きく影響する可能性が出て来たため、現時点で論点整理した上で筆者の私見を述べる事とした。

各論者の主張を、かなりザックリ纏めると下記の通りである。
●池田信夫:消費税増税賛成、インフレターゲット反対、新自由主義論者、TPP賛成
●高橋洋一:消費税増税反対、インフレターゲット賛成、新自由主義論者、TPP賛成
●中野剛志:消費税増税反対、インフレターゲット賛成、公共事業推進、TPP反対

 なお原発問題・社会保障問題・教育問題・地方分権等、経済政策と密接不可分な問題があるが、論点を絞るため敢えて割愛した。
また、池田には「ネット言論プラットフォーム」アゴラ一派、高橋には元上司の竹中平蔵を始めとして政界官界人脈、中野には京大研究室での上司の藤井聡、経済評論家の三橋貴明、漫画家の小林よしのり等が現在進行形で影響を与え理論武装のバックボーンとなっているが、当然ながら微妙にニュアンスの異なる主張を持っているため、彼らへの言及も強いて避けた。

◆消費税増税◆
池田は、 <「景気がよくなってから増税する」などと言っていては、いつまでも増税できない。その負担は、将来世代に転嫁されるのです。>(【日本経済に「神風」は吹かない】2012年01月30日 http://agora-web.jp/archives/1427208.html より抜粋) と述べ、現下のデフレ・低成長下での消費税増税を推進する立場である。
 橋下は高橋と共に、道州制を導入し消費税を地方税化した上で各道州で税率を決める事を主張し、当面の消費税増税には反対している。

 中野は、現下の消費税増税に反対しているが、詳細については言及していない。